たんのだんのブログ

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クリアアサヒ騒動の顛末

♪ 「ク~リ~ア~、アサヒが、家で冷えてる・・・」 ♪

っていう、あのCM
みなさんも目にしたことがあるでしょう。



---



僕は、ビール大好き。
ハタチの頃から、毎日欠かさずビール飲んでます。
(ここでいう「ビール」は、広義の「ビール系飲料」)



なんとなくスーパードライが好きな気がするけど、別にこだわりはありません。
一時期キリンの麒麟淡麗飲んでたし、こだわりが無い証拠に、今家の冷蔵庫に入ってるのは、オリオンビールと、Dos Equisと、All Free。



---



CMに出演しているタレントも好きです。
トータス松本好き。向井理かっこいい。上戸彩かわいい。

CMの雰囲気というか、世界観もなんとなく好き。
いろんなシチュエーションでビールを楽しめる、っていうメッセージも伝わってくる気がするし。



---



そんな「ビール大好き」、かつ、「いろんなビールを試すのが好き」な僕が、結構好きなこのCM。

多分、今まで100億万回ぐらい見てると思います。



昨晩TVを観てて、このCMを「100億万+1」回目に見たとき、ふと思いました。



(オレ、今まで一度もクリアアサヒ買ったことないな・・・)



っていうか、、、

(今まで一度も、クリアアサヒ飲みたいとか、買ってみようかな、と思ったことすらないな・・・)

って。
もっと言うと、、、

(このCM、もうほんとに数え切れないほど何回も見てるけど、「クリアアサヒ」っていう商品を意識したのは、今が初めてだな・・・)

って。



---



このCMがささってないってことでしょうか。



客を購買に至らせないCMは、
食べられない食べ物、
透けて見える水着、
そして、意味が分からない通訳

と同じぐらい無意味だから、

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そういったものを公共の電波で流すことは、広告主および視聴者みんなの損になる。
喜ぶのは、広告代理店とタレントだけ。
なので、CMやめちゃった方がいいと思う。
今後は味で勝負する、とか。



---



あるいは、オレだけがピンと来てなくて、他の人はピンと来まくってて、クリアアサヒをいっぱい買ってるのかもしれない。だったらいいか。

あるいは、「既にビールが好き」という人ではなく、「今はビール系飲料は飲んでいない」という潜在顧客をターゲットにしたCMなのかな。

あるいは、このCM、オレにもささってはいるんだけど、そのささりがオレを「クリアアサヒ」方向ではなく、「ビール全般」方向に誘導してしまっていて、結局「クリアアサヒ以外のビール」の購入に至っている、ってことか?その場合、購買活動につながってはいるけれども、広告主にとっての効果は希薄化(Dilute)してしまっている。いや、ライバル商品が売れてしまう、という意味ではNegativeか?いやいや、結局買ってるのがスーパードライだったら、アサヒにとってはOKか?



---



グチャグチャ考えててもしょうがないので、とりあえず一本買ってきたよ。

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オフィスの隣のスーパーで110円だった。やすっ!



最初、ちょっとクセあるかな、って思ったけど、案外おいしいね、これ。
今後、レパートリーに加えてみようと思います。
by dantanno | 2013-07-31 12:19 | プライベート | Comments(0)

"All" はどこに消えた?

All houses have doors, walls and windows
をどう訳すか。



全ての住宅には~ 
ってなっちゃうのが「訳っぽい訳」、
すなわち残念な訳。
焦ってるときの、僕の訳。



逐次通訳であれば、
"All"で始まるその発言を一生懸命メモったのを、
左上から順に訳そうとしちゃって、
(まず"All"を訳さなきゃ・・・)
ってなって、
「全ての~」
になっちゃう。



同時通訳であれば、
普段Retentionをトレーニングしていない通訳者の場合、
間をためて楽しむことが出来ないから、
(とにかく、聞いたそばからどんどん訳してけ)
ってなって、
"All"
「全ての」
"houses"
「住宅は/住宅には」
ってなっちゃう。



