たんのだんのブログ

irisjapan.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2014年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧

「起業家」のためのリスト

つねに自問自答しています。

事業を始める前から、そして始めた後もずっと悶々と自問自答している項目をリストアップしてみました。

そのリストに、「本当は考えるべきなんだろうけど、億劫だから考えてないけど、でも、やっぱり考えるべきだから考えよう、と思った項目」を足し合わせてみたらこうなりました。

(英語版はこちら



---



<何をしたいのか>
一体何をしたいのか。それを「一言」で言うと何か?

なぜそれをやりたいのか。

それに対し情熱を感じるか。情熱を感じる対象でないと、事業化する意味は無いのか?

(仮にその事業に情熱を感じないのであれば)一体何に対して情熱を感じるのか。そっちをやった方がいい、ということはないか。



<起業について>
そもそも、会社を興す必要があるのか?起業しないといけないのか?他の手段は無いのか?起業しないと、実現したいことを実現出来ないのか。

「起業家」に憧れてるだけじゃないよね。

お前は、「起業家」をどう定義するのか。



<事業分野>
事業内容は何?一言で言うと?

本当にそれが事業内容なのか、あるいは実は何か他のものなのか。
(例:Starbuck'sの事業内容は一見「コーヒーショップ」だが、見方を変えれば"A third place"、すなわち人々がくつろいだりetc.出来る場所を提供する「場所提供事業(不動産事業)」だとも言える。)

どこまで事業内容を狭める/広めるのか。その理由は?

将来、どの分野に拡大・進出したい、あるいはする可能性があるのか。

ビジョンは?仮にスローガンを掲げるとしたら、どんなスローガンか。



<市場>
既存の市場に参入したいのか、あるいは全く新しい市場を創り出したいのか。

市場規模は? 市場規模を計算・推測する意味はあるのか? どうせ市場規模が小さくてもやるなら、市場規模の分析など意味無いかも。

それは魅力的な市場なのか。例えば、巨大であるとか、成長著しいとか、とても収益性が高いとか、そういった魅力的な要素はあるのか。魅力的な市場でなければ挑戦しないのか。

その市場で今、どんな変化が起きているのか、あるいはこれから起きるのか。

お前が参入することにより、マーケットをどう主体的に変えたいのか。お前の戦略が奏功した場合、マーケットはどう変わるのか。

海外は?



<顧客>
顧客は誰か。

真の顧客は誰か。
(お前の「真の顧客」は、お前が「顧客」だと思っている人・企業ではないかもしれない。)

顧客候補の内、どの顧客をターゲットにするのか。逆に、無視すべき顧客は誰か。

顧客は、今は誰から買っているのか?

顧客は、何をもって購入先を他社からお前の会社に切り替えるのか。そうさせるインセンティブは何か。

顧客を囲い込む方策はあるか。どうすればロイヤル・カスタマーになってくれるか。



<現状の問題点>
現状の問題点は?

それらの内、お前はどの問題を解決したいのか。

その問題を解決することに対し、情熱を感じるか。その問題に対し、憤りを感じるか。

顧客は、その問題にフラストレーションを感じているのか。感じているべきか。

顧客は、その問題が存在することに気付いているのか。

なぜそのような問題が存在するのか?

なぜ今まで誰もその問題を解決出来ていない、あるいは解決を試みていないのか。

その問題を解決すると、一体どうなるのか。問題を解決する過程で利益を生み出せるのか(あるいはただの自己満足なのか)。

見た目が異なるだけで、本質的には同じ性質の問題が存在する他の業界は無いか。
その業界では、誰かがその問題に取り組み、解決出来たのか。
そこから学べることは無いか。



<競合>
競合相手は誰か。

真の競合相手は誰か?

競合の内、(起業後の)お前の会社に似ているのは誰か。
業界内で、どのプレーヤーがお前のロールモデルになるのか?

競合の戦略・強みは?

