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柴田元幸先生の「翻訳教室」に行ってきた: その2

前作はこちら


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講義が始まります。

流れは
1. まず、事前に生徒たちから提出されていた課題文の翻訳に対し、先生が赤入れ/コメント入れしたものを一人一人に手渡して返却するところから始まります。
その上で、
2. いくつかの訳例をOverhead projectorを使ってみんなで見ていき、先生がその場で赤/コメント入れしていきます。

で、
3. Q&A/Discussionをしながら先生の「教師訳」が配られ、なんだかいい感じで終わる、

という感じ。



思ったことをいくつか書いてみます。



結局、エネルギー

以前こういう記事を書きました。
今から振り返ると、なんだかピントがずれたトンチンカンな記事だなあ、、、って思うけど、
結局「エネルギーがあるかないか」が重要、的なことを言いたかったんだとすれば、その点に限って言えば同意だなあ、と思いました。

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講義の冒頭の
1. まず、事前に生徒たちから提出されていた課題文の翻訳に対し、先生が赤入れ/コメント入れしたものを一人一人に手渡して返却するところから始まります。

いやあ、これはすごいですね。
何十人分もの翻訳を全部見て、赤/コメントを入れるのは大変です。



僕もたまーーに人様の翻訳に目を通すというのをやりますが、大変です。

何が大変かというと、
1. 目の前の翻訳を読んで考えつつ、頭のどこかでは原文はどうだったっけ?というのを意識する、そういうマルチタスクぶりが結構しんどい
のと、
2. 直しを入れる際、「一体なんで直すのか。なぜこれではダメなのか。なぜ(直した後の)自分の訳の方がいいと思うのか」をいちいち考えるのが結構疲れる

2.については、下訳をしてくれた人に直しを見せた際、
「なんでこれ(元の訳)じゃダメなんですか?」
というごもっともなツッコミに対し、どう答えるか、という図式をイメージします。

明らかな誤訳でもないのに、なんで直すのか。
それをちゃんと説明するのは、「上手な翻訳をする」ことの延長線上にあるのかもしれないけど、なんかまた違った能力のような気もする。



---



柴田先生の日々の生活を勝手に妄想。

自分が行う翻訳。
それを可能にするための勉強、下調べ、読み込み。
その上さらにこうして学生の翻訳をチェックし、どうすればより良くなるかを教え、
自分自身の本も書いちゃう。

「翻訳が好きだから」ってのは当然あるんだろうけど、
「翻訳に振り向けるエネルギーがあるかどうか」が大事になってくると思う。

そうしたエネルギーについて、
ほっといても生み出される分、生まれつき備わっている分だけでなく、
どうやって追加的なエネルギーを生み出すか。

そして、多分これが一番大事なんじゃないかと推測するんだけど、
どうやってエネルギーの浪費を防ぐか。
そういうことも大事なんだろうなあ、と思いました。

余計なことばっかりやっていると、結局何も成さずに人生を終えると思う。ブルブル



---



ふー、やっと1個「学び感じたこと」書いた。
あと5個ぐらいあります。
長い連載になりそうだわ・・・。

<続く>
by dantanno | 2013-03-22 16:07 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

柴田元幸先生の「翻訳教室」に行ってきた: その1

去年から、神戸女学院の大学院で通訳を教えています。

先日、キャンパスをウロウロしていたら、、、
こんな張り紙を見つけた。

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柴田先生と言えば、いろいろなアメリカ文学の日本語への翻訳で有名な学者・翻訳家。



(これはぜひ参加してみたい!)

