たんのだんのブログ

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記者会見やプレゼン後のQ&Aのあるべき姿

記者会見やプレゼンの基本形は

1. スピーカーによるスピーチ/プレゼン
2. 質疑応答(Q&A)

が多いですよね。

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通訳者として、あるいは一参加者として記者会見やプレゼンに参加し、そのQ&Aを訳したり、聞いたり、自分が質問したりすることがあります。

Q&Aを実りある場にするために、質問者が心がけられると思うことは以下の通り:



・ 所属と名前をはっきりと言う

・ 質問は短く: ①自分の意見は言わない

・ 質問は短く: ②何を聞きたいのかを明確に

・ 質問は短く: ③質問は一つに絞る

・ その日のテーマに関係無いことは聞かない

・ 参加者全員の「最大公約数」を質問する



それぞれについて考えてみます。



・ 所属と名前をはっきりと言う

これは、通訳者として参加しているときに強く思うことです。

質問者が、スピーカーに対する礼儀として、質問の冒頭に自分の所属と名前を言うことがあります。
あるいは、会議の主催者やモデレーターから「所属と名前をおっしゃってください (Please state your name and affiliationとか)」と言われることもあります。

せっかく所属と名前を言ってくれるのはいいのですが、はっきりと聞き取れないことが非常に多い。
実に半分ぐらい(!)のケースで、はっきりと聞き取れないような気がします。



なぜ、所属と名前をはっきりと聞き取れないのか。

まず、通訳者側の問題もあるでしょう。
世に存在する機関名や人名に詳しければ詳しいほど、聞き取りやすくなるはずです。
これについては、各通訳者が努力し続けるしかありません。

一方、質問者側の問題も大きい。
要するに、所属と名前をはっきりと言わない質問者が多い。
なぜか。

・緊張
質問者が緊張しているのもあるでしょう。こういう場で質問をするのは勇気が要りますよね。

・出だし
「所属と名前」を言うのは質問の冒頭です。
その時点ではまだ声のトーンが整っていなかったり、マイクとの距離感がつかめていないのもあると思います。

・当たり前
自分の所属と名前は自分(質問者)にとっては当たり前ですから、それを「はっきりと言わないと会場(通訳者含む)に伝わらないだろう」という気持ちが起きにくいのもあるかもしれません。

・不要論者
そもそも所属と名前を言う必要性に疑問を感じていている人もいるのかも。重要性が低いからはっきり言わないのかもしれません。
僕も、個人的には「所属と名前」はあまり要らないと思っています。
主催者、あるいはスピーカーがどうしても知りたい、という場合は別ですが。

・わざと(笑)?
中には、自分の所属と名前を明らかにしたくない人もいるかもしれません。
でも、司会者に「言うように」と指示されたし、ウソをつくわけにもいかないから、モゴモゴでやりすごしているのかもしれません。

楽しい空想は尽きません。



ーーー



「日経新聞の田中です」
とかならまだ、多少モゴモゴ話されても聞き取れるんですが、

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ちょっと国際的な場になるとすぐに
"I am DJFOEWJIDSF from IEFJOSDKFD News"
となって、相当はっきり言ってもらわないと聞き取れません。



ーーー



聞き取れないときは、しょうがないので訳から落とします。
せめて所属、あるいは名前のどちらかでも拾えた場合は、せめてそれを言っています。

今度、Q&Aで自分が質問に立ったとき、せっかく所属と名前を言ったのに、通訳者がそれをちゃんと訳していなかったら、、、
自分が果たしてはっきりと言ったかどうか、振り返ってみていただけるとありがたいです。



・ 質問は短く: ①自分の意見は言わない

会場に来ている参加者たちは、スピーカーの意見を聞きたいのであって、質問者の意見を聞きたいのではありません。

ではなぜQ&Aがあって、質問者として質問をする場が設けられているかというと、それはあくまでもスピーカーの考え・意見を引き出すためでしかありません。

それなのに、質問に入る前に自分の意見を長々と言う人がいます。
多少で済めばご愛敬ですが、あまり意見の開陳が長いと会場がうんざりし始めるのを感じます。

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通訳者もそうですが、質問者も脇役です。

そして、いい通訳は「なるべく無駄無く簡潔に」が基本であるように、いい質問も「無駄無く簡潔に」が基本だと思います。



・ 質問は短く: ②何を聞きたいのかを明確に

通訳していて、ときどき起きるヘンな出来事。

日本人のスピーカーの隣に座り、その人のスピーチを通訳したとします。

無事スピーチが終わり、さあ、いよいよQ&Aです。



質問者が英語で質問をした場合、その内容を和訳してスピーカーに伝えるのも大事な仕事です。

一方、日本人が質問した場合はどうか。
その会議のプロトコル次第ですが、会場(参加者)に外国人がいる場合、その方々向けに質問を英訳する必要があるかもしれません。



このように、日本人が日本語でした質問について、僕の隣に座っているスピーカー(日本人)が


「今の質問は、一体何を聞いてるの?」


と、通訳者である僕に聞いてくることがときどきあります。



(さあ、質問を英訳するぞ・・・)
と意気込んでいたところに、いきなり 日本語→日本語 の通訳依頼が舞い込んできて、一瞬頭の中が(???)になります。



こうした笑うに笑えないことが起きてしまうのも、質問が長く、分かりにくいからではないか。

なるべく短く簡潔に、「要は何を聞きたいのか」というその要点だけを伝えるといいと思います。

「質問が短いと、分かりにくくないだろうか・・・」って、そんなことはまずありません。
質問が長ければ長いほど分かりにくくなります。
(ブログ記事についてもあてはまるかもしれず、反省することしきりです。)



