通訳者は、何を考えながらメモを取っているのか
2011年 12月 24日
通訳者は、一体何を考えながらメモを取っているのか。
これはなかなかディープなテーマです。
ちょっとハズいけど、僕の、本番でのメモを3パターンご紹介するので、それを肴にやりましょう。
1. 標準編
2. 「小さく」取る編
3. ついていくだけで精一杯(笑)編
特に、IRISの通訳者のみなさんにとって、何らかの参考になれば幸いです。
1. 標準編

みなさんのメモと比べてどうですか?まあこんなもんですか?
以前、この記事でご紹介した、メモ取り記号達がたくさん登場していますね。
特に、「→」の重要性がお分かりいただけると思います。
矢印で、いろんなことを表現出来ます。
上向き・下向きのトレンド
何かが継続していること
そして、最も大事なのが、Logicのつながり。A→Bとかね。
<丸で囲っている箇所>
うまく訳せなかったとこです。
このときは、「画像の圧縮」 と 「版元」 の訳がすぐ出てきませんでした。。。
(なるべくその日のうちに) IRISのデータベース(DB)に反映させ、
次回、その企業を訪問した際は、絶対に失敗しないようにしています。
このDBは、IRISの通訳者たち全員とShareする予定です。
<メモを何語で取るか>
余談
こんなハーフ顔をしていると、よく聞かれるのが、
人 「夢は何語で見るんですか?」
ピュアな方ですね。 そこが気になりますか。
答えは
D 「両方です」
まあ、基本日本語だけど。たまに英語で見たりします。
余談はさておき、メモは何語で取るべきか。
日本語の発言のメモは、何語で取るか。
英語の発言のメモは、何語で取るか。
実は、正解があるんです。
正解は・・・・・・・・・・・・・・
自分でいろいろ試してみたら?
(ズッ)
いろいろ試行錯誤して、自分の好きな方法を見つけたらいいんじゃないでしょうか。
「いろいろ」と言っても、やり方は2通りしかありませんからね。
(英日それぞれについて、英日それぞれで取ってみる)
試行錯誤してみて、思ったことがあれば、今度教えてください♪
「何語でメモるか」については、IRISの勉強会にも来てくれている、BYP?のギタリストさんのブログにも載っています。
<「後からメモを見て、そのミーティング(Mtg.)の内容を再現できますか?」>
よく聞かれます。
いや、すいません、一度しか聞かれたことがありません (なぜここでサバを読む?)
でも、いい質問だと思います。
通訳者によりけりですが、僕の場合、その日のうちであれば、ほぼ正確にMtg.の内容を再現できると思います。
余談
(よく、Mtg.終了時に「Confidentialなので・・・」とプレゼン資料が回収されるケースがありますが、
ほんとにちゃんとやりたければ、通訳者のメモも回収しないとダメですよ。
そこに、Mtg.の内容が全部書いてあるんだから。
もっとも、そのメモは誰の資産か、という問題があると思いますが。
僕は、自分のメモはぜひ持って帰りたいです。僕の作品だし。家で復習するし。
あと、そもそも、Mtg.の内容は、全部通訳者の頭の中に入っちゃってる、という問題もありますね。
悪意をもって情報を漏らそうと思えば、いくらでも出来てしまうわけです。
信頼関係が大事ですね。
まあ、あまり”Confidential, confidential”と騒がないことです。
そうやってもったいぶるときに限って、たいして意味のあるMtg.じゃなかったりします。)
(この最後の2行は後で消さないとマズいかな・・)
Mtg.当日はまだ思い出せるけど、
一週間とか経っちゃうと、もうダメですね。あんま思い出せない。
なぜそうなるのか。
理由はいくつかあると思います。
1.臨時のメモ取り記号
メモ取り時の記号には、2通りあります。
自分の定番の記号と、
そのMtg.のためだけに生み出した、臨時の記号
定番記号の例:
「売上増」 S↑
「コスト削減」 CC (cost cuttingの略です)
定番の記号を使ったメモであれば、間をあけても、後から内容を再現できます。
でも、臨時の記号を使ったメモだと、そうはいきません。
臨時記号の例:
「コンパクトカーのラインアップを拡充していきたい」 CC Lup ↑☆
コスト削減で、ルパン三世が流れ星?
意味不明です。
2.本番では、リテンション能力を使っているから
Mtg.の内容を後から再現できない、もう一つの理由。
こっちがメインの理由ですね。
訳す際、メモはあくまでも補助的なもので、メインのエンジンはリテンション能力(短期記憶力)です。
メモは、
通訳者 (ああ、そうそう、そういう話があったっけ)
と、思い出すためのキッカケにすぎないわけです。
具体例
Speaker 「この前、100円拾ってうれしかった」
残念なメモ 「この前、100円拾ってうれしかった」
いいメモ 「100☆」
いいメモでは、全部メモってないでしょ?
その分、頭の中で覚えてるわけです。
メモした内容は、「100」と「☆(星マーク)」だけ。
これで、「100という数字に絡む、なんだかPositiveな話」だったことを思い出す助けとするわけです。
(こう考えると、リテンションって単なる「短期記憶力」の話にとどまらず、Speakerとの「想いの共有」にもつながっているんですね。。。
話が長く/ウザくなりそうなので、この辺にしときますが。
4月から学校で教える際、こういうところから徹底的に(笑)やりたいと思っています。学生諸君、楽しみにしててね。)
<色使いについて>
2色でメモを取っているのがお分かりいただけると思います。
僕は、よくニコペンを使って仕事をしています。
(ニコペンという、人類史上サイコーの発明品については、別の記事で改めて。)
ちなみに、、、
色を分けないと、こうなります。