と思いました。



こういうイベントが行われる学校っていいなあ。。。オレも通いたいなあ。あ、でも女子大か。

きっと、このイベントも学生(=お客様)向けなんだろうし、我々教える側の人間(=業者)は出入りしちゃいけないんだろうけど、何分自制が出来ず、事務局にお願いして申し込み。

昨日、新幹線で行ってまいりました。



---



翻訳者としてはもちろん、人様にものを教える立場の人間として、きっと得るものは多い/大きいだろうと思っていたけど、はたしてその通り。
とっても勉強になりました。
忘れないうちに、学び感じたことを書いておこう、っと。



---



課題文が2つ、事前に出されていました。

1. 短編小説。たった1ページの短いもの。
2. 子供向けの詩。これも1ページの短いもの。



日頃、IR(=ビジネス)関係の通訳(+たまに翻訳)を稼業にしている者にとっては、どっちも専門外です。

しかも、どっちも英→日の翻訳。
僕、普段通訳をする際、日→英は結構得意だけど、英→日はちょっと苦手だと思っています。
そういう意味でも苦手感が漂います。

しかも、1.はまだ無理矢理なんとか訳せるかもしれないとしても、
2.なんて、子供向け
僕はポエマーじゃないし、とてもじゃないけど2.は訳せない、ってことで
1.だけ事前に訳して臨みました。

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<続く>
by dantanno | 2013-03-21 15:53 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)

あなたは、「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」をどう訳すか (Part 2)

(前編はこちら



「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」

をどう訳すか。

僕(通訳者)じゃなくて、
あなた(一般ピーポー)が。

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一緒に考えてみましょう。



---




「どう訳すか」もそうですが、
「どう**するか」を問う質問は、戦略を問う質問であることが多い。

How are you going to achieve your targets?
How are you going to cope with the strong yen?


では、この場合は「なんの戦略」を考えればいいのか。



---



訳す対象がもっと長いフレーズであれば、全部覚えてられないので、メモ取りが必要になります。
そうなると、「どうメモをとるか」、そしてそのメモをベースに「どう話を再現するか」などの戦略が必要になります。



また、意味不明な単語(以下"IFT")を含むフレーズを訳す場合は、
そのIFTをどう扱うか、という戦略が重要になります。
(例: 「減圧蒸留は好きですか?」を訳す場合)



---



「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」
の場合、

1.長くない
ので、メモ取りはいりません。
よって、メモ周りの戦略は不要でしょう。

また、
2.意味は分かる
ので、IFT処理に頭を悩ます必要もありません。



では、この場合の「戦略」とは、どういう戦略なのか。
「どう訳すか」とは、具体的に何を問うているのか。



一つあるとすれば、
「直訳/意訳の加減」
でしょうか。

どの程度直訳するか、あるいはどの程度意訳するか。
(要は同じことを、逆の立場から言っているだけです。)



<直訳>
スピーカーが言った言葉通りに、そのまま訳す方法。
意味も大事にしつつ、どちらかというと「言葉」にフォーカスした訳し方。
メリット: 正確
デメリット: 訳が「訳調」になりがち。また、言葉尻にとらわれて、聞き手にとって分かりにくい訳になることがある。

直訳時の典型的なクレーム: 「意味分かんない」




<意訳>
「要はこういうことを言っています」的な、意味を重視した訳。
必ずしも話し手の使った言葉通りに訳すとは限らない
メリット: 分かりやすい。意味が伝わりやすい
デメリット: 不正確になることがある。訳者の解釈が入ることがあり、その解釈が正しい場合はサイコーだけど、間違っていると誤訳につながるリスクがある。

意訳時の典型的なクレーム①: 「(話し手の)言った通りに訳してない」
意訳時の典型的なクレーム②: 「話し手はたくさんしゃべったのに、訳が短すぎる。おかしいじゃないか」




自分が通訳をするときの頭の使い方を振り返ると、案外この直訳・意訳のバランスを結構重視してる気がします。
正解がない中で考えるのはしんどいんだけど、そこが逆に楽しいとも言える。

直訳・意訳のバランスは、一体どう取ればいいのか。
「正解はない」なんて言ってても付加価値がないので、少し考えてみました。



---



物事を考える際、「極端なケース」を想定すると本質が見えてくることがある気がします。
ここでもやってみます。

極端な直訳極端な意訳を考えてみましょう。



---



1.極端な直訳

「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」
を極端に直訳すると、一体どうなるのか。

まずは、前半の「信号が変わります」から行きましょうか。



「信号」ってなんだっけ。
traffic light(s)か。
単数?複数?どっちだろう。併記しとくか。
traffic light(s)

で、「信号が変わります」
The traffic light(s) is/are changing.