---



いい通訳者は、逐次であれ、同時であれ、
一度メッセージを心で受け止め、咀嚼する。映像化する。
で、「そのメッセージをTarget language(この場合は日本語)で表現するとしたら、なんと言えばいいか」を、発せられた言葉を離れてゼロから考える。

遠回りのようで、実はそれが一番近道。



なぜそのやり方がいいかというと、
1. メッセージの言わんとしていることを的確に伝えられるのと、
2. 微妙な訳の調整が一度に可能になるから。

例えば、この場合
All → 「全て」ではない気がする
houses → 「住宅」と「家」、どっちにしようかな。
doors → 「ドア」よりも、「玄関」の方がいいかな。

という細かい判断が出来るのは、文を聞き終わってから、あるいは、文の全体像が推測出来てから。
All, houses, doorsがそれぞれ耳に飛び込んできた時点では、まだそうした判断が出来ない。



---



一度メッセージを受け止め、咀嚼・映像化した上であれば、
口をついて出てくる訳は例えば

家というのは、必ず~ 

になるかもしれないし、

(発言者は、結構Casualに話してるな、、、)

と判断したら

家って、普通は玄関があって、壁があって、窓があるじゃないですか。

みたいな訳になるかもしれない。

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いずれにせよ、発言者が口にした
"All" = 「全て」
は、訳のどこにも登場しないのです。

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クライアントのみなさまにおかれましては、
「発言者が"All"って言ってるのに、それを訳してないじゃないか!」
と、我らが愛しの通訳者を攻められませぬよう。。。

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by dantanno | 2013-07-27 02:14 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

実は、「実は、英語力ではない」ではない

通訳者であれば、たまに聞かれることもあるでしょう。

「どうすれば通訳者になれるの?」
「通訳をするときに必要な能力は?」
「もっと上手な通訳をするには、何を磨けばいいのか」




それに対する答え方は、通訳者によってさまざま。
通訳者はみな、異なるポリシー/考え方を持っています。



---



たまにある回答が、
通訳者 「実は、英語力ではないんですよ」
というもの。



ここで言わんとしていることは、一体何か。
これまた通訳者人それぞれなので分かりませんが、

「日本語と英語を通訳するわけだから、
当然英語力が決め手だと思うでしょう。
もちろん英語力は大事なんだけれども・・・」


という前提の上で、

「英語が上手(な日本人)だからといって、通訳が上手とは限らない」
言い換えると、
「バイリンガルだからといって、通訳が出来るとは限らない」
という意味の場合もあるでしょう。



あるいはまた、
「英語も大事だが、それ以上に大事なのは日本語力。
日本語がしっかりしていなければ、いくら英語が上手でも、いい通訳は出来ない」

という意味かもしれません。



僕も通訳者として、いずれも100%同意します。



---



「実は、英語力ではない」
と言いつつ、「英語が重要ではない」と思っている通訳者はあまりいないでしょう。

だから別にいいんだけど、、、
ただ、一つ思うのは、
英語力を、今よりももっと重要視してもいいのかもしれない
ということ。



---



例えばIRで言えば、海外投資家は、通訳者の英語力をすごく重視しています。

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一緒に都内を回っていて、
投資家 「実は、先週一緒だった通訳者の**さん、英語があまり上手じゃなかったんだよね・・・」
と、残念そうに言われることがあります。
「通訳者なのに、なんで英語が上手じゃない人がいるの?」
と聞かれ、答えに窮します。

答えに窮したときは、黙ってタクシーの窓の外を眺め、投資家が黙るのを待ちます。



英語を母国語とする外国人にとっては、
我々が思っている以上に、英語力が重要のようです。



---



我々自身が通訳に頼るときのことを考えると、さもありなん、と思います。

例えば中国に行って、日中の通訳者についてもらった場合。
その通訳者の「日本語のうまさ」が、我々に決定的なインパクトを与えます。



また、これは本当はおかしな話だけど、
その通訳者の「日本語のうまさ次第」で、
その通訳者の「通訳のうまさ」も評価してしまいがちです。

我々に、その人の通訳の善し悪しをはかる術はありません(中国語が分からないから)。
なので、唯一評価できるのは「日本語のうまさ」とか「人柄」であり、
「それ=通訳のうまさ」ではない、と分かりつつも、
通訳者に対する評価はどうしてもそこに引っ張られがちです。



