ガレキの受け入れを拒んでいる人たちにお願い
2012年 03月 15日
被災者の方々は、懸命に生活・人生を立て直そうとしています。
しかし、復興がなかなか進みません。
その理由の一つとして、未だに被災地に残る、大量のガレキ(Debris)の問題が挙げられます。
1年間で、まだ全体の6.7%しか処理できていないそうです。
みなさんは、ゴミの山に囲まれて、ゼロから、いや、マイナスから、
生活を立て直すエネルギーを生み出せますか?
しかも、このガレキは、普通のゴミよりもはるかにタチが悪いと思う。
だって、ガレキの内容物は、壊れた家の柱だったり、洋服だったり、自転車だったり。。。
それは、津波で流されてしまった、「地震前の生活」そのもの。
それが山のように、いや、津波のように迫ってきている中で、
どうやって新しい生活、新しい人生を踏み出せましょうか。
せっかく前に向けようとしていた気持ちも、すぐに後戻りしてしまうでしょう。
なぜ、ガレキの処理が進まないのか。
量が多いからです。
被災地では処理しきれないからです。
そして、一番の原因が、
日本の多くの都道府県・自治体、およびそこに住む「非被災者たち」が、受け入れを拒んでいるからです。
今まで、なんでも菅さん・政治家・東電・etc.のせいにして来た我々も、初めて
「我々一般人のせいで、復興が進まない」
という現実に直面しています。
なぜ、ガレキの受け入れを拒むのか。
僕は、ガレキの受け入れに超大賛成なので分かりかねますが、
ちょっと反対派の人たちの気持ちを想像してみます。
1. 放射能が恐いから
これは、当然そう思いますよね。僕だってそう思います。
特に、小さい子供がいる方とかは、非常に神経質になって当然だと思います。
でも、ちょっと考えてみてほしいのは(まさか、まだ考えていないとは思いませんが)、
被災地の人たちだって、「放射能は恐い」し、
被災地にも子供はたくさんいるわけです。
沖縄からの米軍基地移設を拒む県が、その理由として
「ウチの県に米軍基地があったらイヤだから」
と言うのと一緒。
米軍基地だらけの沖縄県民にとって、あまり説得力のある理由ではありません。
しかも、「放射能レベルが低く、安全性に問題が無いガレキだけでもいいから、受け入れてください」
とお願いされているわけです。
それすらも拒むのは、被災者と同じ日本国民として、一体どうなのか、と思ってしまうわけです。
(ガレキ受け入れ拒否の人からは、「半分外国人のお前に言われたくないわ」と思われちゃうかもしれないけど。
でも僕、国籍は日本です。あと、そもそも意見を表明するのに「何人か」は関係無いと思う。)
2. (上記1.に関連し)政府の言うことは信用できないから
本当に放射能レベルが低いのか。信用できない!
という意見ですね。これも、お気持ちはよく分かります。
特に原発関連については、最近になって、当時公開されなかった情報が出てきたりして、
それが不信に拍車をかけています。
その気持ちは分かるんだけど、今はそれを言っている場合じゃない、超非常事態だと思う。
しかも、こうしてちゃんと放射能のチェックを反対派立ち会いの下で行い、
危険性が無いことを確認しているわけです。
3. 被災地で処理できるんじゃないの?という気がするから
新聞に、おもしろい投書がありました。
せっかく被災地に集まっているガレキを、なぜわざわざ全国に拡散させるのか。
どうせ、原発周辺の地域はこれから何十年も立ち入り禁止なんだから、
そこに置いておけばいいじゃないか、という意見です。
ある意味ごもっともですね。
当然、政府もそれを考えていて、
原発周辺の地域には、高濃度の汚染水とか、それこそ高濃度の放射能を帯びたガレキとか、
そういった危険物質を保管しようとしています。
それだけで東京ドーム120-130個分。
(これについては、今度は被災地側がそれを拒絶していて、なんとも皮肉です。)
上記以外の、放射能レベルが非常に低いガレキを積んでおくスペースが、物理的に無いんだと思います。
政府もバカじゃありません。
被災地に置いておけるものなら、多分そうするでしょう。
それが出来ないから、こうして苦労して、全国の自治体・人々に頭を下げて頼んでるんだと思います。
海外からの目が気になります。
震災後、世界中の国の人たちが日本を支援してくれました。
トモダチ作戦の米軍とか、台湾とか、カンボジアとか。挙げていけばキリがありません。
その人たちが、ちょうど今頃、このガレキの騒動をメディアで見聞きしている頃でしょう。
「外国人である我々がいろいろ支援をしたのに、
同じ日本人同士で、ガレキの受け入れを拒んでいるなんて」
と、なんだかあきれちゃうんじゃないでしょうか。
Kizuna!
Pray for Japan!
でも、ガレキはお断り!
相当恥ずかしい。。。
ガレキ受け入れ拒否の人にぜひ考えてみていただきたい。
もしみなさんの県で災害があって、そのガレキを県外に搬出する必要が生じたら。
東北の人たちを、どう言って説得しますか?
それこそ、「どのツラ下げて・・・」となるでしょう。
みなさん自身は、別にそれでもいいのかもしれないけど、
みなさんの子供たちは、ガレキに囲まれて学校に通うことになって、果たしてそれでいいのか。
ぜひとも、今一度被災者の気持ちに思いをめぐらせ、ガレキを受け入れてください。
今回の件は、行き過ぎた民主主義の弊害だと思います。
国が自治体・国民に
「ガレキの受け入れにご協力ください」
とお願いし、自治体・国民がそれに対して
「ヤダ」
という押し問答。
自分の県、自分の町、自分の家族。
どれも、要は自分
本件を、自分の視点でしか考えていない自治体や人々にこういうお願いをしても、
断られるに決まっています。
理想は、国民一人一人が国レベルの視点をもって考えること。
なでしこジャパンの時はみんな出来たんですけどね。。。
話がガレキになると、難しいんでしょう、きっと。
であれば、国レベルでものを考えることが出来る、国が強力に推し進めるしかない。
「お願い」なんかしてる場合じゃないと思います。