たんのだんのブログ

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赤めだか

昔、落語好きの同僚からもらった本。
立川談春の「赤めだか」。

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師匠立川談志との愛憎劇や、前座仲間のドタバタがとてもおもしろい。

おもしろい人生をおもしろく書いた作品だから、おもしろいに決まってる。



ときどきこの本をひもとく度に、自問します。
自分は、

人様に伝えるに値するようなおもしろい人生を生きているか
X
それをおもしろく伝えられるようになるための訓練をしているか




「自分の人生は、人様に伝える価値があるほどおもしろい」
とは、なんともおこがましい気もする。
そして、そういう「おもしろい人生」ではなく、平凡な、ハタから見たらつまらないかもしれないような人生を好んで生きる人もいるだろうし、そういう人たちがおかしいとも全く思わない。



でも、少なくとも自分は「おもしろい人生」を生きたいと心から思っているんだから、そんな自分がそれを目指さないのは、、、いや、これは能力ではなく意志の問題だから、そういう人生を生きていないとしたら、それは人生の無駄だと思う。

今日、おもしろい一日を生きることが出来たか自問しつつ、もし仮に出来ていないようであれば、明日こそ、、、いや、まあせめて来週、いや、来月ぐらいからこそ、おもしろい人生を生きるようにしたいものです。
by dantanno | 2014-02-28 02:26 | 自戒ネタ | Comments(0)

青木ちゃん

今日は、ひさしぶりに青木ちゃんと飲みに行きました。

上野で集合し、まずは餃子で腹ごしらえ。

その後、伝説の飲み屋「大統領」へ。

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ガイジンは多分僕だけ(笑)。

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さんざん飲んだあげく、一度行ってみたかった、言問橋近くのバー「ドラス」へ。

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やや辺鄙な(失礼!)場所にあるにもかかわらず、スコッチ、コニャック、そしてシガーの品揃えが超充実の、まさに期待を超えるバーでした。

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毎年欧州に遠征に出掛けるマスターの心意気が直に伝わって来て、我々もいい緊張感をもって飲むことが出来ました。

バカ話もし、真面目な仕事話もし、ひさしぶりに心からリラックス出来ました。

次回はKやS-Danなどの悪友も連れて行きたい店です。
by dantanno | 2014-02-25 01:14 | プライベート | Comments(0)

知るが仏

コカコーラの取り組み
おもしろいと思います。

国と国との対立は、相手のことを「知らない」ことから生まれると思います。



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・ 韓国人・中国人のことが大嫌いな日本人
・ 日本人のことが大嫌いな韓国人・中国人

は、一体何人、相手国に友人や知り合いがいるのか。



根本的な解決にはならないかもしれませんが、一人でも相手国民の友人・知人を作ることにより、ある国やその国民を心底嫌うことがなんだか無益に感じられるようになるのではないかと思います。

僕はどの国も嫌いではありませんが、韓国・中国の友人・知人がほとんどいないことをもったいなく思うし、これから機会があれば、、、いや、機会を作って(?)ぜひ仲良くなってみたいです。
by dantanno | 2014-02-13 16:36 | 提言・発明 | Comments(0)

ヒメを迎える準備 その3: 土地

その1: 部屋編はこちら
その2: 育児休暇編はこちら



子供の頃から通っている別荘があります。



いや、それだと語弊が。

「別荘」って言っちゃうと、
♪ 平日の激務から逃れ、軽井沢のログハウスでのんびりリラックスして英気を養う、、、 ♪
的なイメージも伴いますが、我々の「別荘」は千葉県の山。
癒やしではなく、労働の場です。

以下、「自宅ではない場所」という意味で「別荘」という呼称を用います。



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開墾する親父。
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ね?
途端に「別荘感」が失せたでしょう(笑)。



山を一生懸命切り拓いた甲斐あって、スポーツ雑誌Numberで取り上げられました。
隣に写っているのは弟です。
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この別荘は、今から何十年も前、親父が日本に来たばかりでまだすごく貧しかった頃に買ったそうです。
子供の頃、オーストラリアの農場で育った親父は、ずっとこういうことをやりたかったみたい。
あと、もしかしたら僕たち兄弟のためという側面もあったのかもしれない。聞いてみたことないけど。



