たんのだんのブログ

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「アンケート」という魔物

アンケートが好きです。


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一回答者としても回答するのも好きだし、
アンケートの実施者として、人にアンケートをとるのも好きです。



以下、アンケートについて考察してみます。

1. なぜ、アンケートが好きなのか
2. アンケートの種類
3. 「お客様の声」型アンケートについて




1. なぜ、アンケートが好きなのか

<回答者として>

自尊心?

アンケートって、要は「あなたの意見を教えてください」ってことじゃないですか。
そうなると、
D 「うん?何?ボクの意見を聞きたいの?しょうがないなあ♪」
ってことで、自尊心がくすぐられるのかも。

正解が無い感?

テストじゃないんですよね、アンケートは。
「正解を当てろ!」というプレッシャーがなく、
思っていることをそのまま記述/選択すればいいわけですよね。
そののびのび感がいいのかも。



<実施者として>

ワクワク感が楽しい

回答者の本音に迫るワクワク感。
(え、そう思ってたの?!)的な発見がありそうなワクワク感。
あと、自分に関するアンケートであれば、(褒められるかも・・・)という期待もあるかもしれません。

アンケートの設計が楽しい

アンケートを実施したことがある人なら同意いただけるかもしれないけど、
「何を聞くか」って結構難しい。
また、同じことを聞くにしても、それを
「どう聞くか」とか、
「どういう順番で聞くか」とか、
「どういう選択肢を用意するか」とか、結構難しい。

その難しさが楽しい。

これは、「せっかく取ったアンケートの回答を、一体どう活かすのか」という点につながる、重要な問題です。
この点については、後で詳述します。



2. アンケートの種類

一口に「アンケート」と言っても、いろいろあります。

世論調査型

「今の日本の政治をどう思いますか?」
「誰が首相になるべきだと思いますか?」

的なもの。

新製品どうでしょう型

「従来の電気釜の、どういったところが問題だと思いますか?」
「電気釜に求める機能はなんですか?」
「こういう電気釜があったら、使いたいと思いますか?」

など。

ユーザーレビュー型

レストラン、ショッピング、映画、本。
あらゆる分野で活用されるユーザーレビューも、広義の「アンケート」に含まれるかもしれません。

質問が無い、、、いや、実は「**についてどう思いましたか?」という質問はあるんだけど、それが隠れていて見えない、という点で、あまり「アンケートに回答している」という気はしないけど。



そして、我々がおそらく一番よく目にするのが

サービス改善のための、「お客様の声」型

飲食店に行くと、カウンターに置いてあるハガキとか。
ホテルに泊まったとき、部屋のデスクに置いてあるやつとか。

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以下、こうした「お客様の声」型アンケートについて、
少しつっこんだ考察をしてみようと思います。



3. 「お客様の声」型アンケートについて

「お客様の声」型のアンケート。
そのすごさは、案外世間に見過ごされていると思います。

このタイプのアンケートが、一体なぜすごいのか。



ドM感がすごい

「お客様の声」を求めるアンケートを設計しようと思うと、
アンケート実施者は分岐点に立たされます。

自分は、アンケートを通し、
1. 褒められて気持ちよくなりたいだけなのか、あるいは
2. けなされることにより、自分を改善したいのか。



例えば、あるファミレス店を考えてみましょう。

このお店、
・ 料理は超おいしい
んだけど、
・ お店が汚い
という問題点があるとしましょう。

アンケートで、自分で自信のある「料理の味」周りを重点的に聞くことにより、

「とてもおいしい」
「料理がすばらしい」

的な回答を多く集め、気持ちよくなったり、店長が出世したり出来ます。
でも、改善にはつながりません。

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本当に改善につながるのは、否定的な回答。
そして、否定的な回答を得るためには、否定的な回答がちゃんと出るような、ある意味自分の弱みをさらけ出し、ふんづけてもらうようなアンケート設計が必要になります。

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自信がすごい

例えば、上記とは別のファミレス店を考えてみましょう。

このお店は、
・ 料理がまずい
・ お店が汚い
・ 店員が恐い

と、3拍子揃っているとしましょう。

そんなお店が、サービス改善のため、お客様の声を集めよう!ということで、アンケートを取ることにしました。

料理の味はいかがですか?          いい  5 4 3 2 1  悪い
店内の清掃は行き届いていますか?    いい  5 4 3 2 1  悪い
店員の接客はいかがですか?        いい  5 4 3 2 1  悪い