---



我々日英の通訳者にとっては、いろんな意味で、
巷で思われている以上に英語力が重要なのではないか、と思います。
by dantanno | 2013-07-19 08:12 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

「店員さんに敬語」の、ロジカルな説明を試みる

以前、「コーヒーとタメ口」という記事を書きました。

その記事に対し、
読者 「なんでオレが店員に敬語使わなきゃいけないんだよ」
(ほぼ原文ママ)

というコメントがあったので、
D 「いや、別に敬語を使うも使わないも、人それぞれでいいと思いますよ」
と返しました。

その後ほどなくして、コメント受付をやめました(笑)。



---



「人それぞれでいい」と思うけど、でも、、、
自分の子供は、ちゃんと店員さんに敬語を使う人間になってほしい。
だから、将来もし子供に

「ねえねえ、なんでお店で敬語使わなきゃいけないの?
ボクはお客さんで、お金を払ってるのはボクなんだから、ボクの方が偉いんでしょ?」


と聞かれた場合、ちゃんとロジカルに説明出来るようにしておきたい。



---



お金(貨幣)が生まれる前の、物々交換(barter)の時代。

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漁師が

(今日、肉食べたいな・・・)

と思ったら、
1. 肉を持っていて、かつ、
2. (今日、魚食べたいな・・・)と思っている人を見つけ、
3. 自分が持っている魚と、相手が持っている肉を物々交換していました。



この場合、、、
お金を払っているのはどっちか?
どっちが客か?
エライのは漁師、肉屋のどっちか?
タメ口をきいていいのはどっちか?


どっちでもありません。



---



その後、貨幣が生まれました。

漁師が
(今日、肉食べたいな・・・)
と思ったら、
1. 肉を持っている人を見つけ、
2. 自分が持っている貨幣と、相手が持っている肉を交換するようになりました。

(ちなみに、相手が(今日、魚食べたいな・・・)と思っている必要がない分、取引が成立しやすくなり、すごくラクです。)



この場合、、、
お金を払っているのはどっちか?  → 漁師

どっちが客か?  → 「お金を払っている方=「客」という定義からすると、漁師サイドが客


ここまではOK。



じゃあ、
エライのはどっちか?
タメ口をきいていいのはどっちか?


どっちでもない。
なぜなら、、、
同じ肉を手に入れるのに、魚を提供しようが、魚を売って手に入れた貨幣を提供しようが、それはいずれにせよ対等な交換であって、どっちかが「エライ」わけではない。

また、for argument's sake, 仮に「交換において、貨幣を提供した側がエライ」というのであれば、上記取引とは逆に「肉屋が貨幣を魚と交換する」という取引の場合は肉屋の方がエライことになり、漁師と肉屋が交互にエラそうに/ペコペコし合うという、怪奇現象が起きてしまいます。

魚と肉を直接交換する場合、両者は対等なのに、
貨幣で媒介する場合はかわりばんこにエラくなるのはヘン。



---



結論としては、
・ 物々交換の時代における、魚と肉の交換に「エライ」も何もない。
・ その後、取引が貨幣で媒介されるようになったけど、それは物々交換をより効率的に行っているだけで、原理は一緒。
(例えば僕の場合、「通訳」を食料や住む場所など、いろいろな財・サービスと交換して生きています。)
・ 貨幣が介在する分見えにくくなっただけで、やっていることは物々交換なんだから、どっちがエライとかは無い。
・ よって、貨幣を提供する側(=客)がエライ、とする根拠は無い。



