とてもいい映画だった。
娘を事件で失った母親が、警察の怠慢に怒り、家の近くのビルボードを3つ使って抗議をする、という話。それに伴い、一連のドタバタが起きる。
主演はFargoで婦人警官役を好演したFrances McDormand(フランシス・マクドーマンド)。
ちょうど最近(2018年3月)、U.S.でのGun violenceに対してTeenagersが立ち上がって抗議していて、タイムリーな映画。
子を亡くした親の捨て身の執念。失うものが無い強さ。
全編を通して流れる、救いの無い感じと、それにマッチした音楽。でも、救いの無さの中にどこかコメディーがある。それが人生なのか?と考えさせられる。後味は不思議と悪くない
一番印象に残ったのは、物事の二面性、ということ。この映画は、一見
「警察(悪)に立ち向かう母親(善)」
というありがちな構図なのだが、観ている内に、物事はそうシンプルではないことに気付かされる。
映画は、警察のマトモな面も描いているし、母親のおかしな面もあらわにする。一見「こう」としか思えない、「そう」としか見えないことにも、実は別の側面があり得る、ということに気付かされる。その「別の側面」が自分には見えていないだけに非常にイメージしにくいが、それは(見えていないだけで)実は存在するわけだから、それに想いを馳せることが重要。
最後のセリフの訳「道々考えればいい」がステキだと思った。
一人でじっくり観るも良し、大事な人と観て、その後飲みながら感想を話し合うのも良しな、貴重な作品。