予想通り、1とか2の回答が多い。

それに対し、
店長 「やっぱりなあ・・・」
って、
お前、アンケート取るまでもないだろ
って話です。



客に言われなくても、
・ 料理がまずい
・ お店が汚い
・ 店員が恐い

のが分かっているのであれば、わざわざアンケートを取る必要なんて無いわけです。

アンケート取ってるヒマがあれば、
問題点の改善のために努力してほしいわけです。



って考えると、サービス改善のために「お客様の声」を求めるのは、実は・・・・・



「我々自身では、もはや自分たちをどう改善すればいいのか分からない。
我々はもう、そういう高いレベルまで来てしまっている。
なので、ぜひお客様の、文字通り「観的」な視点で、
我々が自分たちでは気付いていない欠点を教えてください」


ということになり、
(お前、ずいぶん成長したなあ・・・)
と、師匠に目を細められること必至です。

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アンケートの「お礼の無さ」がすごい

こうした「お客様の声」型のアンケートをする場合は、必ずお礼をしないといけないと思う。
でも、実際にはお礼が無い場合が多い。

アンケート実施者の、「お礼はしなくていいや」という心理の裏には何があるのか?

推測ですが、
「このアンケートに回答することにより、メリットを享受するのは確かに我々店舗側であり、お客様側ではありません。
でも、我々がよくなることにより、結局そのメリットはお客様側に跳ね返ってくるわけだから、それ考えたら、お礼なんかしなくてOKっしょ?
だから、タダで協力してよ。」


ってことなのかもしれない。
ある意味一理あるけど、やっぱりお礼はした方がいいと思います、僕は。



「改善に活かす難しさ」がすごい

上記流れで考えると、真に意味のある「お客様の声」型のアンケートは、

・ 褒めてもらって気持ちよくなるためのアンケートではなく、
・ 自分で気付いている欠点を指摘されるアンケートでもなく、

・ 自分でも気付いていない欠点をあぶり出すためのアンケート

ということになります。

自分でも気付いていない欠点に気付けるようアンケートを設計するのは、
その欠点に自分でも気付いていないだけに、とても難しい。



---



また、貴重なアンケート結果を実際の行動につなげられるような、
実務的な回答が得られるよう、アンケートを設計するのもとても難しい。



例えば、ファミレス店が

「お客様のご職業」

を客に尋ねたとして、

それ聞いてどうすんの?

が肝心です。

自営業が多かったらどうするのか。
主婦が2-3割だったらどうするのか。

「いや、結局どうもしません」
だったら、そんな質問項目要らないわけで、
アンケートを設計する際に
「こういう回答だったら行動A、逆にこういう回答だったら行動B」
と、アンケート結果を実際の行動に落とし込むところまで考えてアンケート設計をする必要があるので、とても難しい。

でも、これこそがアンケートの醍醐味であり、アンケートの意義そのものなので、
ぜひアンケート実施者の方々には、ここまで考えた上でアンケートに協力を求めてほしいと思います。

こちらサイド、かなりアンケート好きなので、喜んで協力しますよ!
by dantanno | 2013-06-28 11:47 | 提言・発明 | Comments(0)

子供が生まれる前に、Babymoonに行ってきました。

今度、子供が生まれます。
多分、女の子。



---



生まれてしばらくは、ゆっくり旅行とかしないだろうから、ということで、
今のうち行っとけ!、ってことで、
タイのリゾートに一週間。

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ちなみに、奥さん(=オレの英語の先生)曰く、
アメリカではこういう旅行のこと、HoneymoonにかけてBabymoonって言うんだって。
知らなかった。。



---



子供、および子育てについて、夫婦でいくつか決めていることがあります。



1. 「なんでも子供中心」にしない

子供は当然大事にするけど、我々は子供のために生きているわけではない。
「大事にする」と「振り回される」は全然違うと思う。

子供がほんのちょっとぐずっただけですっ飛んでいく親が
「いやあ、子育てって、ほんっと大変・・・」
って言うのを聞くと、(そりゃそうだろうなあ)って思う。

ウチは、もう少しほったらかしにして育てたい。
ちゃんと世話はするけど、構い過ぎない。

そして、子供を定期的にプロ、あるいは身内に預け、
夫婦二人でデートをする。

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2. 国際人にする

世界にはいろいろな国、人々、考え方、言語が存在することを、
小さい頃から徹底的にご理解いただく。
そのためのコストは惜しまない。

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3. 「子供」を言い訳にしない

「子供がいるから**出来ない」とか、絶対に言わない。
自分が挑戦しないことや、自分らしく生きないことを、子供のせいにしない。

むしろその逆で、自分が挑戦する姿を子供に見せつけることにより、
「何に挑戦してもいいんだ」ということを骨身にしみて分からせる。
ウチのオヤジがそうしてくれたように。

