フリーランスというもの(Part 3): Are you really "free"?

前々回、いろいろな辞書で「フリーランス/freelance」を調べてみました。


僕がおもしろいと感じたのは、いろいろな解釈がある中で、結構共通するのが
「自由」
というキーワード。
(元々の"freelance"が、"free"という文言を含んでいるので、当然と言えば当然ですが。)



辞書が絶対というわけではありませんが、
辞書によると、「不自由」な人は、「フリーランス」とは言えないっぽいですね。


「いや、私は「特定の団体に雇用されていない」もん!(だからフリーランスだもん!)」
と言ってみても、それだけだったら、ただの「無職」。

「雇われていない」という、フリーランスの「必要条件の一つ」を満たしたに過ぎず、
フリーランスたるための「十分条件」ではないと思います。
(そもそも、無理して「フリーランス」を名乗る必要などない、ことも忘れてはならない。)




閑話休題。
日本の通訳業界を見てみましょう。

通訳者たちがたくさんいますね。
ちょっと分類してみましょう。



1.インハウス通訳者 (別名「社内通訳者」)

僕のように、特定の企業に雇われて(正社員 OR 派遣社員として)、通訳をしている人たち。
フリーランスではありません。



2.専属通訳者 (専属ともいう)

特定の通訳エージェントに紐つき、そのエージェントの仕事しかしない通訳者たち。

「専属」は、広義の「フリーランス」に含まれる、という解釈も出来ますが、
勤務形態が多少異なるだけで、実質的にはインハウス通訳者と変わらないともいえます。

つまり、「一般企業」ではなく、「通訳会社」に雇われた、通訳会社のインハウス通訳者、という考え方です。

解釈はともかく、他の通訳エージェントや企業の仕事をすることを許されておらず、
「不自由」なわけですから、狭義の「フリーランス通訳者」には含まれません。



3.残りの人たち

さて、残りの人たちは、みんな「フリーランス通訳者」でしょうか。
世の中一般ではそうみなされているのかもしれません。

でも、僕はそう思わない。

なぜなら、世の中には、通訳エージェントの下請けとして働いている通訳者がいるからです。

エージェントからお仕事を頂き、
エージェントからお金を頂いている通訳者

「専属」ではないので、複数のエージェントと関係を持っています。
でも、どのエージェントとの関係も、ほぼ上記の通りで、似たり寄ったりです。

僕は、こういう通訳者を、「フリーランス通訳者」と区別し、
「エージェント通訳者」、あるいは「下請け通訳者」と呼んでいます。



<ちょっと補足>
もしかしたら、エージェント通訳者・下請け通訳者をけなしているというか、Negativeに捉えているような印象を与えてしまったかもしれません。
ごめんなさい、決してそうではないんです。

インハウスも、専属も、エージェント通訳者/下請け通訳者も、どれも人それぞれ。
どれにやりがいを感じ、どれを心地よく感じ、どれを選ぼうが、その通訳者の勝手であり、「いい・悪い」の話をしたいんじゃありません。




さて、、、

世の通訳者全体から、

インハウス通訳者を除き、
専属通訳者を除き、
エージェント通訳者/下請け通訳者を除いた、

その残りの方々を、
「真のフリーランス通訳者」

と、僕は勝手に呼んでいます。


① エージェント通訳者/下請け通訳者と、
② 真のフリーランス通訳者は、
見た目はそっくりで、外見からは見分けがつきません。

でも、中身(心構え)がだいぶ異なります。


① エージェントに依存しているか、
② エージェントを活用しているか、
の違いです。

言い換えると、
① エージェントから選択される存在なのか、
② エージェントを選ぶ存在なのか。

そして、この「真のフリーランス通訳者」こそが、IRIS事務局が「お客様」として遇すべき方々だと考えています。



いま、既に、真のフリーランス通訳者である人はもちろん「お客様」ですが、こういう人は少ない。
メイン・ターゲットは、

今はまだインハウス・専属・エージェント通訳者/下請け通訳者だけど、
将来は「真のフリーランス通訳者」になりたいと思っている人


そういう人が、これから時間をかけて、「真のフリーランス」になるお手伝いをするのが僕、というか、IRIS事務局の役割です。


「真のフリーランス」たちが、真に自由に、誇りをもって、楽しくお仕事に取り組める環境を整える。
そして、そのお仕事の価値に見合う、「適正な報酬」を稼いでいただくことも、我々事務局にとって、至上命題の一つ。


IRISは小さな会社です。
あまり多くの通訳者を相手にすることは出来ない。
でも、幸か不幸か、「真のフリーランス」である通訳者、および将来そうなりたいと思っている人、そうなるポテンシャルを持っている通訳者は、あまり多くない。

IRISは、そういった「真のフリーランス通訳者(の卵の方も含む)」のための通訳会社になるんです。

Part 4: Don't abuse your freedomに続く>
by dantanno | 2011-11-01 06:45 | 通訳 | Comments(0)