「変わります」 = 未来の話をしてるから、未来形にしようかな。
The traffic light(s) will change.
まあこんな感じ?


次、後半部分に取りかかりましょうか。



「無理な横断はやめましょう」

「横断」(名詞)。
"a/the crossing" (noun)?

「無理な**」が難しいなあ。
「無理」 → フツーに辞書引くと、unreasonable, unjustifiable, unnaturalとか。

「極端に直訳する」という趣旨からすると、上記のどれかを無理矢理使っちゃいたいところだけど、それだとさすがにあまりにもアレだから、ここはちょっとだけ意訳させてもらって
「無理な」 → 「危険な」 = dangerousとか?

で、最後の「やめましょう」
「やめろ」ではなく、「やめよう」という提案っぽいですね。
だから、"let's not **"とか?
パナソニックのノートPCじゃなく、ね。

で、出来上がったのが
「無理な横断はやめましょう」
Let's not make a dangerous crossing



さっき訳した前半部分とくっつけ、
「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」
The traffic light(s) will change. Let's not make a dangerous crossing






ひどいな、こりゃ。

まあ、ギリギリ意味は分からなくもないかもしれないけど、美しい英語とはほど遠いです。



次行きましょう。




---




2. 極端な意訳




意訳したいときは、話し手が使った言葉を忘れ、「意味」だけを考えます。



「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」
って、一体どういう意味なのか。。。。。。



「渡るな」
「やめとけ」
「あきらめろ」

とか?

「もう赤」
「危険です」
「信号無視ダメ」

とか?



一番ピンと来る「意味」を選んだら、後はそれを訳すだけ。

Don't cross
Stop
Give it up

It's red already
It's dangerous
No jaywalking


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言いたいことはよく分かります。

でも、
意訳時の典型的なクレーム②:
「話し手はたくさんしゃべったのに、訳が短すぎる。おかしいじゃないか」
が飛んできそうですね。

<続く>
by dantanno | 2013-03-18 17:55 | 通訳 | Comments(0)

あなたは、「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」をどう訳すか

「通訳って、通訳者がするものでしょ?
私には関係ないわ」
って思ってませんか?

とんだ思い込みです。



訳は、人ごとではありません。
いつでも、誰にでも起こりうる、身近なこと。
それが「訳」です。



---



想像してみてください。

よく晴れた日の午後。
外国人の友達と、銀座をブラブラ、資生堂パーラーあたりまで来たそのとき!

近くの信号機のスピーカーから、
「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」

と流れたメッセージを聞いた友達が
"What is that? What did it just say?"


さあ、どうしますか?

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辺りを見回し、大きな声で
「どなたか、通訳者の方はいませんか!?」
と叫んでみても、みんなからヘンな目で見られるだけです。
そう、あなたが訳すしかないんです。



---



「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」

をどう訳すか。

正解はありません。
逆に、訳し方は無限にあり、どれも一長一短。

不幸にも、あなたがそれを訳す必要に迫られた場合、
オドオドせずに対処できるよう、日頃通訳ばっかりしてる僕と一緒に考えてみましょう。

<続く>
by dantanno | 2013-03-17 12:12 | 通訳 | Comments(0)

情報の搾取を乗り越える

フリーランス通訳者時代。
いいこともあったし、イヤなこともありました。



僕が一番イヤだったのは、
「クライアントがいくら払っているのか」
を、自分が登録している通訳エージェントから教えてもらえなかったこと。

こっちが黙ってたらもちろん教えてくれないし、
勇気を出して聞いてみても、「それは教えられません」の一点張り。



なんで教えてくれないのか。
「自分の通訳Performanceに対し、クライアントがいくら払っているのか」という貴重な情報が、一体なぜ秘密なのか。

そこがどうしても理解できませんでした。



商流が
クライアント → 通訳エージェント → 通訳者
である以上、間に入る仲介者として¥を抜いているのは当然だと思うし、
もしいっぱい抜いてるなら、いっぱい抜いてるでいい。
いろいろと手間もかかるんでしょう。