どうやって差別化するか。
お前の強みは?

お前が市場に参入することに対し、競合はどう反応するか。



<戦略>
お前のストーリーのどこがおもしろい・エキサイティングなのか。

おもしろくない・エキサイティングではない場合、やるに値しないのか、あるいはそんなこと関係無いのか(事業化できるのであれば、つまらなくてもやるべきか)

どうすれば、顧客がお前のサービスを使わざるを得ないように出来るか?

お前の事業の根底を成す仮説は?

事業を始めた後、何をもってその仮説が正しかったか間違っていたかを判断するのか。

何をもって「戦略がうまく行っているかどうか」を判断するのか。
どのKPIを用いるか。

お前がやろうとしていることを既にやっている人が
- 業界内にいるか
- 他業界にいるか
- 海外にいるか

その人・会社は成功しているのか。していない場合、それはなぜか。

誰かとパートナーシップを組むか。その場合、相手は?

どの部分をアウトソースするか。事業内容の内、「やらないべき」部分はどれか。

失敗したらどうするか。そもそも、「失敗」をどう定義するか。

何をもって、潔く負けを認め、撤退するか。

フェーズ分けすべきか?
(当初は××でもやむを得ないが、いずれは○○にする、というフェーズ分けも含む)

スケジュールは?いつまでに何をし、いつまでに何を達成するのか。

なぜお前なら成功すると思うのか。その自信はどこから来るのか。

お前のビジネスは、「将来こうなるだろう」というトレンド予測に基づいているのか。

仮にお金がたくさんあったとして、M&Aをしたいか?誰を買いたいか。なぜM&Aをしたいのか。なぜしたくないのか。

規模を追及するのか、しないのか。

ネットをどう活用するか。



<人>
誰と一緒にやるのか?

どういったスキル・能力を求めるのか。

その人たちをどうやって雇う/集めるのか。

どうやっていい人を採用し、残ってもらうか。

給料はいくら払う?

誰にアドバイザーになってもらうか。



<プライシング>
現在、価格を決めているのは誰か。価格が決まるメカニズムは?

どんな価格設定にするのか。
- 高価格: 何をもって裏付けるか
- 低価格: どうやって低コスト運営を実現するか。(低価格を実現するために)どのバリューを捨てるのか。
- 平均的な価格: せっかく強みがあるのに、なぜ平均的な価格で妥協するのか

競合が価格を引き下げてきたらどう対応するか。っていうか、そもそも対応するか。

割引はするのか。どのような場合にするのか。



<クオリティ>
高クオリティ?低クオリティ?
- 高クオリティの場合: 顧客は本当にそれを求めているのか、あるいは単にお前の自己満足なのか。そのクオリティに対し、顧客にお金を出させることは出来るのか。
- 低クオリティの場合: クオリティを向上させるためのコストと、クオリティが向上した場合のメリットを比較した場合、本当にコスト>メリットなんだよね?低クオリティで勝負した方がいいんだよね?

どうやってクオリティを確保・向上させるのか。

そのサービスを「ブランド」にするのであれば、どうやってブランドを創るか。どうやって守るか。



<販売・マーケティング>
どうやって宣伝・販売・マーケティングするか。予算は?

どの販売チャネルを使うのか。

自分で売るのか、あるいは誰かに「売ってもらう」のか。



<仕入れ>
誰から仕入れるのか。

どうやって仕入れ・仕入れ先のクオリティを維持するのか。

どうやって仕入れコストをコントロールするのか。



<見通し>
売上、費用 → 利益 の見通し

強気、普通、コンサバ目、それぞれの収益見通し

その程度しか儲からなくてもやるべきか。



<改善>
お前(個人)はどうやって成長していくのか。

チームをどうやって成長させていくか。

事業をどうやって成長させていくか。



<マネジメント・スタイル>
この事業に、自分の時間の、自分の人生のどれだけを費やしたいのか。
寝る時間以外は全てこの事業に捧げたいのか、あるいは逆に出来るだけ時間をかけたくないのか。

お前がこの事業において果たす役割は、いつ、どのように変わる/変えるのか。そもそも、変わる/変える必要はあるのか。




<リスク>
どんなリスクがあるのか。

お前にとって事業をやりにくくなるような、あるいは顧客にとってお前からの購入が難しくなるような、規制上・構造上の問題・障害はあるか?