こんなことをグチャグチャ説明しなくても、ちゃんと店員さんに敬語を使う子供に育ってほしい。
そのためには、親である自分が日々ちゃんとしていればいいんだと思う。

一方、もし説明を求められたら、
「そういうものなの!」
的なテキトーなごまかしではなく、(なぜそう思うのか)をちゃんと説明出来るようにしておきたい、と思ってグチャグチャ考えてみました。
by dantanno | 2013-07-15 08:04 | 子育て | Comments(0)

ああ、鼻血通訳 (完結編)

(前編はこちら



鼻血が出たときの対処法の内、
1. 上を見上げる
は、通訳時には全く通用しないことが分かりました。



では、もう一方の
2. 鼻にティッシュをつっこむ
はどうか。



---



「通訳者は黒子であれ」
と、通訳学校で教わりました。

黒子であるはずの通訳者が、
グループミーティング本番中に鼻血を出し、
社長が一生懸命プレゼンする傍らで、
鼻にティッシュを突っ込んでると、一体どうなるのか。

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黒子どころか、白子的な雰囲気を醸し出していたら・・・



外国人投資家たちはみな、力説する社長ではなく、
オレの方をガン見するでしょう。。。



---



ダメだ、全然ダメだ!!



(鼻血を止めよう)とティッシュにすがると、黒子でなくなってしまう。
(黒子であり続けたい)とティッシュを遠ざければ、血まみれになり、かえって目立ってしまう。



自暴自棄になりかけたそのとき。

ひらめきました!



(ティッシュが鼻からはみ出なければいいんだ・・・)



そう。
目立ってしまっているのは、実はオレではなく、オレの鼻から垂れ下がるティッシュ。
だったら、それを見せなければいい。

言い換えると、てるてる坊主の頭部だけを鼻の穴の中に突っ込めば、

1. 万一の鼻血を食い止められる上、
2. 全く目立たない



なんという名案でしょう。



---



ただ、ここでまた一つ問題が。

例えば本番で鼻血が出ちゃった場合、
オレははたして瞬時に、かつ冷静にティッシュを小さく丸め、それを目立たないように鼻の穴の中に収めることが出来るのか?
無理でしょう。
その堰き止めのプロセス自体が、海外投資家の好奇の目にさらされることになってしまう。。。



あきらめかけたその時、またひらめきました!!!



(ティッシュを、事前に鼻につめときゃいいんだ・・・)



---



松下幸之助が提唱した「ダム経営」ならぬ、ダム通訳です。
土石流を食い止めるために、鼻の中に、事前に人工的な鼻づまりをつくっておく。



鼻づまりをもって、
鼻血を制す




まったく非の打ち所のない完璧なプランを思いついた僕は満足し、深い眠りにつきました・・・。



---



翌朝。
グループミーティング当日。

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さっそく治水の準備にとりかかります。



---



どうせやるなら、完璧を期したい。
それが、高い料金をチャージしているプロ通訳者としての責任ではないでしょうか。



ホテルの部屋を飛び出し、NYの街で朝からやってる薬局を探します。

Vaseline(ワセリン?メンソレータムみたいなやつ?)を買い求め、部屋にとんぼ返り。



ほら、ティッシュ丸めて鼻に入れるだけだと、周りに隙間が残っちゃうでしょ?
それは、完璧な治水とは言えない。

あと、ガサガサしたティッシュをそのまま鼻に入れたら、ただでさえも敏感になってる鼻の粘膜をいたずらに刺激することになります。



では、どうするか。

まず、ティッシュをちぎり、固く・小さく丸めます。
直径8mmぐらい?1cmぐらい?
そして、それにワセリンを塗った上で、そうっと鼻の中に入れます。



(うん、スースーして気持ちいい)