イヤだったのは、「抜かれてる」ことではなく、「いっぱい抜かれてる」ことでもなく、
「教えてもらえない」こと。



その頃、つくづく感じたのは、
一番の「搾取」は、お金をもらえないことではなく、情報をもらえないことなんだな
ってこと。

そして、自分は一通訳者としてこの搾取に耐えられないから、
自分で通訳エージェントを立ち上げるしかないな、と決めました。



去年、ようやくIRISを設立。

IRISでは、通訳者に聞かれなくても、必ずクライアント支払額を通訳者に開示しています。
今後、よほど考え方やビジネスモデルが変わらない限り、ずっと守っていきたい習慣です。
by dantanno | 2013-03-15 19:49 | IRIS | Comments(0)

重要なお知らせ

重要なお知らせが来ました。

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チラシやDMだったら捨てるけど、
「重要」なので、仕事をほっぽらかして封を開けると・・・

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ちょっとずっこけました。



---



気を取り直して。

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急ぎの仕事があるけど、「大切」なのでこっちを優先して封を切ると、、、

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うーん、今はあんま要らないかな。



---



プレジデント好きだし、アプラスお世話になってるから全然イヤじゃないけど、
自分がメールの件名に<重要>とか入れるときはよく考えてからにしよう、って思いました。
by dantanno | 2013-03-14 16:05 | 自戒ネタ | Comments(0)

つながるプレゼン

IR通訳者として、これまで超たくさんの企業のIRプレゼンを見てきました。
その数、ざっと500社ぐらい?分かんないけど。

その中で、ベストワンをあげろと言われれば、ソフトバンク(株)かな。
このページに載ってる、「プレゼンテーション資料」ってやつ。

超おもしろいんですけど。



---



何がおもしろいって、ほぼ全ページに登場する
青の極太フォント
がおもしろい。

これでもか、っていうアピールぶりが光ります。

あと、スライド66とか67とかもサイコー。



---



青の極太フォントを指して、
「要は、自社の強み・実績をアピってるだけじゃないですか?」
って、まあ確かにそうなんだけどね。
でも、こういうプレゼンって珍しいんですよ。



普通のIRプレゼンって、いたるところ文字だらけ。
ほんでもって、
・直近の四半期の業績(売上、利益、他)をセグメント別に並べて、
・期初予算比、前年同期比+/-何%って書いて、
・営業利益の増減分析とかして、
・セグメントごとの動きなど説明し、
・海外事業に触れ、
・設備投資と償却の関係を書いて、
・為替の感応度をちょいと説明し、
・最後ディスクレーマーが入って終わり、ってな具合で、
マジメだけどつまんないのがほとんど。

読みながら、思わずクスッと笑っちゃうようなプレゼンと出会うことはありません。



そんな中、ソフトバンクのプレゼンは超新鮮でした。



---



そもそも投資家に対してアピるに足る実績がある、ってのが前提になるけど、
それをこうやってちょっとギャグっぽく、読み手を引きつけるように表現するのってサイコー。



---



IRの資料はつまんないといけないって、一体誰が決めたんだっけ?
IR = ビジネス = 仕事 → つまらないもの?
そんなことないでしょ。

野球選手はPlay
音楽家もPlay
だったら、ビジネスにもPlay的な要素があっていい、いや、あって当然なんじゃないの?



真面目一辺倒文字だらけプレゼン 
VS 
ソフトバンクの青の極太フォントプレゼン。



どっちを使ったミーティングの方が、参加してて、また、通訳しててより楽しいか。
投資家にささるのはどっちか。



通訳者の職務経歴書を見てても思うけど、
文字だらけ、通訳実績の羅列だけのWordファイルなんかより、
青の極太フォント
的な一言の方がよっぽど次につながります。



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by dantanno | 2013-03-12 20:37 | IR通訳 | Comments(0)

「領収書の宛名はブランクでお願いします」 (完結編)

