飲食店における会話の「ターン」

飲食店に行って(おいしかったなぁ)とか(ここいいなぁ)とか(また来よう)と思ったとき、それをお店の人にひとこと伝えたくて、帰り際に「美味しかったです」みたいに言いたいわけです。
言いたいなら言えばいいんですが、それをちょっと恥ずかしく感じるときがあるんですよね。
一方、何の恥ずかしげも無く(笑)堂々と「美味しかったです」とか「またお願いします!」って言えるときもある。

その違いはなんなのか。
自分の気の持ちようとか、お酒が入ってるかどうかとかそういうことなのかな、といろいろ考えていたんですが、最近、その差の要因はお店側にもあるのではないか、と思いました。それをあえて言葉にすると、会話の「ターン」みたいなことなのかな、と思うんです。

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お店に入店したときとかその後滞在中のどこかのタイミングで、店のオヤジさんが「お客さん、この辺にお住まいなんですか?」とか、カフェの店員さんが「今日は寒いですよね(笑)」とか、もうなんでもいいんですけど、何か一言発してくれるとするじゃないですか。
そうすると、ボールはこっちの側に移動するというか、次こっちのターンみたいな感じになるんですよね、少なくとも僕の頭の中では。
だから、その後お店の人とのやり取りが別に無かったとしても、お店を出る際にリラックスした状態で「ありがとうございます!美味しかったです!また来ます!」って言えるんです、こっちのターンだから。

ちなみにですけど、「ごちそうさま」っていうのはこちらの喜びを表す言葉ではないと感じています。
ごちそうさまっていうのは、料理等を作ってもらったり提供してもらったら当然言うことであって、極端な話、「こんな店二度と来るか!」と思っていても最低限の礼儀として「ごちそうさま」と言うべき。だから、「ごちそうさま」と言うだけでは実は何も言っていないのと一緒だと思うんです。ちょっとでも「いい♪」と感じたら、デフォルトの「ごちそうさま」にもうひと乗せした方がいいと思うんです。

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じゃあ、どっちがターンを切り出すべきか。
店の人も客も対等だし、会話というのはお互い対等な立場で行うもの。そう考えると、最初のターン(言うなればテニスのサーブみたいなもの)はどっちが発してもいいわけですが、やっぱり客からは切り出しにくいですよね。一方店の人にとって、お店は文字通り「ホーム」なわけですから、ホーム・アドバンテージを活用し、店の人が積極的に最初の「ターン」を発してきてほしい。そうすれば、店を出がけに今度は客のターンになって、そのとき思っていることを素直に言える。

店の人にとって、単なる「ごちそうさま」を超えたその一言って、メッチャうれしいと思うんですよね。金銭以上の報酬と感じる人も多いはず。それがあるから飲食やってるんだ、みたいな。コロナ渦でみんな苦しんでいる中では特にそうかもしれません。
だったら、そんなステキな客からの一言を自らもっと発しやすくするよう、天気のことでもなんでもいいから、どんどん客にターンを発してやってください、お待ちしております!


*今日、たまたまフラッと入った店。美味しかったし、しかもすっごく自然な感じでいいターンを発してくれる人が一人で回していました。またお邪魔させてください!

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by dantanno | 2022-02-20 15:16 | Comments(0)