「正確な訳」に逃げていないか : その①
2011年 06月 27日
通訳を始めた頃、僕の訳は意訳・要約が多かった。
なぜそうだったのかというと、
①その方がいいと思っていたのが半分。
残りの半分は
②メモ取りの技術がまだ不十分で、電子辞書もうまく活用できず、リテンション能力も低く、そうせざるをえなかったから。
その後、毎日Shadowingを一定時間、センテンスをずらして行うことにより、リテンション能力を高めまくりました。
自分でもはっきりと「ああ、上がったなあ」と感じるほど。
ちなみに、Shadowingにはいろいろなやり方があるでしょう。
例えば:
①Speakerの発言をすぐに再現
②Speakerの発言を、センテンスをずらして再現
③Speakerの発言を、センテンスをずらし、あえて他の表現でReproduce(同じ表現を使うのは禁止)
④その他、おもしろいやり方があれば教えてください!
一般的に「Shadowing」といった場合、①を指すことが多いのかもしれませんが、僕が好きなのは③です。一番脳が疲れます(笑))。③だと表現力(正確には、「頭の中の引き出しから、すぐに表現を探しに行く能力」)も磨ける気がします。
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リテンション能力がアップするとともに、通訳にもだんだん慣れてきました。
そして、より正確に訳せるようになりました。
・・・・・。
酔いましたね、そのAbilityに。だって、昔は出来なかったんですから。
ただ、不思議なことに、ウデは上がったはずなのに、「昔の方が通訳を褒められたなあ」と感じました。
また、自分でも、当初の「酔い」が冷めるとちょっとした違和感が残りました。
その正体がなんなのか考えた結果、自分は
「正確な訳に逃げているのではないか」
と思いました。
ガーン。。。
つまり、「正確に訳せばいいんでしょ」ってことで、何も考えずに訳出をしているんですね。
「聞き手にとって一番分かりやすい訳かどうか」はお構いなしに、「Speakerが言ったのはこうです」と再現しているだけ。それじゃ、通訳機能付きのテープレコーダーと同じですよね。 (そんなのあったらほしいけど)
そこで最近では、さらに上のレベルを目指しています。
名付けて、「愛のある訳」。
Speakerの発言内容をちゃんと拾えた。
全部正確に再現しろ、と言われれば出来る。
その上で、あえて「分かりやすくデフォルメ」させる。
(ただし、意味を変えない程度に)
その目的は、もちろん「聞き手にとって分かりやすく」するため。
これが、僕が最近求めている訳です。
「そんなの当たり前でしょ」と一流の通訳者たちに言われてしまいそうですが、まあいまさら気付いたのでしょうがありません(笑)。
その②では、「愛のある通訳」について、もう少しつっこんで考えてみます。
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