たんのだんのブログ

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超繁忙期は、通訳者にとって超大チャンス

毎年この時期(12月頭ぐらい)、日本の通訳業界は超繁忙期を迎える。
われらがIR業界において大きなイベントがあり、多くの通訳者がそれに駆り出されるためだ。

このイベントに駆り出される通訳者は、もちろん忙しい。
イベントに参加しない通訳者も、多くの通訳者がイベントに行っているのでよそで通訳者が不足し、結果的に忙しくなる。

今週の通訳案件について、IRの、そしてIR以外のいろいろなクライアントから何度
「誰かいませんか??」

と聞かれ、それに対し何度
「すいません、もう誰もいないんですよ〜」

と答えたか分からない。

ーーー

毎年この時期に超繁忙期を迎え、思うことが2つ。

1.なんでピーク時に値上げしないんだろう

旅行業界であれば、GWに値上げするのは当たり前。通訳業界では、毎年この時期が超絶的に忙しくなるのが分かっているのに、なんで値上げしないんだろう。
IRISでは、昨年から部分的に「繁忙期値上げ」を始めています。繁閑にかかわらず、通訳料金のプレミアム化につとめたい、とIRISでは思っていて、その一環です。
来年からはさらに拡大していく予定です。



2.通訳者不足がもたらす「大チャンス」

こっちが本題。

超繁忙期に通訳者が不足すると、興味深い現象がいろいろと起きる。

ーーー

IRのイベントで、誰もが知る超大企業の、しかも社長が登場する大事なIRミーティングに、
「IR通訳ほぼ初めてなんです〜、よろしくお願いします〜」

みたいな通訳者があてがわれたりと、平時であれば考えられない出来事が起きる。

これは、その企業、およびそのミーティングに参加する外国人投資家にとってはある意味悲劇だが、その場にいる駆け出し通訳者にとっては大チャンスである。

ーーー

IRイベントに多くの通訳者が行っているため、IR以外の分野でも大チャンスが頻発する。
平時であれば、いつもその案件を担当しているベテラン通訳者が担当するであろう重要案件(取締役会、海外の大型案件、などなど)が、一見さん通訳者にぐるっと回ってくる。大チャンスである。

こうした大チャンスは、日頃から通訳力を上げるための取り組みを続けている駆け出し通訳者にとって、下克上のいい機会である。

会議参加者、クライアント、あるいは通訳エージェントに
(あれ?この人今回初めてお願いしたけど、意外といいじゃん)

と思わせられれば勝ちである。

特に、日頃その案件を担当しているベテラン通訳者が、もはや惰性で仕事をするだけで進歩を放棄しているタイプの通訳者であれば、今後その案件の担当をひっくり返すのはそう難しくはない。

ーーー

通訳者になりたての頃、チャンスが全然巡ってこなくて焦った時期があった。
自分を証明したい。でも、案件の引き合いが行く先は「いつもその案件を担当している馴染みの通訳者」ばかりで、自分には全然チャンスが回ってこない。一生このままなんじゃないか、一生浮かばれなかったらどうしよう。

今から振り返れば杞憂にすぎないことが分かるが、当時はそう思ったものである。
そうした悶々とした駆け出しの通訳者にとって、超繁忙期は自分を証明し、状況を完全に引っ繰り返すすばらしい機会になるだろう。トランプゲームの大貧民でいうところの「革命」を起こせる。


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超繁忙期は、駆け出しの通訳者にとってはもちろん、我々ベテラン通訳者にとっても実は大チャンスである。

クライアントは、日頃の我々の通訳レベルにもう慣れてしまっている。
(このレベルが当たり前)と思ってしまっている。特別感が薄れている。
そして、馴染みのクライアントほど、我々の通訳に「馴染んで」しまっている

それが、超繁忙期になるとどうなるか。

馴染みのクライアントから依頼が来る。ぜひ担当したいところだが、超繁忙期のため、自分には別件が入ってしまっている。優秀な通訳者はもう軒並み押さえられている。
そこで、平時であれば自分(あるいは優秀な通訳者)が担当するはずのその案件に、一般的な通訳者がピンチヒッターとしてあてがわれる。

その通訳者のパフォーマンスを見た会議参加者やクライアントに
(ああ、**さん(=あなた)はやっぱすごいんだ。あれぐらいが当たり前、と思っちゃいけないんだな、ありがたやありがたや・・・)

と思わせられれば勝ちである。

その後、その案件/そのクライアントとあなたの結びつきはきっと強固になり、料金のプレミアム化(要するに値上げ)などもしやすくなるだろう。

ーーー

超繁忙期に我々通訳者が気にかけるべきは、いかに手帳を埋めるか、ではないと思っている。
超繁忙期なんだから、ある程度の通訳者であれば、ほっといても予定は埋まる。
ポイントは、いかに予定を埋めないかだ。

予定を空けておけば、直前になるとやってくる「大チャンス案件」を引き受けられる余地を残せる。

駆け出しの通訳者であれば、いかに案件を絞り、下克上案件でハチの一撃をかますかを考えるといい。超繁忙期を毎日朝から晩まで案件で埋めてしまうと、せっかくのハチも疲れ果て、ハエに見えてしまう。

一方、ベテランの通訳者にとって超繁忙期は、少しゆっくりと時間を過ごし、日頃自分が担当している常連クライアントをちょっと「泳がせる」いい機会だ。
平時にクライアントを泳がせるとそのままどこかに行ってしまうリスクがあるが(笑)、そこは超繁忙期。どんな通訳者があてがわれているか分からない。
超繁忙期が終わった頃、あなたの良さに再度気付いたクライアントからの連絡が複数来れば、日頃自分がやるべきことをやって来た証明になるだろう。



駆け出しであれ、ベテランであれ、日頃がんばっている通訳者にとって、超繁忙期は大チャンス(逆も然り)。
ぜひ戦略的に取り組んで、キャリアの次元を上げていきたいものです。

by dantanno | 2017-12-01 12:32 | プレミアム通訳者への道 | Comments(1)
Commented by Shira at 2017-12-01 12:48 x
はい!