それらのリスクを、どのように最小化・コントロールするか。つぶせないリスクはどれか?

腹を括って取りに行くリスクはどれか?



<準備>
事業を始められるようにするためには、何を準備すればいいのか。

成功の確率を高めるためには、何を準備すればいいのか。

お金はいくら必要か?そのお金をどのように手当てするか。どのように返済するか。

準備にどれくらい時間をかけるのか。本当に「開業を遅らせてでもそれを準備した方がいい」んだよね?



<レビュー>
事業開始後、どれぐらいの頻度で事業をレビューするか。

どういった項目をレビューしたいのか。

どのKPIをレビュー時の指標として使うのか。

例えばこんな項目をレビューすべき:
・何に時間をかけている/取られているのか。それでいいのか。(よくない場合、)一体どうするのか。
・当初スケジュール通りに進んでいるか。(進んでいない場合、)一体なぜか。一体どうするのか。
・戦略はうまく行っているのか。(行っていない場合、)一体なぜか。一体どうするのか。
・そもそも、何をしたかったんだっけ?のおさらい
・人を増やしたり、パートナーを見つけたり、アウトソースしたりする必要は?お前個人レベル、および会社レベルで。



<このリスト>
このリストに付け加えるべき項目は何か。

このリストから、お前にとって重要な項目を5つだけ選ぶとしたら、どれを選ぶか。3つだったら?1つだったら?
by dantanno | 2014-06-30 23:03 | 経営 | Comments(0)

The "entrepreneur" list

A list of:
1. questions I've been asking myself before and after I started my business, combined with
2. things I should be thinking about, but so far haven't bothered to think about, but I'm thinking of thinking about because I think they're important.

(Click here for the list in Japanese)



---



<What is it that you want to do?>
What do you want to do? To sum it up in one word?

Why do you want to do this?

Do you feel passion for that cause? Should you?

What DO you feel passionate about? Shouldn't you be doing that instead?



<"Entrepreneur"-related issues>
Do you HAVE to set up a company? Does it HAVE to be a business? Do you HAVE to be an entrepreneur? Can't you achieve whatever you want to achieve WITHOUT setting up a company?

I hope you aren't just an "entrepreneur wanna-be".

How do you define "entrepreneur"?



<Domain>
What do you want to do? To sum it up in one word?

Is that really what you're going to do, or is it actually something else? (Starbuck's LOOKS like a coffee shop business, but you could also say it's a "Third place provision business", or a real estate business)

How narrow/wide do you want to go? Why?

Which areas will/might you expand into in the future?

What is your vision? Your slogan?



<Market>
Do you want to enter an existing market, or create a new one?

How large is the market? Does it matter?

Is it an attractive market? Is it growing? Is it very lucrative?

What changes/trends do you see?

How will YOU change the market? What will happen to the market if you're successful?

What about overseas markets?



<Clients>
Who are your clients? Who are your "real" clients? Your REAL clients may not be te people you THINK are your clients.

Which clients will you target? Which clients do you not need?

Who are they buying from?

Why will they switch to you? What will make them switch to you?

Is there any way you can secure your clients? How do you make them loyal?



<Problem>
What problems are there in the current market?

Which one do you want to solve?

Do you feel passionate about solving that problem? Are you angry about it?

Are your clients unhappy about it? Should they be?

Do your clients realize that the problem exists?

Why does the problem exist? 

Why hasn't anyone solved/tried to solve it?