多少鼻声になる以外は、特に問題無し。

鼻の両穴にワセリン坊主(頭部のみ)をしっかりとセットした僕は、
グループミーティングの会場に向け、社長ご一行と一緒に出発しました。



---



いよいよ鬼門のグループ・ミーティングです。



社長のプレゼンが始まり、それを訳していきます。



会場の誰も、、、

海外投資家も、
証券会社の社員たちも、
社長も、
IR部長も、
オレの鼻の穴奥深くにダムが2つ建設済みであることを知りません。

そこはやはりプロ通訳者。
陰ながらの努力を観客に察知させないでナンボです。



---



ミーティングは特に問題無く進みますが、やっぱり鼻に異物を入れているのは間違いないわけで、それに伴う異物感はあります。
なんだかくしゃみが出そうな。








・・・・・。






ふと思ったんだけど、
















(もし、今オレがくしゃみしたら、一体どうなるんだろう。。。)






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D 「ハックション!!」



僕の鼻の両穴からは、結構なサイズの物体が2つ、
グループミーティングの会場に向け噴射されるでしょう。

それを受け、社長はなんて言うか。



社長 「こ、これは・・・」

と絶句するでしょうか。

あるいは、

「キ、キミは、、、 鼻に何を入れてるんだね?」

と聞いてくるでしょうか。



それに対し、オレはなんと答えればいいのか。



D 「いや、松下幸之助さんが・・・」
って?



そして、海外投資家達の目が点になる様子が思い浮かびます。



ミーティングはもうグチャグチャでしょう。
多分、来年のロードショーの指名は来ない。






D (それだったら、単なる鼻血の方が全然いいなあ・・・)

と思っても、もう後の祭り。
鼻には、確かにミサイルが2つセットされ、噴射の時を静かに待っています。



---



もう、訳のことなんてどうでもいい。
愛のある訳?
聞き手にとって分かりやすい訳?


悪いけど、今それどころではありません。

オレに課せられたミッションはただ一つ、「くしゃみをしないこと」




そういうときに限って投資家たちがノリノリで、
Q&Aセッションでガンガン質問してくる。

それを、必死に鼻声で訳しながら、ずっと鼻への刺激をおさえ、くしゃみを抑制することだけを考えていました。



幸い、ロケットは噴射されず、ミーティングは無事に終了しました。
そして、この日を境に、僕はもっと素直に生きることを決めました。



この日学んだ四字熟語
「本末転倒」
Putting the cart before the horse
Mistaking the means for the end
Getting the priorities wrong
by dantanno | 2013-07-12 11:09 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

社員にボーナスを支給しました

日頃のがんばりに感謝して。
いつものお給料とは別に、6月末に振り込みました。

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今IRISには、MさんとSさんと、2人社員がいます。
「社員」といっても、毎日9時-5時でオフィスに出社してもらっているわけではなく、
主に自宅からやってもらっています。

2人とも、子育て真っ最中の主婦。
でも、「働きたい」という意欲と能力は持っていた人たちです。
IRISの事務を担当してもらっています。



ウチで「事務」って言うと、主にコーディネーション業務になります。
クライアントと通訳者をつなぐ仕事です。

・ クライアントからの依頼を受ける。
・ その案件に適した通訳者は誰かを判断し、案件を紹介する。
・ 本番まで、資料の授受や各種情報のやり取りをフォロー。
そういう業務です。

通訳エージェントにとっては、まさに中枢となる業務。



---


去年の2月に会社を興してから、自らもときどき通訳をしながら、
1年間は会社の事務を全て一人でやりました。

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最初から人を雇おうと思えば雇えたと思いますが、
あえてそれをしませんでした。



自分が投資家に同行し、1日に企業を5社回る。
その合間の移動時間、タクシーに乗り込み、
一方で投資家と世間話をしながら、
もう一方でスマホをいじり、新たに来た案件の引き合いをさばき、
通訳者からの返信を受けて手帳に書き込み、
クライアントから送られて来た資料を通訳者に転送し、
通訳者からの問い合わせを元に、クライアントに確認を入れる。

今から思うと、(なんであんなことが出来たんだろう・・・)と不思議になります。
まあでも、起業ってのは0を1にすることだから、
起業するときはそれくらいエネルギーが無いとダメなのかもなあ。