(前編はこちら


なぜ、領収書に宛名を書かないといけないのか。



その理由は、領収書を発行する側(店側)、および領収書の受け取り手側(客側)、そのどちらか、あるいは両方にあるのでしょう。
それぞれについて考察してみます。



1. 店側に起因する要因

いつ、どんなお客さんからいくらもらったのかを記録しておきたいのかもしれませんね。
店の管理会計上、あるいは税務上の理由で。

もしそうだとすれば、宛名がブランクだと「誰宛に発行した領収書なのか分からなくなっちゃう」から、宛名が必要になるのもうなずけます。



ただ、このロジックがあてはまるのは、そのお店が複写式(2枚重ねで、本紙が青文字になるアレ)の領収書を使っている場合だけですよね。
だって、一枚ペラの領収書であれば、せっかくそこに大事な宛名を記入しても、それをそのまま客に渡しちゃって、店側になんの記録も残らないから。
筆圧を超強めにして書けば、ウラにある領収書にちょっと記録が残るかもしれないけど。

ちなみに、今まで2回「宛名無しはちょっと・・・」と言われたのは、レジの機械から印字される、あの一枚ペラの領収書を使っているお店ででした。。。



---



じゃあ、2枚重ねの複写式(転記式?)の領収書を使っているお店だったらどうか。

そうであれば、「宛名になんて書いたか」の記録がちゃんと店側に残ります。

でも、「上様」っていう記録をたくさん集めて、一体どうしようというんだろうか。
よしんばちゃんと人の「名前」を宛名にしたとしても、「田中」とか「鈴木」とかいう宛名の記録に、一体何の管理会計上・税務上の価値があるんだろうか。

分かりません。

まだちょっと考えただけだけど、領収書に宛名が必要な理由は、どうやら店側には無さそうです。



2. 受け取り手側(客側)に起因する要因

確かに、レジで店員さんに
「宛名無しで」
とお願いするとき、一抹の後ろめたさを感じます。
なんだか悪いことをしているような。

その後ろめたさの正体は何か。

宛名をブランクにしておくことで、後からなんでも好き勝手に記入できてしまうことでしょうか。
どことなく脱税感が漂います。

店側(あるいは税務署)は、こうした脱税を防ぐために宛名の記入を求めるのでしょうか。

これは、個人的にはとてもしっくり来る推論です。



---



でも、ちょっと考えれば、こんなの全然理由になっていないことが分かります。

だって、レジで「宛名はいかがいたしましょう?」と客に聞いている時点で、そこになんでも好き勝手な宛名を書く自由がこちら側に与えられてしまっているから。

その自由を、
1. レジで領収書をもらう瞬間に行使するか、
2. 後日、家・オフィスで行使するか、
だけの違いです。

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---



そもそも、これまでグチャグチャ考察してきたことを全部引っ繰り返しちゃうようだけど、
「宛名無しの領収書は出せない」と言っているその傍らで、
宛名無しのレシートは発行しまくっているわけで、なんでそれは気にならないの?と気にせずにいられません。



---



正直、こんな領収書の宛名問題なんてどうでもいいです。
どうしても宛名を書かないといけないと言われれば、とりあえず上様って書いてもらって、後から修正するなり、再発行してもらうなりすればいいから。

僕がイヤなのは、Ownershipの無さ。



宛名に何を書くかを客側に決めさせている時点で、ブランクの領収書を渡しているのと全く同じ効果だということに、一体どうして気付かないのか。

「宛名無しの領収書はお出しできません」
に対し、
「ちなみに、なんでですか?」
って聞かれ、どうして
「分かりません」
で済ませちゃうのがイヤじゃないのか。



「そういうルールだから」ってことで、どんなルールも深く考えずに守るのであれば、、、
ヒットラーみたいな人が指導者になったら大変です。



あと、自分の仕事を好きじゃないの?って思ってしまいます。

飲食店の店員さんにとって、レジで領収書の宛名をどうするかって、結構大事なことでしょ?
そういう大事な問題について、もしあまりちゃんと考えていないのであれば、それはOwnershipが無いってことだから、そんな仕事さっさと辞めて、もっとOwnershipを感じられる仕事をすればいいのにって思います。