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楽しみです。。。
by dantanno | 2013-06-24 20:25 | プライベート | Comments(0)

2軒のラーメン屋の物語

むかしむかし。
A町とB町という、となり同士の2つの町がありました。

それぞれの町に、AとB、2軒のラーメン屋がありました。



ーーー



この2軒のラーメン屋は、すべてが似た者同士の、よきライバル。

ラーメンのメニューも、味も、値段も同じ。
それぞれの商店街でのロケーションも似ている。
店の規模も、雰囲気も同じ。
そして、はたらくスタッフの数や月給も似たり寄ったり。

どちらの店も、毎週月曜〜土曜まで営業し、日曜日はお休みです。



このAとBという、2軒のラーメン屋についての物語です。



ーーー



ある日のこと。
店を閉めた後、A店の店長がスタッフを集めました。

A店長 「これまで、ずっと週6日営業でやってきたけど、
来週から、週5日営業にしようと思う。」

スタッフたちが顔を見合わせます。

スタッフ 「お、オレたちの給料はどうなるんスか?」

A店長 「給料は、今のまま変えない。」

スタッフ 「ってことは、給料はそのままで、休みが増える、ってことッスね!やった!!店長、太っ腹!!」

A店長 「いや、休みは増やさない。」

スタッフ (???)






A店長の話はこうです。

これまで、毎週月〜土まで営業して来たのを、
今後は月〜金までの営業とする。

日曜日は従来通り、お休みの日。

では、土曜日は一体何をするのか?

土曜日は、「ラーメンをよりおいしくするための日」とする。

店は開けないが、スタッフには全員集まってもらう。
そして、みんなでいろいろな取り組みを行う。

・スタッフそれぞれがラーメンを作り、お互いの味のいいところ、改善出来るところを分析し合う。
・新しいレシピやトッピングの案を出し合い、実際に作ってみる。
・お店の味を統一し、安定させるための取り組みを行う。
・他店の味や運営方法から学ぶため、ライバルである隣町のB店はもちろん、一流のラーメン店をスタッフみんなで食べ歩く。
などなど。


最初は半信半疑だったスタッフたちも、
とにかくやってみよう、ということになりました。



ーーー



この取り組みを始めて1ヶ月。

A店のラーメンの味は以前と特に変わらず。
日々の来店客数も変わらず。

一方、売上は2割近く減りました。
6日営業を5日営業に減らした分です。



売上は減ったものの、スタッフに払う給料は、以前と変わらず。
また、土曜日の「ラーメンをおいしくする」ための諸々の活動経費がかかるため、利益は以前よりも減りました。



B店長からすると、A店の意図がまるで分かりません。
みすみす土曜日の客を、ライバルであるB店に回してくれているようなものです。
不思議に思うやら、ありがたいやら。

まあ、そんなことに構っているヒマはありません。
とにかくがんばって営業です(汗)!



ーーー



A店のスタッフたちは、収益が減った店の運営のことを心配しながらも、
毎週土曜日を楽しみにしている様子。

「来週は何を研究しようか」
と自主的に話し合う様子を見て、A店長は自分のやっていることは間違っていない、と言い聞かせました。



ーーー



5年経ちました。



B店は、従来通りの味のラーメンを提供しています。



一方、A店はどうか。

毎週毎週、月4回、年50回、5年で250回、
土曜日に行って来た研究活動が実り、
ラーメンの味をよりおいしくすることに成功しました。

スタッフが考案した、さまざまな種類のラーメンやトッピングをお客様に提案し、喜ばれています。

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従来のメニューを、従来と同じ価格で提供する一方、
新メニューは少し高めの価格設定にしたため、
客単価は上がりました。