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最近はあまり行かなくなりましたが、子供の頃はほぼ毎週この別荘に連行されていました。



土曜日の午後、小学校からの下校途中。
(そう、昔は土曜日も学校があったんです、午前中だけ。)

友だちがみんな
「今から誰々の家に集まってファミコンやろうぜ!!」
と楽しそうにはしゃぐのを尻目に、超ボロいワゴン車で労働現場に連れて行かれる僕たち兄弟。。。

(あ、土方ってこんな感じなのかな)と親近感が湧きました。



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当時はなんじゃこりゃと思うこともありましたが、今となっては親父にとても感謝しています。

この別荘があったこと、そしてここでいつも働いたり遊んだりしたおかげで、いろいろなものを得ました。

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少しタフになりました。
自然が大好きになりました。
動物を大事にしたいと思うようになりました。

お金持ちではなくても別荘を持てるんだ、と知りました。

山を切り拓き、建物を建てる親父を見て、自分の手でモノを作り上げることを学びました。

ここを「故郷」と思うようになりました。
朝の感じとか、夕暮れ時の感じとか。
ここに来ると安心します。

そして、自分の子供にもこういう場を提供しよう、と決めました。



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その後、年月を経てIRISを起業し、初年度をがんばりました。
その間奥さんも一生懸命はたらき、倹約してくれて、さちが産まれた日に登記が完了した土地がこちら。

千葉県の太東です。
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夷隅川という、ゆったり流れる川に面しています。
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買ったときは草ボウボウだったのを
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開墾しました。
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最初、竹藪がすごくて川が全然見えませんでしたが、
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ちょっと開墾し、
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もっと開墾し、
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今ではなんとか夷隅川を拝める程度になりました。
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反対側には田んぼが広がり、気持ちいい風が通ります。
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敷地に生える木をいかに残すかや、夏場の蚊(結構すごい)をどう乗り切るか、奥さんとあれこれ考えています。
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さち、お礼を言うならおじいちゃんに言いなさい(笑)。

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by dantanno | 2014-02-10 02:14 | 子育て | Comments(0)

仕事と遊びの境を曖昧に

IR通訳の仕事が入りました。
場所は、東京の西の方。

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会議が午後開始なのをこれ幸いに、せっかくだから超早起きしてクルマで出かけて、山登りして、温泉入って、その上で午後から仕事に臨む、という素晴らしいプランを立てました。



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寝坊。



それでもめげずに西へ。

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ひたすら西へ。

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中央道を上野原インターで下りて、あきる野・檜原方面へ北上。
ちょうど2日前に雪が降ったこともあり、結構雪深い。

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山登りして、温泉入って、、、という予定だったけど、朝家を出るのが遅かったのと、思ったよりも雪深いためにルートを慎重に選び、ゆっくり走ったりしてたのとで、時間が無くなりました。

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しょうがないので、予定変更。
山登りも温泉も無しに。
でも、全く運動しないのもなんなので、クルマで走っていたらたまたま見つけた登山道を、下の川まで下りてみることに。

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これでも一応東京都内です!
都知事の仕事は広範囲に渡るんですね。

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その後、車内で着替え。

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大手外国人機関投資家と、日本の一流上場企業の役員間で行われるミーティングに向かう道(笑)。

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午後からの仕事をなんとかこなし、その後ゆっくりドライブしながら家に帰りました。



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自営業になったら、なるべく仕事と遊びの区別を曖昧にしていきたいなあ、と思っていました。
(その逆を目指した方がいい、という意見の人もいますね。おもしろいテーマです。)



最終的には、自分の行動の大部分を
(これ、遊びでやってるのかな、それとも仕事でやってるのかな・・・)
という感じにしたいです。



そして、それに向けた第一歩、まずは練習として、このように形から入るのもいいと思いました。
一日の中に、仕事と遊びを両方取り入れ、見た目上の境目を曖昧にしてみる。
あるいは、出張に休日をくっつけ、現地で遊んでから帰る。