What will happen when you solve the problem? Does solving the problem generate profit?



<Competition>
Who are the competitors? Who are the "real" competitors?

Who is similar to you? 
Who do you want to be?

What are your competitors' strategies/strengths?

How will you differentiate? How are you unique?
What is your strength? 

How will your competitors respond to you entering the market?



<Strategy>
What makes your story compelling?

Should you be doing it if it's not compelling?

How can I force clients to use my services?

What hypothesis is behind your business?

After you start the business, how will you determine whether you were right or wrong?

How will I measure whether or not my strategy is working?
Which metrics will I use?

Is there anyone doing something similar:
- in the industry?
- in other industries?
- overseas?

Have they been successful? Why not?

Will you partner with someone? Who?

What will you outsource? Which part of the business do you NOT want to do?

What will you do if you fail? Define "failure".

What will make you give up?

Should you set phases?

What's your schedule? What will you do by when, achieve by when?

Why do you think you will succeed? What gives you the confidence?

Is your business based on expectations of future trends?

(For argument's sake) Do you want to M&A? Who?

Size. Big or small?

How will you use the web?



<People>
Who will you work with?

What skills should they have?

How will you hire them?

How will you attract/retain good people?

How much will you pay them?

Who will be your advisor(s)?



<Pricing>
Who currently determines the prices? What is the pricing mechanism?

What prices will you set?
- High: How will you justify high prices?
- Low: How will you achieve low costs? Which value are you going to cut out?
- Average: If your service has an edge, why settle with average pricing?

What will you do if your competitors respond by lowering their prices?

Will you offer discounts? To who?



<Quality>
High? Low?
Do your clients want high quality, or is it just you? Will they pay for it?

How will you secure/improve quality?

If your service is going to be a brand, how will you create it? How will you protect it?



<Sales & marketing>
How will you advertise/sell/market your service? How much are you willing to spend?

Which channel will you use?

Will you get someone to sell for you?



<Sourcing>
Who will you source from?

How will you ensure quality?

How will you control costs?



<Projection>
Sales, costs → profits

Bullish, base case, conservative

Is it worth it?



<Improvement>
How will you (personally) improve?

How will your team improve?

How will your business improve?



<Management style>
How much time do you want to spend on this?

How/when will your role change? Should it?



<Risks>
What kind of risks are there?

Are there any regulatory/structural issues making it difficult for you to operate, or preventing your clients from buying from you?

How will you mitigate the risks? Which risks can you NOT mitigate?

Which risks are you willing to embrace?



<Preparation>
What do you need to do in order to be able to start the business?

What can you do in preparation to improve your chances of success?

How much money do you need? How will you raise it? How will you repay it?



<Review>
After you start, how often do you want to review your business?

What items do you want to review?

Which KPI's will you track to monitor your performance?

Some items to review:

・What are you spending your time on? Is that OK? What to do?
・Are you progressing according to your initial schedule? If not, what to do?
・Is your strategy working? If not, what to do?
・What was it that you wanted to achieve?
・Do you need more people? Do you need to partner? Do you need to outsource? Both at the personal and company level.



<This list>
What other items should you add to this list?

Which 5 questions on this list are most important to you? Which 3? Which 1?
by dantanno | 2014-06-30 22:59 | 経営 | Comments(0)

いい通訳は、経済にとっての貨幣のような存在

通訳は、とても付加価値の高い、重要な職業です。

通訳の善し悪しは、ミーティングの成否を左右します。
いい通訳は、コミュニケーションに伴うロスを最小化し、ミーティングを成功に導く。
ときには、質の高い通訳が会議参加者を感動させることさえある。

そして、そのようないい通訳をするのはとても難しい。

通訳者はたくさんいますが、いい通訳者は本当に少ない。
いい通訳者が育つためには、なんらかの素敵なきっかけと、長年に渡る努力・経験、そして運も必要です。



---



通訳は、その価値、その重要性、そしてその難しさの割に、それに見合った十分なリスペクトを得ていない、と感じることがあります。
分かってくれている人も多いが、分かってくれていない人もいる。