雑誌やメディアの取材も受けるようになり、
気づけば毎日お昼時には行列が出来るようになりました。



A店とB店の、週の売上を比較すると、

B店: 単価600円 x 一日300杯 x 週6日 = 108万円
A店: 単価700円 x 一日400杯 x 週5日 = 140万円

いつのまにか、負けていたA店がB店を大きく逆転していました。



変化が起きたのは、収益面だけではありません。

「将来、自分もラーメン屋を経営したい」というA町・B町の熱意ある若者が、みなB店ではなく、A店ではたらきたい、と言ってくれるようになりました。

そうした優秀かつ意欲的な若者がスタッフとして入り、
土曜日の活動がさらにレベルアップする、という好循環も始まっています。



ーーー



経営者であれ、サラリーマンであれ、フリーランスであれ、
我々の仕事は、「選択」の連続です。



苦戦するB店長は、選択を迫られていました。

来店客数を挽回するため、値下げするかどうか。
収益を増やすため、日曜日も店を開け、営業するかどうか。
もっと家賃が安いC町に移転するかどうか



一方のA店長も、同様に選択を迫られています。

お客さんを行列で待たせるのは申し訳ないので、お店を拡張するかどうか。
店長候補が育ってきたので、そろそろ暖簾分けするかどうか。
収益が増えた分を、どうスタッフに還元するか。
先週土曜日にスタッフから提案されたメニュー案を、正式メニューとして採用するかどうか。





こうした選択が、店の将来を左右します。

今からまた5年が経った時。
さらに、その10年後、20年後、30年後。

より栄えているのは、一体どちらの店か。



ーーー



という、架空のお話です。



ここでの主役は2軒のラーメン屋でしたが、
読者のみなさんが活躍する分野にはあてはまりますか?
by dantanno | 2013-06-20 14:54 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

艦長、どうか前をお向きください!

この前、安倍総理が発表した成長戦略

マーケットは「インパクトが無い」と失望し、
日経平均が下がった、って。



---



一体、何を期待してたんだ?って思います。

戦略なんて、本来つまらないものです。

企業であれば、最終的には
どうやって売上を増やすか、あるいはコストを減らすか
しか無いわけで、それを実現するための戦略は、

やるべきことを粛々とやる
Gotta do what you gotta do

になるわけで、「おもしろい♪」とか「斬新!」を戦略に求める方が間違ってると思います。
(まあ、おもしろい戦略もあると思うけどね。)

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---



それはさておき。

戦略の「伝え方」には、大きく改善の余地があると思いました。



安倍さんっていっつもそうだけど、
手元の原稿見ながら話すでしょ?

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原稿を見ながら話すこと自体は悪いことではないと思う。



その原稿は、一体誰が書いたのか。
自分かもしれないし、補佐官や官僚かもしれない。

自分で書いた原稿なら全く問題無いと思うし、
「他人が書いた原稿を読むなんてけしからん!」
とも思いません。

例え別の人が用意した原稿でも、
本番前に自分で目を通し、追記・修正・削除をしていれば、
実質的に自分の言葉だと思うから。

スピーチが上手とされるオバマさんだって、原稿棒読みです。



---



僕が問題だと思うのは、
「戦略がインパクトに欠ける」
ことでもなく、
「原稿を読み上げている」
ことでもない。

問題は、メッセージを伝えるときに、聞き手の目を見ていないことだと思う。

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「一緒に、力を合わせ、がんばろうではありませんか!」
と、うつむき加減で言われても、説得力ゼロです。


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せっかく優秀な補佐官たちが取り巻いているのに、
なんで誰もこれを問題視しないのか、不思議でならない。



---



解決策は、
ここに書くのもアホらしいほど当たり前すぎるけど、
例えば



1.プロンプターを使う

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これがあれば、聞き手の目を見ながら、、、
いや、実は見てないけど(笑)、
目を見てる風に話せます。

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2.原稿にメリハリを付ける

上記、安部さんが成長戦略を発表する際のTV画面の字幕から類推するに、
恐らく安部さんの手元の原稿にはこのように書いてあるのでしょう。

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こうやってベチャーってやっちゃうから、読みにくいんでしょ。

司会者がやるように、こうしたら?