将来は、仕事をするように真剣に遊び、遊ぶように楽しく仕事をする達人を目指したいです。
by dantanno | 2014-02-07 09:30 | プライベート | Comments(0)

ダボスとつぼ八

<Executive Summary(当ブログ記事の要旨)>

先月のダボス会議での安倍首相の発言を訳す際、通訳者が使った文言が国際的な波紋を呼んでいます。
日本国内では、通訳者による「誤訳」あるいは「勝手な付け足し」とする批判も起きています。
それに対し、僕が「この通訳者は悪くない」と思う理由を以下で説明します。

目次
1. 本件に関する報道
2. 安倍さんの実際の発言と、その訳は?
3. 通訳に対する批判
4. なぜ僕が「通訳者は悪くない」と思うか
5. 再発防止策

本件の経緯と、その後起きている通訳批判を既にご存じの方は、4.からお読みください。



<1. 本件に関する報道>

Yomiuri Online
ダボス会議報道、安倍首相発言の力点を英紙誤解


Huffington Post
なぜ第一次世界大戦前の英独関係をめぐる安倍首相の発言が、海外メディアの反発を招いているのか


47 News
【ダボス会議の安倍首相発言】 日中のリスク印象付ける  「偶発的衝突」に懸念




<2. 安倍さんの実際の発言と、その訳は?>

Yomiuri Online(読売新聞)の記事によると、安倍さんの実際の発言は:
「日中間で軍事衝突が起きれば、両国にとって大変なダメージになる。
今年は第1次大戦(の勃発)から100年目。
英国とドイツは、戦争前に貿易で相互に関係が深かった。
日本と中国も今、非常に経済的な結びつきが強い。
だからこそ、そうならないよう事態をコントロールすることが大事だ」

だそうです。

一方、Huffington Postの記事によると、菅官房長官曰く、安倍さんの発言は以下の通り:
『今年は第一次世界大戦から100年を迎える年である。当時英独関係は大きな経済関係があったにも関わらず、第一次世界大戦に至ったという歴史的経緯があった。
ご質問のようなことが起こることは、日中双方にとり大きな損失であるのみならず、世界にとり大きな損失になる。このようなことにならないようにしなくてはならない。
中国の経済の発展に伴い、日中の経済関係が拡大している中で、日中間の問題があるときには、相互のコミュニケーションを緊密にすることが必要である。』




どちらが正しいのかよく分かりませんが、いずれにせよ、、、
これを訳す際、通訳者が
"I think we are in the similar situation."
という表現を使ったことが問題になっています。



<3. 通訳に対する批判>

この件に関する日本国内の反応を見ていると、通訳に対する批判が多く見受けられます。
また、通訳を民間委託していた政府(外務省?)に対する批判もなされています。



Blogos
通訳の凡ミスによって波紋広がった安倍首相発言~朝日スクープが事実なら外務省=日本政府の重大なミスだ

産経ニュース
英紙の安倍首相発言報道 通訳の補足説明で誤解!?


同じくBlogos
安倍総理のダボス会議での質疑が誤訳により真意をまげて世界に配信されたが、なんと通訳を民間の会社へ委託したとの事。議員から厳しい批判



「誤訳」、「ミス」と、散々な言われようです。



また、2ちゃんねるのような、一般の人たちが匿名でコメントを書き連ねるようなサイトでも批判が出ています。

上記「誤訳」、「ミス」に加え、多く見受けられたのは

「なんで首相が言っていないことを通訳者が勝手に付け加えているんだ」

といった批判でした。



<4. なぜ僕が「通訳者は悪くない」と思うか>

今回の通訳に対する批判を大きく2グループに分けると、

「誤訳」
「勝手な付け足し」


です。

それに対してまず思うのは、、、



これ、誤訳ですか??
勝手な付け足しですか??




