たんのだんのブログ

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ああ、海外展開・・・

以前、一緒に回った投資家のお話。
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一週間かけて、いろんな会社を回りました。

IR Mtg.の後半(50分ぐらい)になると、必ず聞いていたのが
投資家 "What are your plans for overseas?"
今後の海外事業についての考え方を問う質問です。



それに対し、待ってました!とばかりに、
企業 「ハイ!海外展開については積極的に進めて行こうと思っていまして・・・」
と、うれしそうに答える企業 (以下A社)。



投資家は、その場ではニコニコして聞いていますが、
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訳している僕としては、毎回
D (Oh, no...)
な気持ちに。

この質問、実は引っかけ問題なんです。



Mtg.終了後、エレベーターの中で僕と二人っきりになった途端、
投資家 「A社も 「積極的に海外展開」 か。。。 厳しいな」
となり、エレベーター内の空調設定が一気に3℃ぐらい下がります。


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A社からすると、
海外展開は攻守に渡り、Makes sense(理にかなっている)です。

攻め: 特に新興国などに進出すれば、日本国内の低成長を補う高成長を実現出来る可能性がある。
守り: いろいろな国で事業を展開すれば、リスクを分散できる。



でも、投資家からすると、必ずしもそうではない。



投資家がA社に投資しているのは、
日本のリスク(およびそこから得られるリターン)に投資したいと思っているからであって、
「中国リスクを取りたいから」ではありません。

言い換えると、投資家が

攻め: 「中国に賭けたい!」
守り: 「日中でリスクを分散したい。」

と思ったら、日本企業であるA社への投資を維持・縮小した上で、別途、中国企業B社に投資をすればいいわけです。

何も、「日本企業A社経由の中国投資」をする必要はありません。
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直接中国に投資すれば、例えば中国企業B社の低コスト(安い人件費等)の恩恵にあずかれるのに対し、
日本経由での投資になると、日本企業A社の高コストを負担する必要が出て来ます。

また、日中間の投資バランスを自分で自由に決められず、A社にゆだねる必要が生じる、という問題もあります。

さらに言うと、日本が昨今のように日中、日韓、日露と、全ての隣国と領土問題でモメている残念な状況を踏まえると、例えば日本経由の中国投資がとてもリスキーかつイロジカルに思えてくる、というのもあるかもしれません。


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日本企業に対し、
投資家 「これだけ円高なのに、なぜ海外でのM&Aを積極化させないのか?」

と迫る投資家もいれば、
今回同行した投資家のように、日本企業による海外投資を嫌気する投資家もいます。
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FYI(ちなみに)、、、
海外投資を嫌がる傾向は、特にJ-REITに投資している投資家に強いと思います。
J以外にA、S、K、US-REITと幅広い投資対象があるので、
投資家 「投資の国際分散はオレが自分でやりたい」
という人が多い。

今後の規制緩和で、J-REITによる海外不動産投資がしやすくなる可能性がありますが、
日本企業Love!なIR通訳者からすると、ぜひ慎重に考えていただければ、と思います。



投資家の意向に安易に迎合する必要は無いと思いますが、
同じ「海外展開をします」という話をするのであっても、
投資家が心の中で求めているものを察知し、それに合わせてプレゼンすると効果的だと思います。
by dantanno | 2012-08-31 01:37 | IR通訳 | Comments(0)