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あるいは、通訳者風にするとか(笑)。

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余談だけど、
これを訳せと言われたら、例えば
Japan will increase it's GNI per capita by 1.5 million yen in 10 years' time.
とかにします、僕だったら。

まず主語(Japan)を選び、
次に一番左下の「+」を訳し、
一番上の「何を?」を訳し、
で一番下に戻って金額を言って、
最後に真ん中の期間を訳す。

めまぐるしいでしょ(笑)。



3.本気で信じていることを語るのに、果たして原稿は必要なのか

「原稿使うの、アリなんじゃない?」って書いたけど、
やっぱりね、欲を言えば原稿無しでやってほしいです。



一国の首相は、考えることがいっぱいあって、
いろんな細かいことまで全部そらで語れ、っていうのは無理な話。

戦艦ヤマトの艦長が、
「今、第18ボイラー室の室温は?」
って聞かれても、
「知るかよ」
って話です。



でも、今の安倍さんにとって「成長戦略」って、もうほぼ全てでしょ?
なんで、それを原稿見ながらじゃないと語れないのか。

松崎しげるが、歌詞カード見なきゃ「愛のメモリー」を歌えないようなもんです。

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今後、わが艦がどちらに進むのかを聞かれたときぐらいは、
手元の原稿に頼らず、しっかりと前を見て語ってほしいです。
by dantanno | 2013-06-13 00:42 | 提言・発明 | Comments(0)

トライアスロンで学んだこと: 完結編

最初の記事はこちら



俺は、必ずリタイアする

と心に誓ったアスリートが、次に考えるべきことはなんですか?



そう、いかにかっこよくリタイアするかですよね。

正確に言うと、リタイアする際の
ぶざまさを、いかに極小化(ミニマイズ)するかですよね。



50m地点で、ライフセーバーのお兄ちゃんのサーフボードにへばりつきながら、
僕は緻密に作戦を練り始めました。

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あまりあっさりとリタイアするとカッコ悪いです。
「一応がんばった」感を、少しでも出したい。

そのためには、あと少しでいいから、リタイア前に距離を稼いでおきたい。



---



アレと似てます。
定食屋とか、ラーメン屋に入り、料理を注文したら、、、
出てきた料理が、思いのほか大量だったとき。

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食べても食べても減りません。

食べ始めてからかなり早い段階で、
(これは食べきれないな・・・)
と覚悟します。



飲食店における食べきれないは、
トライアスロンにおける完走できないに、実によく似ている。



食べきれないことを確信した食い手が次に考えること。
それは、いかにかっこよく残すか

スープの中に麺を沈めて、偽装工作を試みたり。
存在感が大きいチンゲンサイを重点的に食べてみたり。
料理を皿の端っこに寄せてみたり。

いずれも、残す際のぶざまさを極小化(ミニマイズ)するための、涙ぐましい努力です。

そして、多くの人が考えることは、
(食べ切ることは出来ないけど、せめてキャベツの切れっ端をもうあと一切れ・・・)



それと全く同様に、
(どうせリタイアするなら、10m先のあのブイまで泳いでからリタイアしよう)
と思いました。



---



60m地点まで来ました。



リタイアすると決めると、だいぶ気がラクになります。

なにしろ、タイムが関係無いでしょ。

この前まで東大法学部とか言ってた人が、
やっぱフリーターでいいやと進路変更したときの気楽さでしょうか。違うか。



完走しないので、力を温存する必要もない。
だったら、あと10mぐらい泳げるな。



---



70m地点まで来ました。

だいぶ来たけど、まだ約10分の1だからね。

完走、いや、完泳など土台無理、っていう状況に変わりなし。




---



この頃になると、他の出場者のみなさまはスイムの往路を終え、
折り返し地点にあるおおきなブイを周り、
早くも復路に取りかかっています。

僕の周りには、もう誰もいません。

さっきまで波立っていた水面も、すてきな凪状態。

(これなら、息継ぎもラクだなあ・・・)

80m地点まで来ました。



---



(クロールだけだと疲れるから、他の泳法も混ぜてみるか・・・)

犬かきで、堂々90m地点まで。



---



だんだん前に進むにつれ、折り返し地点のおおきなブイが、イヤでも目にとまるようになります。

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(あそこまで泳げたら、オレマジだな・・・)



リタイア組にとって、折り返し地点というのは、一つの憧れです。

リタイア後、着替えながら
D 「一応、折り返し地点までは行ったからサ・・・」
と、爽やかに言ってみたい。。。



これまで泳いだ90mを、あと2回ばかり泳げれば、なんと念願の折り返し地点です。
そこまで行けば、誰にも恥じることなく、堂々とリタイアできる。



「途中、お兄さんのサーフボードで休み休みしながら、
折り返し点を回り、そこでリタイアする」

作戦が固まりました。



---



奇跡でしょうか。
なんと、折り返し地点まで来てしまいました!