上記2.で引用した「安倍さんが実際に発言した内容」ですが、読売新聞バージョンであれ、Huffington Post(菅官房長官)バージョンであれ、
「第一次世界大戦の頃の英独は、今の日中関係同様、非常に緊密な関係にあった。」
的なことを言っていると思います。

それを訳す際、
"I think we are in the similar situation."
といった表現を用いるのは、「誤訳」でもないし、「勝手な付け足し」でもないと思う。
(なぜ"a"ではなく"the"を用いるのか、というテクニカルな点は置いておいて。)



結果的に、海外のメディアが上記訳を材料に、
「安倍首相、今の日中関係を大戦当時の英独関係になぞらえる!」
と大きく取り上げ、それが国際的な波紋を起こしたのは事実です。

でも、安倍さんの発言がそういった趣旨に基づくものではないことは明らかで、(その訳の全体像が見えないので断言は出来ないのが残念ですが)よほど全体の意味を誤解しない限り、海外メディアが報じたような勘違いは起きないのではないか、と思います。

あくまでも推測ですが、海外メディアは、安倍さんの発言の意図が平和的なものであることは理解したものの、訳の中のワンフレーズに飛びつき、それをセンセーショナルに報道することによってニュースを「作った」のではないか。そんな気がします。

ただ、安倍さんの実際の発言内容と、その訳の全文を見定めないとなんとも言えません。



---



なんとも言えないわけですが、議論を進めるために、仮に、あくまでも仮に、今回通訳者が「誤訳」、あるいは「勝手な付け足し」をしていたとすればどうか、を考えてみます。



まず「誤訳」。

話し手が「1」と言ったのに、「2」と訳してしまう、そういうモロな誤訳は当然よくないので、そういう「誤訳」は置いておいて、ここでは
「話し手の意図はAなのに、通訳者の訳がA'だった」
というようなケースを取り上げます。

A ノットイコール A'
を指して「誤訳」と言うのであれば、まあ確かに誤訳です。

でも、これが通訳です。

通訳は、話し手の発言を機械的に置き換えていく単純作業ではありません。
通訳者によって手法は異なるので一概には言えませんが、おおざっぱに言うと通訳は、話し手の言葉を手がかりに「この人は一体何を言いたいのか、どういう気持ちなのか」を探りに行き、それを別の言語で表現し直す、という遠回りな作業です。

だから、通訳者が人間である以上、通訳者によって話し手の意図をどう解釈し、表現するかが異なるのは当然です。

ある作曲家の作品を弾く際、ピアニストによって解釈や弾き方が異なるのと一緒。



---



一方の「勝手な付け足し」はどうか。

通訳において、通訳者が自身の判断に基づき訳を「付け足す」ことは日常的に行われています。
これは「余計なこと」ではなく、逆に付加価値です。



例えば「つぼ八」。

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日本人が、外国人との会話の中で「つぼ八」と言ったのを訳す場合。
その外国人がよほどの日本通でない限り、"Tsubohachi"と言われても???となるでしょう。

そこで、通訳者が
Tsubohachi, a famous Izakaya chain in Japan
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と「勝手な付け足し」をすることにより、話し手の意図が聞き手に正確に伝わり、コミュニケーションの円滑化に役立ちます。
これは大きな付加価値です。
What's "Izakaya"???という新たな疑問が生まれる可能性も大ですが(笑)。それも付け足して説明すればいいんです(笑)。



ここではあえて単純な例を挙げましたが、もっと高度な通訳になればなるほど、こうした「付け足し」が行われ、それが威力を発揮します。

上記「誤訳」のところで触れた通り、通訳が単純な言葉の置き換えではなく、話し手の想いを別の言語で再表現するプロセスである以上、多少文言を付け加えた方がうまく伝わると判断して付け足したり、「これを訳すとかえって混乱するな・・・」と判断して逆に文言を削ったり、ということが付加価値として行われるわけです。



「そういう編集なんかせず、話し手が言った通りに訳してくれ」
と言われても、そもそもある言語を異言語に変えてしまうほどの大手術をしている中で「言った通りに」訳すなど物理的にあり得ません。

リンゴ → Apple
というレベルであれば確かにあり得ますが、我々通訳者が駆り出されるのはもっともっと高度な発言・会話を訳す必要があるときであり、そういった内容を訳す際、必ず通訳者の解釈を一旦通す必要が出てくるわけです。



