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イギリスの「問題」を考える(最終稿): 我々乗客はどう対処すればいいのか?

最初の記事はこちら

これまでの記事で見て来たように、イギリスでは交通機関の故障や遅延が頻発・再発・続発するわけですが、こうしたトラブル、ひいてはイギリスのこのような「問題」に対し、我々はどう対処すればいいのか。

いろいろな対処法があり得ると思います。



1.やり過ごす
2.人の振り見て我が振り直す
3.一矢報いる(一言言ってみる)
4.イギリス人の意識を変える
5.これは長所の裏返しなのかもしれない、と考える



それぞれについて見ていきます。



1.やり過ごす

故障や遅延といったトラブルに見舞われたロンドンの乗客はみな不満そうにしていますが、(まあしょうがない)的な諦めムードが随所に漂っています。
我々も、イギリス(っていうか、日本以外)はそういうもの、とあきらめればいいのかもしれない。
外国がおかしいのではなく、むしろ外国が普通、これがデファクトスタンダード、と考える。日本が超絶的にすごいだけなんだ、と思えばいい。

トラブルが発生したときの、職員サイドの There is nothing we can do 的メンタリティーについては過去の記事でご紹介した通りです。これも、言ってみれば先方サイドにおけるあきらめであり、やり過ごしですよね(笑)。我々に出来ることは無い、という、これこそ無常感。先方が「無常感」で来るなら、我々乗客も「無常感」をもって対応すればいい。

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確かに、こうしたトラブルに巻き込まれたとき、怒ったら怒っただけ損、という気がします。
これは、周りで(自分以上に)怒っている人がいる場合に、特に強く思います。怒ったってしょうがないのに。冷静さを保てれば気づけるその点に、冷静さを失ったときに気づくのは難しいですが、まあでも確かに怒ってもしょうがない。




2.人の振り見て我が振り直す

自分自身について、何か(我ながら)問題だなあ、と思いながらも放置している「問題」ってあるじゃないですか、誰でも。役所に提出しないといけない書類とか。英語力向上とか。自転車のパンクとか。要らない植木鉢とか。

やってしまえばいい、根本的な対策を取ったらいい。そう分かってるのに、そうしていないこと。誰にでもあります。そう考えるとロンドンの地下鉄の自動改札機が常に壊れていても、あまり腹を立てず、(ま、オレも一緒か(笑)〜)と笑い飛ばせます。

相手に不満を感じたり文句を言ったりする前に、まずは自分自身を振り返り、何か改善出来る点が無いか、を考えてみる。まあ、それをやり出すと改善出来る点は必ずあるわけで、一生文句や改善要求を出せなくなりますけどね。



3.一矢報いる 
(一言言ってみる) 

ときには勇気を出して何か言ってみたいものです。

例えば、いくつか前の記事で紹介した、エジンバラのホテルのフロント係。「朝食込みか、込みではないか」で、言った・言わないみたいな話になったとき。
サービス業に従事していながら、自分たちの主張を繰り返すだけで、一切利用客の身になって考えない人たちに対しては、

Are you interested in the customer’s perspective?

と聞いてみたい。「客の視点に興味ありますか?」、と。
言い換えると「お客さんの意見を聞きたいですか、聞きたくないですか?」ということ。必死にホテル側、交通機関側の主張を繰り返していた職員は、きっと一瞬キョトンとするに違いありません。

この問いに対する回答は、本音では「興味無い」、「聞きたくない」ということなんでしょうが、さすがにそれは言えない。だから「お客さんの意見に興味があります」と言わざるを得ないので、そう言って頂いた上で、「じゃあご説明しますね」と説明する。イヤな客ですね(笑)。
別に、実際にこうしようとは思いませんが、あくまでも考え方として、というか、自分の頭の中での問答として、こういうことを考えることがある、ということです。

もう一つ、トラブル時に「一矢報いる」なら大事にしたいのは、「私はあなた(職員の人)個人に対して文句を言っているのではない。あなたの会社、あなたがその一部を構成しているそのシステムに対し文句を言い、改善要求を出しているのだ。」ということを明確にすることです。そうしないと、職員はすぐに「私に言われても困る。I am doing my best」と言い残してパブに行ってしまいます。
もっとも「あなた個人にではなく、あなたがその一部を構成している会社/システムに文句を言っているのだ」と言ってみたところで、「じゃあ、僕じゃなくて会社に言ってくれ」という話になるに決まっていますが。

以上見て来たように、トラブル発生時に「一矢報いる」、つまり何か一言チクリと言ってやる、というのはあまり有効な対処法とは言えなそうです。
あと、実際にトラブル本番中は、こっちも冷静さを失っているので、うまいこと一矢報いる発言を思い付かないんですよね。たいてい後から、落ち着いた状態になって初めて(ああ言えばよかった・・・)と思うことが多いです。



4.イギリス人の意識を変える

イギリスに日本からの宣教師として乗り込み、イギリス人のメンタリティーを変えてやる、ということは出来ないものでしょうか。


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実際、イギリスに進出する日本企業は、どこもこの問題に直面しているのだろうと思います。いや、イギリスだけでなく、欧州、そして世界の多くの国でも同じことが起きているでしょう。

この問題、すなわち「「問題」というものに対するスタンスの違い」という問題に対し、日本企業が取り得る戦略は大きく2つあると思います。まず思い付くのは、サービス、あるいは製品のクオリティ・レベルを(日本でのそれと比べて)引き下げる、ということです。郷に入っては郷に従う、ローカライゼーション戦略とも言えるでしょう。
一方で、あくまでもジャパン・クオリティを提供するんだ!と考えるのであれば、サービスや製品を提供する現地従業員の意識を根本から変える必要があります。

イギリス人職員が、

誤 「とにかく一刻も早くパブに行こう」
正 「業務終了後、スタッフミーティングを開いて、今後の再発防止策を話し合おう。パブに行くのはその後からでもいいではないか」

と思うよう、意識を変える必要があります。



5.これは長所の裏返しなのかもしれない、と考える

トラブルに迅速に対処し、そして再発防止策を徹底する、そうした行動様式を良しとする、そんな我々日本人のスタンスが正しく、イギリス人のそれが「間違っている」のか。確かに「問題解決」および「再発防止」を考えたら日本人のスタンスの方が優れている気もしますが、それによって失われているものは無いのか。言い換えると、イタリア。イタリア人はいい加減です(笑)。それに対し日本人は「ちゃんとしている」わけですが、日本からはフェラーリのデザインは生まれにくい。「ちゃんとしている」ことの見えないコストはなんなのか、そしてそれはどれぐらいのコストなのか、に興味があります。

もっとも、故障した場合にすぐ修理する、とか、今後は故障しないように再発防止策を考える、といった行動は、その人、その会社、その国の良さを失わずに取ることが可能なのではないか、とも思いますが。



以上、8つの記事に渡り、イギリスの「問題」についてあれこれ考えて来ました。
お読み頂いて分かる通り、結論の無い話で恐縮ですが、それだけ多面的で、かつ深いテーマなんだろうな、と思います。
今後、また考えが変わったり、視野が広がったりしたら、追加で記事を書いてみたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。

(とりあえず完)

by dantanno | 2018-07-31 10:49 | 提言・発明 | Comments(0)