そして、さすがにこの時点では本格的に苦しい



(さてと、リタイアリタイア♪)

と思ってお兄さんのサーフボードに乗ろうとすると、、、



な、なんと、お兄さんがパドリングの手を少し早め、
僕がギリギリでボードに届かない位置に、サーフボードを動かし始めました。





子離れ?

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僕的には、こういう状況の方が心地いいんですが。

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お兄さん  「がんばれ!」

D (いや、オレの作戦が・・・)

「もう半分超えたよ!」

D (いや、限界も超えてんすけど・・・)

「マイペース、マイペース!」

D (フッ、確かにマイペースではあるが・・・)



そんな、漫才みたいな掛け合いをしているうちに、なんとなく前に進んでしまい、400m地点。



---



この時点では、もう泳いでる人は僕と、あともう1人しかいませんでした。
他の何十人は、みんな立派にチャリこいでるんでしょう、どうせ。



もう1人のスイマーの方を眺めやると、そっちには別のライフセーバーがついていて、
こっちのお兄さん同様、もはや専属状態



---



D (リタイアしたら、お兄さんガッカリするだろうな・・・)



こんなにがんばって応援してくれてるお兄さんに申し訳ない、、、

その一心で、なんと450m地点を過ぎ、500m地点まで来てしまいました。



---



もうね、ほんとにほんとに極限状態です。

手はしびれて感覚無いし、
ウェットスーツはますます胸を締め付けてるし、
酸欠?だかなんだかで、頭はボーッとするし。



(休ませろ)
って思うんだけど、お兄さんはたまにしか休ませてくれません。



---



ええい、もうどうにでもなれ!

と、最後の悪あがきを開始。



クロールで使う筋肉が疲れ切っているので、
それに犬かきと、平泳ぎもどきを組み合わせ、必死に泳ぎます。
傍から見たら、おぼれてるようにしか見えなかったでしょう。



---



息継ぎすると、一瞬耳が水面上に出るんですが、
そのタイミングを見計らってお兄さんが



「がんばれ!」

「あと少し!」

「行ける!」

「大丈夫!」

「あきらめない!」






最後は、完全にお兄さんに対する義理と、お兄さんからの励ましだけを力の源泉とし、
600mを全て泳ぎ切りました。



水から陸に上がり、チャリンコ置き場への坂をヨロヨロ歩きながら後ろを振り返り、
まだ水中にいるお兄さんに向け、両手を合わせました。
(この先の人生で、困ってる人がいたら、絶対助けるから・・・)
と誓いながら・・・。



---



というお話です。

結局、その後のチャリ→ランをなんとかこなし、
不甲斐ない成績ながらも完走出来ました。



---



チャリこぎながら、疑問が頭を離れませんでした。



(なんで泳ぎ切れたんだろう・・・)



あんなに無理だったはずなのに。
一体何が起きたのか。

僕なりに、要因を考えてみました。



1. 根拠レスな思い込み

フタを開けてみれば、「絶対泳ぎ切れない」は、間違っていました。

オレはこういうのダメ
オレはこの人苦手
オレには無理


そういう思い込み、特にネガティブな思い込みは、今後捨てていこうかな、と思いました。



2. 人のためにがんばる

往路はともかく、復路の300mを泳げたのは、自分ではなく、お兄さんのため、、、、、
っていうとなんだかヘンだけど、
(お兄さんをガッカリさせたくない)
がとても強かった。

人は、「自分のため」だと出せない力を、「大事な人のため」なら出せるのかな、って思いました。



3. プライドを捨てる

思うに、50m地点で「リタイアしよう」と思ったのは、逆説的だけど、カッコ悪いのがイヤだったから。

でもその後、みんなが上がった後の沼でもう1人のスイマーとビリ争いを繰り広げ、
犬かきとカエルかきをまぜっこにした不思議な泳法であがくうちに、

(もういいや、カッコ悪くても・・・)