---



上記のような事務のやり方は、
よく言えば一生懸命、悪く言えば片手間です。

片手間でやっていただけに、ときに事務がグダグダになることがありました。

IRISのお客さまである通訳者、およびクライアントからすると、
片手間のグダグダなどではなく、ちゃんとやってくれた方がいいに決まっています。

でも、そんなお客さまの要望にあえて反し、自分のエゴを貫き通しました。



なぜ1年間は自分で全てやることにしたかというと、
ブラックボックス化を避けたかったから。

最初から人を雇っちゃうと、例えその人が受発信するメールを全てCCで見たとしても、
やはり当事者としての迫力を感じられず、サラーッと流れちゃうような気がしました。

通訳コーディネーション業務のキモはなんなのか。
通訳者たちは何を求めているのか。
どうすれば喜び、どうすれば悲しむのか。
そういったことを、ちゃんと自分のハラで理解したかったんです。

それは、短期的には自分のエゴでしかありませんが、
長い目で見れば、通訳者、そしてクライアントのためになるのは明らか。



---



1年間事務をやったおかげで、いろんなことが分かりました。

通訳者の気持ちが分かるようになりました。
また、矛盾するけど、自分が通訳者の気持ちを分かっていないことも分かりました。

今後、通訳者に変わっていってほしい面が見つかる一方、
自分が通訳者に合わせて変わらないとな、と思う面も見つかりました。



---



一つ、結構想定外だった収穫は、
通訳コーディネーターの気持ちが分かるようになったことです。



通訳コーディネーターは、基本、「ありがとう」と言ってもらえません。

最初は、通訳者に案件を紹介したとき、これが一番の「ありがとうポイント」かな?と勝手に想像していたんですが、通訳者からの返事は「お引き受けします」とか、「対応可能です」というのが一般的で、「ありがとう」ではありませんでした。

じゃあ、案件が終了したときはどうか。
そのときに「ありがとうございました!」的なムードになるのかな、と思いきや、
「**時に終了しました。ご報告まで」
というのが多かった。



もちろん、全く「ありがとう」と言ってもらえないわけではありません。
ときどき、折り入って感謝の気持ちを伝えられることがあり、そういうときは相当グッときます。

この前は、「自分はIRISに育ててもらっていると思う」とお礼を言ってもらい、つくづくうれしく思いました。

あ、あと、クライアントから来た資料を転送したときとかは、結構お礼を言ってもらえます。



---



通訳者たちがなぜ日頃あまり「ありがとう」と言わないのか。
それには、ちゃんといろいろな理由があります。
感謝していないからでは決してありません。
とにかくそういうもの。

だからこそ、日頃子育てをしながら一生懸命IRISのコーディネーション業務を担当してくれている社員には、通訳者の気持ちを代弁し、僕からいつも「ありがとう」と伝えるようにしています。

その一言を沿えようと思えるようになったこと。
案外それが、この1年間の事務の最大の成果かも。



口に出すだけでなく、行動で示そう、ということで、今般のボーナス支給と相成りました。



---



たいした額ではありません。
家族でどこかに旅行に行く際の足しになるかならないか、ぐらい。

でも、日頃理解を示してくださっているであろうご主人、ご両親、子供たちに、
僕からの感謝の気持ちを間接的に伝えてもらえるとうれしいです。



Mさん、Sさん、いつも本当にありがとう!!!
by dantanno | 2013-07-07 23:54 | IRIS | Comments(0)

ああ、鼻血通訳 (前編)

以下、全て実話。



ある会社の海外IRロードショーでニューヨークに行ったときのこと。

出張メンバーは:
・その会社の社長とIR部長
・証券会社の人たち
・オレ(通訳者)

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---



飛行機の中で、鼻をいじくったのかな、オレ。
ホテルにチェックインしてすぐ、タラーッと鼻血が出ました。



幸い、仕事は翌日から。
着いたその日はミーティングも無く、単に「ホテルにチェックインするだけ」の移動日だったので、特に気にせず、予習の仕上げをしたり、TV観たりして過ごしました。