なぜ、通訳はそれに見合った十分なリスペクトを得られていない(ことがある)のか。

内部要因: 質の低い通訳が、通訳全体に対する評価を押し下げているから
外部要因: 通訳が誤解されているから

内部要因については業界内でなんとかするとして、ここでは外部要因について考えます。



通訳はどう誤解されているのか。

それは、「通訳は、結構簡単なのではないか」という誤解ではないか。
「バイリンガルであれば、通訳なんて簡単に出来てしまう」という誤解があるのではないか。

人は、なぜそう誤解するのか。



---



確かに、そう誤解する気持ちも分かります。

例えば日英間の通訳であれば、日本語を英語にしたり、英語を日本語にしたりするわけですが、

りんご → Apple
Fish → 魚

日本語と英語が両方出来れば、通訳なんて簡単じゃないか、と思う人がいても不思議ではない。

特に、バイリンガルではない人ほどそう思いやすいのではないか。
バイリンガルではない人が、
「もし自分が英語ペラペラだったら、きっと通訳ぐらい出来るだろう」
と思ったとしても、なんだか無理はない気がする。
一方のバイリンガルたちは、事がそう簡単ではないことを分かっていることが多いかもしれない。



---



「バイリンガルでありさえすれば、通訳は出来る」と誤解する背景に、「実際にそうだったから」というのもあるかもしれない。



部長 「オーイ、田中」

田中 「ハイ、なんでしょう」

部長 「お前、確か英語出来たよな」

田中 「はあ、一応・・・」

部長 「今度、アメリカの取引先とのミーティングがあるんだけど、お前通訳して」

田中 「え?!オレがですか?無理ですよ、通訳なんてそんな・・・」

部長 「英語出来るんだから、通訳ぐらい出来るだろ。頼んだぞ」



という具合です。



その後、ミーティングの日になりました。

ここで田中が撃沈して、ミーティングがしっちゃかめっちゃかになれば、(そっか、やっぱ通訳って難しいのかな・・・)となるかもしれません。

でも、田中が通訳をして、ミーティングが無事終了した場合はどうでしょうか。

田中はプロの通訳者ではない。
通訳になるための専門的な教育も受けていない。

その田中が通訳をし、ミーティングが滞りなく進行し、無事終了した。

関係者が
(なあんだ、バイリンガルでありさえすれば、通訳出来ちゃうんじゃん)
と思ったとしても、無理はありません。



---



なぜ田中は、プロの通訳者ではないのに、ちゃんと通訳出来てしまったのか。
通訳が簡単だから、ではありません。ではなぜか?



まず、「田中がちゃんと通訳出来た」という前提を疑う必要があると思います。



以前、こういう記事を書きました。
通訳のウデを評価するのはとっても難しい。
ミーティングが滞りなく進行したからといって、田中の通訳が上手だったとは限らない。

アメリカの取引先の発言内容は、実は日本側に正確に伝わっていないかもしれない。
日本サイドの言っていることが、ちゃんとアメリカ側に伝わった保証もない。

d0237270_22404620.jpg


---



では仮に、田中が間違いなく上手に通訳出来ていた、と仮定しましょう。

プロの通訳者でもないのに、なぜ上手に通訳出来たのか。
それは、以下の3点を兼ね備えていたからだと思います。



1.高いレベルの語学力・言葉力

2nd languageである英語はもちろん、母国語である日本語についてもある程度のレベルが必要になります。
単に「単語を知っている」というだけでなく、言葉を操る能力(Command of the language)が求められる。
「この人は何を言いたいのか」を理解し、「どう説明すれば、それがうまく伝わるか」を察知するのは、日本語力・英語力を超えた「言葉力」とでも言うべき能力で、それが無いと上手な通訳は出来ないと思います。