と思えました。
そして、そのあたりから泳ぐのが少しラクになりました。



4. 目標を小分けにする

600m? → 絶対無理
だとしても、
10m先のブイまで
なら泳げる。

新規クライアント100社獲得せよ!
は無理だけど、
1社でいいから
と言われれば、出来る。

100kmマラソンを走れ
無理。
でも、あそこの電柱までなら走れる。



人生、全てそうなのかな、と思いました。



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もちろん、物理的に無理なことは無理です。
目標を小分けにしたところで、出来ないこともある。

でも、目標を小分けにせず、「あ、無理」とあきらめた場合は何も残らなそうなのに対し、
目標を小分けにして、1つ1つ取り組んでいった結果であれば、
例え最終目標に到達できなかったとしても何かが残る気がするし、
Good loserになれる気がする。



そして、その日は負けたとしても、
何がいけなかったのか
何が足りなかったのか
どうすれば勝てるのか
を考え、次挑戦した際に勝つ確率が高まる気がする。



どんなに難しい課題も、この姿勢で臨めばいつか必ず勝てることを、身に染みて学んだ一日でした。
by dantanno | 2013-06-05 23:18 | プライベート | Comments(0)

経営の極意?

経営 = 世の中をより良くすること、だと思っています。

そのやり方ですが、仕組み(お金の流れ含む)を変えることにより、顧客、あるいは社内の人間の意識を変え、行動を変え、結果的に世の中をより良く変えることな気がする。

そう考えると、顧客や社内の人間に対し、「意識を変えてください。行動を変えてください」と呼びかけているうちはダメ、むしろ逆効果で、自分の経営のダメさを自ら示しているようなものなのかも。

真の経営は、「変わってください!」と聲高に主張するのではなく、
仕組みを用意し、それを静かに示すことにより、人が自ら「変わりたい」と思うよう促すことなのかもしれない。
by dantanno | 2013-06-04 05:58 | 経営 | Comments(0)

トライアスロンで学んだこと: 2.「決意」

いよいよスイム(600m)が始まりました。



会場は渡良瀬遊水池という、遊水池、、、
要は沼です。
そこで泳ぐんです。



---



キレイ、かつ空いてるプールであればあんなに短かく感じた600mも、
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冷たい(時期は10月)緑色の沼で、
何十人もの人が我先にと泳いでいる中でとなると、すばらしく長いんですね。



息継ぎをしようと思って顔を上げたところに、
隣を泳いでる人が立てた波がぶつかり、水をガブ飲みしたり。



泳いでて、水中が全然見えないし、
自分がどっちに進んでるのか全然分かんなくなるので、
たまに犬かきみたいにして前方を確認。
すると、スゲー曲がってることに気付いたり。
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(プールひゃっこいって思ってたけど、実は温かかったのね)
って身に染みるぐらい、水冷たいし。



いつもと違うスイム環境に慣れず、、そしてなによりも
大会という本番の雰囲気にすっかり飲まれてしまい、
気勢を削がれていました。



そんなこんなしてるうちも、ずっと胸が息苦しい。



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スタートしてまだ数分。
たった50m泳いだ時点で、完全にバテちゃいました。

ちょうどその50m地点の近くで、
大会ボランティアのライフセーバーのお兄さんがサーフボードにまたがって監視していたので、命からがら、そのサーフボードにへばりつきました。

こうしてサーフボードやブイにしがみついて休憩するのは、ルール違反ではないんです。
タイムがどんどん遅れるだけ。

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この時点で、僕は決めていました。
完走は100%無理なので、リタイアする



だって、50m泳いだだけで、もう完全にバテてるし。

「あと50m泳げ」って言われても多分無理なのに、
残ってる距離はなんと550m
今、必死で泳いだ距離の10倍以上です。
理論的に無理です。計算が合わない。



また、仮に何かの間違いで泳ぎ切れたとしても、きっと完全に力尽きてるはずだから、
その後チャリこいで、しかも走るなんて、絶対出来るわけない。



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(このままだと泳ぎ切れず、リタイアになっちゃうかもなあ・・・)
とか、
(厳しいなあ。。リタイアしようかなあ・・・)
みたいな、
そんな生半可な気持ちじゃありません。



俺は、絶対に泳ぎ切れない



であり、



俺は、必ずリタイアする




そう、固く決意しました。

<続く>
by dantanno | 2013-06-02 11:10 | プライベート | Comments(0)