まあ、見た目が見苦しいのは別にいいんですが(どうせ僕しか見ないから)、
問題は、直前のメモを「消す」必要が出てきてしまう点です。
(そうしないと、どこまでが前回の発言のメモで、どこからが今回の発言のメモか、分からなくなっちゃうから。)
余談
Logicの区切り
メモを見てみると、僕は横線を多用しています。
これはLogicの1区切りを表しています。発言の区切りではありません。
1発言につき、Logicは1つかもしれないし、2-3個あるかもしれない。
Logicで区切ると、訳しやすいですよ♪
ご覧の通り、直前のメモを、シャッと横線で消したり、グルグル線を書いて消したりしていますね。
これで0.?秒ロスするのと、何よりも音がうるさい。
会場から、
会 「お前が線をシャッと消す音を聞きに来てるんじゃないんだよ!」
という、至極ごもっともなツッコミが聞こえてきそうです。
余談
(今度、通訳付きのMtg.に参加することがあったら、聞いてみてください。
シャッシャカシャッシャカやってるから。
そうやって、自分に気合いを入れている通訳者もいます。
気持ちは分かるんだけどね。分かるんだけど、会場にいる人たちのことも考えましょう。)
なので、基本的には2色でメモを取ります。
(たまに気分転換で1色にすることもあります。)
2色でメモを取り、発言の切れ目で色を変えることにより、
直前のメモを消す必要がなくなります。
一度や二度ならいいけどね。
通訳者としてのプロ生活中、何*万回も「シャッ」とメモを消すことを考えると、この差は結構大きい。
2. 「小さく」取る場合

いつも、いろんな実験をしています。
これは、メモを小さく取ってみた場合。
この1ページで、1時間の会議全てをメモしています。
(この頃、僕はまだ真面目で、通訳の出来とMtg.の所要時間の関係を研究していたので、
メモの最後に"1hr"と、かかった時間をメモしているのが微笑ましい。
当時、「メモ取りの量はなるべく少ない方がいい」という仮説を立て、
なるべく無駄無く、なるべく小さく取ってみた結果です。
その分、リテンション能力でカバーしています。
今もあれこれ模索中。
余談だけど、メモの最後の方に
hr TY
ってあるでしょ?
これは
「今日はお時間をいただき、どうもありがとうございました。」
"Thank you for sparing your time today"
を表す、定番メモ記号。
一方、メモの冒頭は"conc JM"で始まっています。
投資家の "Today, I would like to concentrate my time on the Japan market”
的な発言のメモでしょう、多分。
省略されていますが、きっと冒頭でも投資家は
"Thank you for sparing your time today"
と言っているはずです。(メモは省略されています)
IR(Investor Relations)通訳って、武術の試合と一緒で、
最初と最後にほぼ必ず礼 = "hr TY"が入る、すばらしいスポーツなんです。
余談でした。
3. ついていくだけで精一杯(笑)の場合

ワケの分からない話題で、ほんとついてくだけで精一杯の時は、僕のメモは大きくなります。
あと、よく見ると分かるけど、メモが
記号
ではなく、
言葉
になっちゃってるでしょ?
前述の残念なメモである証左です。
かろうじて2色をつかっているのが、なんだか微笑ましい(哀れ)ですね。
<結論>
今の自分のメモ取り方法を俎上に載せ、あれこれツッコミを入れます。
・なぜ、そうやってメモるのか。その理由は。
・その方法の、Pros&Cons(メリット・デメリット)は?
・それが一番いい方法なのか。他にいい方法は無いのか。
常に模索し続けるのが大事だし、楽しい。
通訳は、意外とCreativeな仕事だと思います。