2.一定のIntelligence

上手に通訳をするためには、日本語と英語が両方上手であり、高い言葉力を持っている上に、一定のIntelligenceが必要だと思います。
ここでいうIntelligenceは、言葉力とかぶる部分もありますが、頭の回転の速さ、場の雰囲気や流れを読む力などを含む、より広い概念です。



上記1.と2.はつまり、「田中がすごい」ということです。
「ウチの田中でも通訳出来ちゃうんだから、通訳なんて簡単なんだな」
じゃなくて、
「田中がすごい」
ということです。

そして、次の3.が一番本質的な気がするんですが、



3.話されている内容に関する背景知識

これがあれば、話し手の言わんとすることを理解しやすいし、それを説明しやすい。
通訳の力がそれほど高くなくても通訳出来てしまう、という場合、背景知識が一番大きな要因ではないでしょうか。



上記3つの条件が揃えば、プロの通訳者でなくても、ある程度上手に通訳出来ることがあるだろうと思います。



---



では、プロの通訳者と田中の違いは何か。
順に考えていきます。



1.高いレベルの語学力・言葉力

通訳者は毎日毎日通訳をしているわけですから、田中以上のものを持っているでしょう。
でも、これは本質的な違いではありません。



2.一定のIntelligence

当然あると思います。



3.話されている内容に関する背景知識

特定分野の通訳を専門とする通訳者もいれば、様々な分野の通訳を幅広く手がける通訳者もいます。
前者はともかく、後者の場合、何らかの分野の専門家ではないことが多い。
唯一専門分野があるとすれば「通訳」であり、それ以外の分野については広く浅い知識を持っています。

一昨日は政治家のインタビュー、昨日は原発のシンポジウム、今日は医療、明日はIT、来週はIRと飛び回る通訳者の知識の広さには驚かされます。
ただ、日々特定の分野における業務に従事している専門家にかなわないのは当然です。

では、何をもって背景知識の不足を補うのか。
日々の案件に向けた予習はもちろんですが、それとは別の、本質的な要素は何か。



4.通訳の能力

1.で述べた語学力や言葉力も通訳力の一部ですが、ここで言っているのはそれとは別の、狭義の通訳力です。

・ 発言の内容を記憶する力。
・ 後から話を再現・再構成しやすいメモを取る力。
・ 場の雰囲気や聞き手の状況に合わせた訳し方の調整。
・ うまく訳せないときのごまかし方(笑)。
・ etc., etc.

こうした通訳力があるおかげで、自分の専門分野ではないテーマについても上手に訳せるのです。
「自分の専門分野であれば」という条件付きで上手に訳せる田中との一番の違いはここです。



---



この世から通訳者がいなくなると、一体どうなるか。

ある分野の会議で通訳が必要な場合、その分野の専門家であり、かつ語学力・言葉力が高く、一定のIntelligenceを持った人を見つけ、当日かり出さなければいけません。

これは貨幣の無い時代、物々交換の時代、漁師が肉を食べたいと思ったら、「ちょうど魚を食べたいと思っていた!」という狩人を見つけないといけなかった不便・高コストに似ています。

d0237270_22431645.jpg


通訳がいるおかげで、どの分野の会議でも安心して通訳者に任せ、いい結果を得ることが出来るわけです。

そう考えると通訳者は、経済における貨幣に相当する、とても重要な役割を担っている、といえます。



---



腕のいいプロ通訳者であれば、引き受けた仕事をきっと成功させるでしょう。
プロなんだから当然、といえばその通りなんですが、出来れば一言かけてほしい、とも思います。

上手だなあ・・・
すごいなあ・・・


と思ってくれたら、それを通訳者に伝えてほしい。

僕なんかは、たまに褒められるとすっかり舞い上がり、そのクライアントが大好きになってしまいます。
そして、もっとがんばろう、もっと上を目指そう、と強く思います。

「ありがたがられる」ことこそが一番の報酬だと思っている通訳者は多いのではないでしょうか。



(あ、そうそう。プロではないのに上手に通訳が出来た田中を褒めることも忘れずに!)
by dantanno | 2014-06-08 22:43 | 通訳 | Comments(0)