夕方。
シャワーでも浴びるか。

浴びながら顔を洗っていたら、鼻のあたりをこすったときに、またタラーッ



(ちょっとやばいな・・・)

と思いました。



---



僕、そういう体質なのかどうか知りませんが、
一度鼻血が出ると、それが何日も続くという傾向があります。

もちろん、断続的に鼻血が出る、って意味です。
「鼻血が何日も出っぱなし」みたいな、
そんな源泉掛け流し、いや、受け取り手のいない献血みたいなことはありません。



鼻血づいている時期には、例えばちょっとくしゃみをしたり、顔を洗うときに鼻のあたりを触ったりするだけで、鼻血が出ます。



---



そんな鼻血癖がある僕だけに、

(ちょっとやばいな・・・)

と思いました。



今回同行している社長は、結構恐めの人。
一緒に旅しているIR部長や証券会社の人たちも、ややピリピリしています。

しかも、悪いことに、明日月曜日(出張の初日)の昼に
グループ・ミーティングが入っています。

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IR通訳者なら分かってくれると思うけど、コレ、結構緊張します。

投資家との1対1のミーティングならまだしも、
投資家がたくさん集まり、主催証券会社のスタッフも大勢参加するグループ・ミーティングの場で、通訳者が鼻血を出すと、一体どうなるのか。

シミュレーションを開始しました。



---



鼻血が出たときの対応策で、オレがすぐに思いつくのは2つ。

1. 上を見上げる
2. ティッシュを突っ込む


それぞれについて見て行きましょう。



1. 上を見上げる

グループ・ミーティングの最中に鼻血が出て、通訳者が上を見上げたら。



部屋の向こう側に、強面の外国人投資家達がズラリ。
その周りを取り囲むように、証券会社の社員達がズラリ。

一方、こちらサイドには、社長、IR部長、そして天井を見上げる通訳者。

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社長が何か言うかもしれませんね、場を和ませようとして。

社長 「すいません、通訳者が鼻血を出しまして(苦笑)・・・」

それも訳すのかな、オレ。

D "Apologies for our interpreter's nose bleed (苦笑)"
って。



訳す時って、聞き手の顔を見た方がいいのかな。
あるいは、メモに目を落とした方がいいのかな。

オレは天井を見上げたまま。

そして、オレの口から発せられた
(苦笑)
が天井にこだましてオレの耳に返ってきた頃、
投資家達は全員
(苦笑)じゃねえよ
って思うんだろうな。



---



あるいは、社長がオレに気を遣って
社長 「ダンさん、大丈夫?」
って言ってくれるかも。



それも訳すのかな、オレ。

あ、でも、これはオレに向けての発言だから、別に訳さなくてもいいか。
いや、でも、投資家達はどういう会話が交わされているのか分からず、???ってなっちゃうといけないから、一応伝えた方がいいのかな、場の成功に徹底的にこだわるプロの通訳者としては。



天井を見上げながら、
D "Are you OK?"



いや、ダメだ。
これじゃ全然ダメだ。

こういう場合は、「大丈夫?」という発言をそのまま訳すんじゃなくて、
「社長が大丈夫?と言っています」
っていう、状況説明をしたほうがいいんだろうな。





D "The CEO is asking me if I'm OK."



オレの口から発せられた訳が、
天井にこだましてオレの耳に返ってきた頃、
投資家達は全員、心から
知らねえよ
って思うんだろうな。



寒い!
寒すぎる!