---



一つ補足。
批判の中には、「外務省の職員が通訳すべき」というものも多く見受けられました。
これも微妙な問題だと思います。

確かに、首相のこういった内容の発言を訳すのであれば、歴史や外交に詳しい通訳者の方が、そうでない通訳者よりもベターなのは言うまでもありません。

でも、一番適任なのは
「背景知識が豊富な通訳者」
よりも
「通訳が上手な通訳者」
だと思います。

あとは、外務省内で「通訳が上手で、かつ歴史・外交に詳しい通訳者」を抱える必要があるのか無いのか、という話になり、これはいろいろな意見があってしかるべきだと思います。
ただ、民間の通訳会社に外注したことを指して「悪」とするのはやや短絡的な気がします。

皮肉な話ですが、安倍さんがどちらかというとタカ派の政治家であることや、安倍さんが中国という国をどう思っているかを正確に理解している通訳者が訳していたら、その訳は、今回よりもはるかに大きな波紋を国際社会に投げかけていた、そういう可能性だってあるわけです。
結果的にどちらがよかったかは微妙だと思います。



<5. 再発防止策>

・ 元の発言と、その訳の間で齟齬が生じた際のプロトコールを明確にしておく

通訳・翻訳という作業の性質上、どうしても
A ノットイコール A'
ということが発生します。通訳者がどんなに優秀であってもです。

なので、通訳者の訳を聞いて「え?」と思った場合、すぐに大騒ぎを始めてしまうのではなく、まずは元の発言を確認する。
元の発言も「え?」という内容であることが確認できた時点で初めて騒ぎ始めるようにすれば、無駄な騒ぎが無くてすみます。

・ 話し手は、もっとハッキリ意図を説明する

仮に今回誤訳、あるいは通訳者による付け足しに相当するものがあったのであれば、それは
話し手の発言に複数通りの解釈の余地が残っているから
でもあります。

一般的に、政治家の発言は玉虫色のものが多く、通訳者泣かせです。
玉虫色の発言を「ちゃんと」訳そうとすると、通訳者の解釈の出番がいつも以上に増えます。

・ 大事なトピックについて話すのであれば、事前に通訳者とブリーフィングをする

一国の首相が通訳者とブリーフィングなどしていられるか、という向きもあるかもしれませんが、大事な人が大事な話をするからこそ、自分の分身となる通訳者(=大事!)と事前に入念な認識合わせを行う必要があります。
今回、それが十分行われたのかどうか。

・ 火の無いところに煙は立たない

今回これほど大々的に「安倍首相、日中関係を第一次大戦当時の英独関係になぞらえる!」と海外メディアに取り上げられたのは(しかも、実際にはそういうニュアンスのことを言っていないにもかかわらず)、安倍さんがいかにもそういうことを言いそうだと海外メディアが思っているからでもある気が。
で、海外メディアがなぜそう思っているかというと、その背景にはこれまでの安倍さんの言動があるのではないか。

安倍さんのせいにしたいわけではありませんが、誤訳かどうか云々の問題以前に、通訳者一人に責任を押しつけるのはそもそも無理があります。



---



ダボスの通訳者に対する安易な批判は、それが「通訳という作業がいかに高付加価値であるかという事実に対する無知・無関心」に端を発している、という意味で、ダボスの通訳者一人ではなく、我々通訳者全員に対するものと考えるべきです。



そして、後輩として僭越ながら、今回ダボスで通訳を担当した通訳者に対して声を大にして言いたい。

今回、あなたの訳を「ちゃんと」批判するのであれば、以下の条件を全て満たす必要があると思います。
でも、今出ている批判の中で、以下を満たしている批判はきっと1つも無いと思う。

1. 安倍さんの発言と、その訳の正確な全文を手元に用意していること
2. 両者を見比べ、訳の正否を検証する能力を持っていること
3. 通訳、特に高付加価値な通訳が、非常に複雑なプロセスであることを理解していること




だから、今出ているような、こんな浅い批判など気にしなくていいと思います。
ぜひこれからも第一線でがんばってください!!
by dantanno | 2014-02-03 20:50 | 通訳 | Comments(0)