出先から

我々男性は、「女性はすごいなあ〜、大変だなあ〜、頭が上がらないなあ~」と口で言うだけでなく、時には女性を家・育児から解放するため、仕事量・酒量・ゴルフ量をコントロールしてもっと家にいるようにするなど、具体的に行動すべきだと思う@出張中。

Yahooニュース: 職場、家庭と比べストレス無し

d0237270_10394021.jpg

by dantanno | 2014-06-05 10:39 | 提言・発明 | Comments(0)

通訳における「事前情報」の是非

先日担当したIRロードショーの通訳のお仕事。
ある会社のマネジメントに同行し、海外で投資家周りをしました。



最初の国に着きました。
着いた翌朝、しょっぱなのミーティング。
10日以上に渡るロードショーの、初日の一番最初のミーティングです。

d0237270_1764061.jpg


ミーティングの直前、現地の担当者の方から

「この投資家は、質問に入る前の前置きが長いんですよ。
ですので、そこはうまくはしょるなり、前置きが長すぎるようであれば止めるなりしてください。」


と耳打ちされました。



大きな仕事の初日、しかも、朝一番のミーティングです。

僕なりに気持ちを高め、
(今回のロードショーを必ず成功させる。よし、行くぞ!!!)
的に盛り上がっていたところにこう言われ、ちょっとヘナヘナとしてしまいました。



また、ミーティング中、通訳をしている際もずっとこのことが気になります。

投資家の質問がちょっとでも長くなりそうな気配があると

(うわ、長くなりそう。どうしよう。。。
訳をはしょるか?
それとも投資家の前置きをさえぎり、Get to the pointさせるか?)


と考えていました。

その分、訳そのものに対する集中力が低下します。



フタを開けてみれば、投資家の前置きがそこまで長くなることはなく、僕もたまに少しはしょったりする程度で、後はフツーに訳しました。



---



現地の関係者の方は、ミーティングを成功させたいがために、僕にあのように言ってくれたわけです。
そういう意味で、目指しているものは僕と全く一緒で、On the same boatです。

また、通訳をする際に役立つアドバイスとして親切で言ってくれた、という側面もあるかもしれません。



でも、僕にとっては、それが大きなノイズになりました。

d0237270_17294626.jpg


「(通訳時の)集中力が低下した」と書きましたが、正確に言うと、脳のキャパの一部を「投資家の前置き」という問題に取られたため、「訳そのもの」に振り向けられるキャパが少し減った、という感じです。

通訳者が現場に行く途中に交通事故に遭遇していたり、その時期に家族と大ケンカ中だったり、「ああ、確定申告今日中にやらなきゃ・・・」と思っていたりすると、通訳に100%集中できないのと同じ理屈です。



もちろん、大元となる脳のキャパを増やしたり、そういったノイズをうまくコントロール・遮断し、どんなにノイズがうるさくても「通訳そのもの」に集中する、というのも大事だし、それは通訳者の能力の一面だと思います。

でも、出来ればノイズは少ない方がいい。



集中力の問題に加え、気勢を削がれたというのも大きい。

うおりゃーーー!!!!と思っていたところに、
「投資家の前置きが・・・」と耳打ちされたことにより、なんだかヘニャっちゃった感じ。



---



今回の経験を受けて、自分が通訳者に案件を紹介する際のやり方を振り返りました。

そのミーティングに参加する投資家を、以前、自分でも担当したことがあったりすると、

「Johnはこういう人です。
こういう質問をします。
こういうクセがあるので、そのときはこう対処するといいと思います。
お寿司が大好きなので、ランチは寿司屋に行きたがります(笑)。」


