今これらの本を同時進行で読んでいて、
その中の主な作品をご紹介していきたいんですが、まずはバナナが印象的なコレです。
"A Year in the Art World" by Matthew Israel.

(↑の写真をココにはりつける作業をしているときに改めて、、っていうか、初めて思いましたけど、このバナナ、やけにリアルですね(笑)。まるで本当に本にはっつけてあるみたいに見える。)
アートに興味があって、ときどき観に行くし、ちょいちょい買ったりもしているんですが、まったくよく分かっていない。味わい切れていない。
モダンアートはとても好きで東京都現代美術館とかはよく行くんですが、印象派(?)とか宗教絵画とか、要するに通常のアート、王道のアートがまったくピンと来ない。
つまり、こういうの↓とか、
こういうの↓とかがピンと来ない。
アートの好みについては、もう「モダンアートが好き」でいいや、という気がしています。だって、今後いろいろ勉強(?)しても、↑のような絵を好きになるとは思えないから。
でも、アートというのは本当に奥が深そうで、もっともっと知りたい、その深みにはまって楽しんでみたい、と思っています。そうすれば、人生観も変わったりして、という期待もどこかにあります。そんなことを考えながら、
アムスでのお気に入りのモダンアートの美術館をブラブラしていたときにMuseum Shopで手に取ったのが本書。
アート界にはさまざまな住人がいます。絵描きの人はもちろん、彫刻家も写真家もいます。
そして、アーティストだけでなく、
美術館の職員
キュレーター
ファブリケーター(Fabricators)
ギャラリー関係者
コレクター。(アートを買う)お金持ち
アート・ライター
アート・アドバイザー
Conservators(美術作品の補修・管理をする人)
作品の保管・輸送業者
といった人たちもいます。みな、アート界の住人です。
この本の著者のマシューさん自身もアート界の住人で、キュレーターであり、ライターであり、Art historian(アート史家?美術史家?要するにアートの歴史を研究する人ですね)だそうです。そんな著者が、上記さまざまなアート関係の職種を紹介し、それがどんなことをする仕事なのかを説明した上で、実際にその仕事をしている人のところに行ってインタビューした結果を紹介・共有する、という本です。その人の仕事のどういう部分が大変だったり、やりがいがあったりするのか、とかも伝わってきます。
(ちなみに、本のタイトルにある「A Year in」という部分。アムステルダムの美術館のショップで本書を手にしたとき、僕は勝手に(アート界に1年間潜入(?)するのかな?)と解釈したんですが、そういうわけではなく、「A Year in」はあまり関係ありませんでした。一応、章立てが春夏秋冬になっていて、季節毎にグループ分けされています。1年かけて取材して回った、ということなのかもしれませんね。)
さて、この本を読んでいて感じたことですが、まずは(ありがたいな)ということでした。助かるな、と。
<ありがたい。助かる>
僕がもし、アート界について理解を深めたいと思ったとしましょう。っていうか、こういう本をわざわざ買って読んでいるわけですし、そういう気持ちがあります。そして、アート界についての理解を深める手段として、その世界の様々な人たちに会ってインタビューをしたい、と思ったとします。確かに、そのような取材をすれば、かなり理解が深まるでしょう。その後、絵を観に行ったとき、以前よりも楽しく鑑賞できそうです。でも、あいにく僕はアート界の住人ではない。コネクションも無く、知り合いもいません。そこで、アート界にいろいろとコネクションを持つ著者が、僕の代わりにいろいろな人にインタビューをし,その結果を僕と共有してくれている、という印象を受けました。A person with good connections doing the interviews for youという感じ。
これで1000円とか2000円とかなわけですから、つくづく本っていうのはおトクな話ですね。
<受け手目線の作品>