ただでさえも競争って大変なのに、「自分のこと」と思えない仕事をダラダラ続けている人が、その仕事を「自分のこと」と思って日夜がんばってるヤツに勝てるわけがない。

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領収書の宛名問題が、飲食店の店員さんにとって「どの程度大事であるべきか」を数学的に計算してみます。

まず、飲食店における店舗オペレーション全体を100とします。
バイトの採用とか、閉店後の掃除とか、そういう陰ながらの努力系の作業はとりあえず置いておいて、目に見える店舗オペレーションに限って考えます。

全体100を、厨房50、ホール50に分けますか。
ホール50のうち、ホール内での客対応が30、レジ周りが20ぐらい?
で、レジ周りの20のうち、レジ打ちが15、領収書関係の業務が5。
領収書関係の5のうち、宛名周りの作業が2.5。

100分の2.5。
たった2.5%。

意外とどうでもよかったか(笑)。



---



「あまりちゃんと考えていないのでは?」は、店員さんだけでなく、我々客側にもあてはまります。

そもそも、なんで領収書なんて求めるのか
なんでレシートじゃダメなのか。



経理部が「ちゃんとした領収書じゃないといけません」って言ってるのは、実はとんだウソっぱち。
会計的にも、税務的にも、レシートで十分です。
ちゃんと「いつ、誰にいくら支払った」という記録さえ残せれば、領収書なんていりません。



いや、レシートで十分どころか、むしろレシートの方が会計的・税務的な証票としてよっぽど優れています。

だって、レシートであれば時間・人数・注文品の明細などが事細かく書いてあるから。



---



中小企業を経営していると、レシートと領収書の違いについて、日々実感させられます。



例えば本屋。

IRISのIR通訳ワークショップで使う教材用に、「IR通訳入門」という本を買ったとしましょう。
ついでに、プライベートで読む用のマンガも買いました。

<レシート>
IR通訳入門 2,000円
ドラえもん 500円
計 2,500円


となり、税務上経費として処理出来るのは2,500円の内の2,000円だけになります。



ところが、これが領収書だと
領収書
IRIS様
書籍代 2,500円


宛名はしっかり書いてありますが、脱税しやすいのはこちらです。



あるいは飲食店。

2人で飲みに行って、1人8,000円 → 2人で16,000円だったとしましょう。

<レシート>
2名様
○○  *,000円
△  *,000円
□   *,000円
計  16,000円


一人当たり8,000円だと、会議費としての上限を超えているので交際費扱いとなり、全額を経費で落とすことが出来なくなり、その分(税務上の)利益が増え、税金の支払いが発生します。



ところが、これが領収書であれば、わら半紙の切れっ端みたいなの
領収書
上様
ご飲食代
16,000円


うーん、これ何人だったかなあ・・・。
5人かな?

会議費として、全額経費扱いとなり、脱税成立です。
一応、宛名はちゃんともらいましたが。



---



あえて断言しますが、飲食店で「領収書ください」って言ってる人たちは、

1. せこい脱税をしている中小企業経営者か、
2. 経理・税務についてちゃんと考えたことのない経理マンか、
3. クライアントから「レシートではなく領収書!」と言われ、しょうがなく領収書をもらっているIR通訳者、

必ずこのいずれかにあてはまります。



領収書。
いずれ廃れる運命にあるこの制度。
早く無くなって、レシートだけの世の中になってほしいです。
by dantanno | 2013-03-09 19:44 | 提言・発明 | Comments(1)

iTunesよ、今度こそ

新しいバージョンのiTunesを利用できます。
今すぐダウンロードしますか?