Option 1の
1. 上を見上げる
は却下。

では、
2. ティッシュを突っ込む
ならどうなのか。

<続く>

by dantanno | 2013-07-06 05:24 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

クライアント・通訳者間の「パススルー」について

業界の内輪ネタで恐縮です。
エージェントは、クライアントと通訳者をどうつなぐべきか。



例えば、、、
ある通訳案件について、クライアントが「まだ仮」だと言っているのに、
それをエージェントが通訳者に「確定案件です」と伝えるのはどうかと思うけど、
クライアントが一言も「仮」なんて言っていないのに、
それをエージェントが通訳者に「まだ仮案件です」と伝えるのもどうかと思う。

なぜエージェントがそんなことをするのか、に思いをはせれば、尚更そう思う。



「悪い」とは言わない。
エージェントが案件の元請であり、元請のところで案件が分解されたり、案件の性質が変容してもOK、という考え方もアリだと思うから。

悪いとは言わないけど、でもやっぱり「どうかと思う」し、IRISではそういうことはしない。



IRISの理想は
下方硬直性のあるパススルー

言い換えると、
アップサイドはパススルー
ダウンサイドはエージェントが食い止める

ということ。



クライアントと通訳者の間は基本的にはパススルーにしたいし、実際ほぼそうしています。
仮/確定の話でいけば、仮なら仮、確定なら確定、をそのままつなげています。
クライアントから来た情報は全部通訳者に開示し、パススルーにしています。

通訳料金も、理想としてはパススルーにしたい。
それが当然だから。
なんで当然なのか。
話を分かりやすくするため、極端な例えを使います。

通訳案件終了後、クライアントがとても喜び、
「今回の通訳者さんがあまりにもすばらしかったので、元々決めていた金額の倍払う!」
と言ってきた場合、どうすべきか。
もちろん、そんな素晴らしいクライアントはあまりいないわけですが(笑)、
もしそういうことがあったらどうすべきか。

当然、通訳者に支払う通訳報酬も倍にすべきでしょう。
これが「上方パススルー」ということ。
アップサイドをシェアする、ということ。



基本的にパススルーでいいと思うんだけど、
その一方、なんでもパススルーにしちゃうと、通訳者のためによくない。

例えば、エージェントがもっと仕事を取るために、「通訳料金半額キャンペーン!」をやるとする。
その際、「パススルーだから」ってことで、通訳者に支払う通訳報酬も半額にしてしまうと、
通訳者にとってよくない。

だから、
(下方硬直性のある)パススルー
が理想。



あるいは、クライアントがお金を払ってくれない場合。
IRISでは、幸いにしてまだそういうことはありませんが、今後あるかもしれません。

その際、「パススルーだから」ってことで、通訳者の報酬もゼロにしてしまうのは筋違い。
だから、(下方硬直性のある)パススルー



去年、IRISではこれを実行しました。
下方についてはほぼ完全に硬直性を持たせつつ、
上方についてはほぼ完全にパススルーにしました。

今年は、上方パススルーの仕組みをちょっと変えましたが、
これは本意でありません。

長期的に目指しているのは、完全な上方パススルー。



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お金や条件面の細かい話は置いておいて、
エージェントは、基本的なスタンスとしては、
クライアントと通訳者の間をパススルーでつなげる
存在であるべきだと思う。

上記「仮/確定」の例で行けば、
クライアントと通訳者間の情報の非対称性を濫用して情報操作するのではなく、

1. きちんとパススルーで情報を伝え、
2. アップサイドがあればシェアし、
3. ダウンサイドからは通訳者をしっかりと守る。

そういうエージェントを目指します。

書いてる途中から、だんだん自分への「戒めブログ」になっちゃったけど、
とにかくそういうこと。
by dantanno | 2013-07-03 13:16 | IRIS | Comments(0)

ゆけ、葛飾一号!!

この前、運命的な出会いがありました。
雑貨屋で。

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もっとアップで見てみると・・・

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雑貨屋のポップに
"Made in Katsushika-ku"

って書いてあったんです。

そのセンスを即買いしました。



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中身はコレ。

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「葛飾一号」と命名。

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円高も、凌いで耐える、葛飾一号

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気持ちよくてはしゃぐ葛飾一号。

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Mono-zukuriの未来を見据える葛飾一号。

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何かとIR通訳魂をくすぐるヤツ。。。

二匹の金魚(ナナとニニ)とともに、
オフィスのマスコット役を担当していただいています。

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by dantanno | 2013-07-02 12:59 | プライベート | Comments(0)