的な「アドバイス」をついついしたくなります。

d0237270_173083.jpg


そうした「アドバイス」をしたくなる根拠は何か。

そうした情報を知っておくことが通訳者にとって有用だろう、という思い(思い込み?)があります。

情報は、あるにこしたことは無い。
その情報を知ったところで、準備の仕方、あるいは本番での通訳の仕方に変化は無いかもしれないが、知っておくにこしたことは無いだろう、という考え方です。

でも、今回の経験を受けて、それが必ずしも通訳者のため、ひいてはミーティングの成功に役立たないこともある、と知りました。

こうした「アドバイス」が、一通訳者が感じた主観的な内容である、という問題点に加え、それが通訳者にとってノイズになることもあるんだなあ、と。

(寿司が好き、という程度であれば無害だと思いますが(笑)。)



ミーティング参加者がどういう人たちなのか。
通訳者である自分はどう立ち回るべきか。
訳し方をどう調整すべきか。

こういった機微については、一つの正解があるわけではありません。
通訳者一人一人が、その主観に基づき、ミーティング中の僅かな手がかりから判断していくしかないのかもしれません。

d0237270_17302094.jpg


---



実際、IRISの通訳者にも、ミーティング参加者についての事前情報を喜ばれなかったことがあります。



証券会社から「今回の投資家はちょっと気難しい方です・・・」と言われたので、それをそのまま通訳者に伝えたところ、

「そういう情報は伝えないでほしかった。ダンさんの所でフィルターをかけてほしい」

的な反応がありました。

当時は(そういうものなのか・・・)と、あまりよく分かりませんでしたが、今はその気持ちがよく分かります。



これからは、ミーティング参加者についての事前情報は、その情報の内容・主観度、ミーティングの性質、通訳者の性格など、よくよく多面的に考えた上で、通訳者に伝えたり伝えなかったりしようと思いました。



「求められたら言う」のもいいし、
「あくまでも自分はどう感じ、どう対処したか、という参考情報に過ぎない」と十分に前置きをした上で伝える、というのもいい。

あるいは、そもそも伝えないのもいい。
自分が信じた通訳者なんだから、その人自身の感性にすべてをゆだねてみるのもいいな、と思いました。
by dantanno | 2014-06-04 17:16 | 通訳 | Comments(0)

ごぼうに釣られる

カレーのココイチでの出来事。

d0237270_3264511.jpg


僕の定番メニューである
「クリームコロッケカレー3辛、ライス普通」
と、奥さんの定番である
「チキン煮込みカレー4辛+ほうれん草のトッピング、ライス普通」
を頼みました。



(ついでにサラダも頼もう)
と思い、ごぼうサラダをチョイス。
ごぼうはカラダに良さそうだし。



店員さん 「ごぼうサラダですね、かしこまりました~~。
サラダの方、ドレッシングを3種類からお選びいただけます。

オリジナル
ノンオイル
ごぼう

の3種類になりますが、いかがいたしましょうか。




D (ご、ごぼう?)

d0237270_3265393.jpg


ごぼうは結構好きで、だからこそごぼうサラダなど頼んでいるわけで、ごぼう味のドレッシング、そんなものがあるのであれば、思い切ってそれにしてみようかな。



D 「ご、、、」



いや、ちょっと待てよ。

ごぼうサラダにごぼうドレッシング。
さすがにToo muchか。ゴボゴボしすぎか。



D 「ご・・・ リジナル」



店員さん 「は?
ああ、はい、オリジナルですね」




注文を取り終えた店員さんが厨房に戻ります。



(ふう。。。)と思い、メニューに目を落とすと、



<サラダのドレッシング>

オリジナル
ノンオイル
ごま

by dantanno | 2014-06-02 03:29 | プライベート | Comments(0)