□ 次回から確認しない


のハコに、1000回目のチェックを入れる。
今度こそ最後のチェック入れになれ、と念じつつ。。。

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by dantanno | 2013-03-06 20:32 | 提言・発明 | Comments(0)

「領収書の宛名はブランクでお願いします」 (中編)

(前編はこちら)



上司のデスクにおそるおそる近づきます。



D 「あのーーー」
J 「どしたの?」

D 「こ、これなんですけど・・・」

ブランク様を差し出します。



J 「なにこれ
D 「昨日の領収書です」
J 「なに、ブランクって
D 「僕のことでしょうか」



上司に経緯を説明します。

J 「お前がそうやって外人顔してるからさ。だからこういうことになるんだよね。そうでしょ?」
D 「はあ・・・」

そう言われてもね。ごもっともだけど。

J 「大体さ、会社名でもらっとけばいいに決まってるでしょ」
D 「はあ・・・」

そう言われてもね。新人類なんで。

結局、お店にお願いして、宛名を修正の上再発行していただき、なんとか事なきを得ました。



---



それから15年。
紆余曲折を経て、IR通訳者になりました。



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IR通訳では、海外投資家を連れて日本中を回ります。
いたるところで投資家と飯を食い、珈琲を飲み、酒を酌み交わし、領収書を集めます。

証券会社(=通訳案件のクライアント)が同行することは希なので、
えてして通訳者が飲食代を立て替えることになるんです。



---



領収書をもらう際、

店員さん 「宛名はいかがいたしますか?」

と聞かれたら、

D 「宛名は XXXX でお願いします」

と言えばいいわけですが、ときとして宛名を書かないでほしいこともあります。



別に、何か悪さをしようというのではありません。
(どういうときに宛名無しがベターなのかは後述します。)



---



宛名が無い方がいいときは、
「ブランクでいいです」
とか
「宛名は書かなくていいです」
とか言うわけですが、それに対し

店員さん 「・・・。あのー、宛名無し、っていうのはちょっとできないんですけど・・・」

と言われたことが、生涯で2度あります。

一度は、関西の新幹線駅のキオスクで。
一度は、都内の料亭チックなとこで。



---



店員さんの
「宛名無し、っていうのはちょっとできないんですけど・・・」
に対し、

D 「なんでだか分かりますか?」
と聞くと、必ず(2回中/2回)

「ハ?」



D 「いや、なんで宛名が無いといけないのか、理由って分かりますか?」
と聞くと、必ず(2/2)

分かりません (キッパリ)」

とのこと。



で、しぶしぶ
D 「じゃあ、「上」様でお願いします。」
ってなります。

「宛名無し」 と 「上様」 の違いはいかほどかを考えつつ。



---



ちなみに、、、
宛名が無い方がベターなのはどういう時かというと、、、

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1. 単純にめんどくさいとき

「宛名どうしますか?」
「丹埜 段、でお願いします」
「ハ?」

よくて「ダンノタン」、悪くすると「段田男」になります。
Wikipedia 段田男



まあ、1.は別に本質的な理由じゃないけど、
以下2.はやや切実。



2. その費用を、結局誰が負担するのか、支払う時点ではまだ分からないとき

今、レジで物理的にカネを払っているのは僕ですが、
僕が実質的・最終的な負担者ではないことが多い。
つまり、立て替えてるだけ。

IRの経費は多くの場合、(通訳案件のクライアントである)証券会社が負担します。

その場合、証券会社の日本オフィスが払うのか、海外オフィスが払うのか、決まっていないことがよくあります。
また、結局投資家側が負担することもたまにあります。



その辺は、もちろん事前にクライアントに確認し、確定しておいてもらえればベストなんだけど、そこは物の常。なかなかそうはいきません。
で、そういう場合、通訳者の判断で勝手に「証券会社の日本オフィス」名とかで領収書をもらうと、後でめんどくさいことになる可能性もあるわけです。



あ、あと、金額ね。
金額の大小によって、サイフが変わることはよくあります。

大した金額じゃなければAが負担するけど、金額が大きければB、もしくはBの役員勘定、とかね。

そんなのも、いちいちお店のレジんとこからクライアントに電話して、
「金額が**円なんですけど、この場合の宛名は・・・」
なんてやってられないわけです。

だからブランクだとありがたい。

でも、それが駄目だとおっしゃる。

一体なぜ駄目なのか、を考えてみました。

<続く>
by dantanno | 2013-03-05 23:09 | 提言・発明 | Comments(0)