本であれ絵画であれ映画であれブログであれ何であれ僕は、受け手目線の発表者・発表物がかっこいいな、と昔から思っています。つまり、作者/発表者の独りよがりではなく、本であれば読み手、演劇であれば観客、そういう「受け手」がおもしろかった、ためになった、元気が出た、などの付加価値を感じる作品を創り発表するのがかっこいいと思うんです。そうあるべきだとか、そうでないもの(例えばほぼ誰も観に来ない映画を撮り続ける映画監督)を否定したいのではありません。そうでないものについての話ではありません。ただ、受け手目線で作られたものをかっこよく感じ、その作者をかっこよく感じるわけです。
ブログを書いていて、よく思います。気を付けないと、すぐに独りよがりの内容になる。でも、そういうことを書いていても、誰のためにもならない、誰も喜ばない。もちろん、それでお金を稼ぐなんて無理です。読者目線でないと。
でも、あまり読者目線にし過ぎてもしょうがない。「自分が書きたいこと」を完全にそっちのけにして、ただ単に「何を書けば読者は喜ぶか」を意識するだけなら、それはそれでやる意味が無い。本当に、ただ単に「商売」でやるならそれでもいいんでしょうが、そうではなくある程度「作品」のような(?)位置付けにしたい場合、多少は「自分」を入れないといけない。しかも、おもしろいことに、作品にある程度作者の「自分」が込められているからこそおもしろい、という面もありますよね。要するに、月並みですが、自分・自我と「受け手目線」のバランスが大事、ということで、そのバランスがうまく取れているこのA Year in the Art Worldはいい作品だな、と思うわけです。
「受け手目線」には恐らく2パターンあって、
1.「受け手のことを一生懸命考えて、意識して、ときには自分を殺してというか、自分のことだけを考えたらそうは創らない/発表しないのにそこをあえて少し修正して、その結果受け手目線のモノが出来上がっている」というパターンと、
2.「天性のものなのか、あるいはたまたま波長、時代、etc.が合ったのかは分からないが、自分が言いたいこと、書きたいこと、思ったことをそのまんま発表したら超「受け手目線」に仕上がっちゃいました」というパターンもあるでしょう。どちらもかっこいいと思います。前者は職人タイプ、後者は天才タイプという感じもします。ちなみに自分が通訳において目指しているのは間違いなく前者です。
話がちょっとそれましたが、本書はかなりの受け手目線になっていて、そしてタイプ的には恐らく1.前者の「職人」タイプ。入念な構想と、丹念な取材の結晶だと感じました。
<アート界のいろいろな職種について勉強になった>
例えば「ファブリケーター(Fabricators)」とか、耳慣れない職業なわけです。それが本書で紹介されていました。本書を読み終えた今でもよく分かってないんですが(ダメじゃん)、要するにアートの作成をいろいろな形で支援する人、のようです。技術的な助手、みたいな人を指す場合もあるし、プロデューサー的な人のことを指す場合もあるようです。
アート・アドバイザーとかも興味深かった。「アート」の「アドバイザー」。ことばの意味は分かるけど、誰に対し、なんのために、どのようなアドバイスをするの?と。
これ、要するにアートを集めるコレクター(えてしてお金持ち)に対し、どのようなアートを買うべきか、今後どういうアーティストが伸びそうか、購入して5年後・10年後に値上がりしていそうな作品はどれか、あるいは、値上がりとかは関係無く、とにかくおさえておいた方がいい作者は誰か、といったことをアドバイスする人のことをいうんだそうです。そんな仕事があるんですね、おもしろいですね。
<アートの修復について>
以前、情熱大陸だったかプロフェッショナル・仕事の流儀だったかで、絵画の修復家の女性を取り上げた回を観ました。そのとき、何かとてもピンと来るというか、ひっかかるものを感じ、自分にしては珍しく2-3回観たのを覚えています。そして今回、この本でも、一つのセクションを割いてConservatorsが取り上げられていました。
Conservatorというのは、例えば美術館に勤めていて、美術作品の補修・管理をする人です。修復家、と近い気がします。
本書のConservatorsのセクションを読んでいて思ったんですが、(ああ、これは通訳に似てるな)と。絵画の修復は通訳に似てるな、と。だから前にTVで観たときにやたら気になったんだな、と。
この点については、話が大きくなるので、もう少し考えた上で、別の記事で取り上げてみたいと思います。
とりあえずこの本についてはこれで終わり。