「訳」と「役」

俳優・役者が書いた本を、とてもおもしろく感じる。

今までに読んで、おもしろかった「俳優・役者本」は以下の通り:



1.山崎努さんの「俳優のノート」。

「訳」と「役」_d0237270_11171023.jpg


ものごとを決めつけるのはよくない。
でも、この本、ほとんどの通訳者がおもしろく感じるはず! そう決めつけたくなる名本。



2.西村雅彦さんの「俳優入門」

「訳」と「役」_d0237270_11222091.jpg


多分、本書の一番の想定読者は「俳優を志す人」なんだろうと思うけど、我々通訳者にも役立つ内容。
発声法とか、声出しのトレーニング法といった具体的な話も参考になるし、役者としての考え方・哲学もおもしろい。



3.Michael Caineの"Blowing the Bloody Doors Off"

「訳」と「役」_d0237270_11203417.jpg

今読んでいる(Audibleで聴いている)のはこれ。
あ、どっかで観たことある!なこの人(笑)。
非常におもしろい。



ーーー



なんで、俳優や役者の方が書いた本をおもしろく感じるのか。

それは、通訳と演技、InterpretingとActingで、似ている部分が多々あるからではないかと思う。

今、サンプルが一人(僕)しか無いので確かなことは言えないが、僕の推測では、恐らく通訳者は(通訳者ではない人たちとくらべ)俳優・役者本をおもしろく感じる確率が高いのではないか、と思う。
そして、これまた推測だが、恐らく「翻訳者」よりも「通訳者」の方が、俳優・役者本をおもしろく感じるのではないか。



通訳には、以下のような特徴がある:

「練習(通訳トレ、あるいは予習)」 VS 「本番」のコントラスト。
本番の、あのライブ感。
話し手になりかわっての「演技」。
話(≓台本)を自分なりに解釈(Interpret)した上での、その再表現。
会場と一体になり、その「場」のうねりにうまく乗れたときの心地よさ。
終わった後の達成感。会場から喜ばれたときのうれしさ。



「訳」と「役」には共通点が多く、通訳者と役者は、お互いの考え方や哲学にシンパシー/エンパシーを感じられるのではないかと思います。

通訳者のみなさん、俳優・役者本、おすすめです(笑)!


「訳」と「役」_d0237270_11462144.jpeg

by dantanno | 2018-12-07 11:46 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

通訳・翻訳者 丹埜 段(たんの だん)のブログです。IRを中心にビジネス・ファイナンス系を専門としています。 通訳会社IRIS経営。http://iris-japan.jp


by dantanno