これは通訳をしていて強く感じることですが、スピーカーは大物だったり、超頭がよかったり、とても忙しい人だったり、せっかちだったりします。

そういう人に質問をするわけですから、なおさら短く簡潔に、が大事になります。



・ 質問は短く: ③質問は一つに絞る

「3つ質問があります」

Q&Aセッションでありがちな光景です。
僕が普段通訳をしているIRミーティングでもよくあります。



複数の質問をひとまとめにするのは、百害あって一利なしだと思います。
通訳者にとってももちろん負担ですが、肝心のスピーカーにとって大きな負担です。

質問を聞いているとき: 2つ目以降の質問を聞いている間ずっと、最初の質問を覚えていなければいけない

質問に答えているとき: 最初の質問に答えている間中、2つ目以降の質問の内容を覚えていなければいけない



今まで、記者会見等で「複数質問ひとまとめ」があった際、かなり高い確率でスピーカーから助けを求められました。

質問を聞き終わった後に、「あれ?最初の質問は何でしたっけ」とか。
あるいは、最初の質問への回答が終わった後に、「えーと、2つ目の質問はなんでしたっけ」とか。



メモを取ればいいじゃないか
と思うかもしれません。
まあ、確かにそうなんですが、メモを取るのが上手な人はあまりいません。

そもそもメモを取ることに慣れていない人も多いです。

また、話された内容をメモすることで完全に記憶を外部化することが出来るのは、通訳者とか、そういった特殊な人だけです。

言い方を変えると、
仮にメモを取ったとしても、「質問を記憶する」という負担を頭の中から完全に取り除くのは難しい。
また、後からそのメモを見て、そこから質問内容を完全に再現出来なかったりして苦労する人がほとんどだと思います。



質問を複数したい場合は、複数回手を挙げ、1つずつ聞いていけばいい。
混んでいるATMでの振込と同様、一度自分の番が済んだら、また並び直すのがマナーだと思います。




・ その日のテーマに関係無いことは聞かない

Aというテーマについての記者会見なのに、そのスピーカーが何らかの形で関係しているBという別のテーマについて質問をする人がいます。

芸能人が、自分が主演している映画の説明をするために設けられた場で、その芸能人の私生活について質問をしてしまうアレと似ています。



その記者会見の主催者は、「Aというテーマで記者会見を開催しよう」と思って今日に至りました。
依頼を受けたスピーカーは、「Aというテーマについてしゃべろう」と思って会場入りしています。
集まった参加者たちは、「このスピーカーがAというテーマについて話すのを聞こう」と思って集まっています。
通訳者は、「今日はAというテーマの記者会見の通訳をするぞ」と意気込み、準備して臨んでいます。

そこで、
「私はBについて聞きたいから、Bについて話せ」
とスピーカーに迫るのは、関係者全員に対する冒涜のような気がします。

これは絶対避けるべきだし、そういう質問をしてしまう人がいれば、モデレーターが遮るべきだと思います。(芸能人のマネージャーが囲み取材を打ち切るように。)



なぜ、その日のテーマ(A)と関係の無い質問(B)をしてしまうのか。

恐らく、悪気は無いんだと思います。
質問者の頭の中では、AもBも「関係がある」んでしょう。

確かに、例えば「その芸能人が主演する映画」と「その芸能人の結婚」の間には、「その芸能人」という共通のテーマがあります。

でも、それを言い始めたら、どんなに無関係な物事でも無理矢理つなげることが出来てしまいます。
「幕の内弁当」と「ジョージ・クルーニー」だって、「日本語で9文字」という共通点があります。

だから、質問をするときは、一瞬自分の主観は脇に置いておいて、
(ここでBについて質問したら、スピーカーや参加者はどう思うだろうか・・・。
「関係のあるテーマだ」と思うか、あるいは「無関係じゃないか」思うか。)
を考えるべきなんだと思います。



・ 参加者全員の「最大公約数」を質問する

最後は、僕が一参加者として会場にいて、Q&Aで手を挙げたときのことを振り返って感じた点です。

どうせ質問するなら、スピーカー AND/OR 会場に「鋭い質問だな・・・」と思ってもらえるような質問をしたい、という気持ちを感じます。
最近はそうでもありませんが、昔は結構そうでした。

そうすると、気付かないうちに
(自分が本当に聞きたいことは何か?)
から
(どういう質問をすれば 「鋭い質問だな・・・」 と思ってもらえるか?)
に焦点がズレてしまっていることがあります。



これは、(自分は本当はどう生きたいのか)を忘れ、(人にどう見られたいか)だけを追及してしまっている人生と同じだと思います。



一方で、上記とちょっと似ていますがちょっと異なる考え方として、

(どういう質問をすれば、会場にいるみんなから 
「うんうん、私もそれ聞きたかった!」 
と喜んでもらえるか?)

という視点もあると思います。

これはこれで、自分の人生を歩まず、人のために人生を歩んでしまっているような気もしますが、単なる目立ちたがり屋のスタンドプレーではなく、人の役に立つという意味で大きく異なるでしょう。



ーーー



質問をする勇気がある、というのはすばらしいことだと思います。

そして、会場には、(質問してみたいけど、恥ずかしい・・・)と感じている人が必ずいます。

であれば、質問をする勇者は、なるべく最大公約数的な質問をすることによって場の成功に貢献する、というのも手だと思います。



以上、今までの乏しい経験から、Q&Aの際に心がけようと思ったことを書いてみました。


by dantanno | 2015-03-24 23:33 | 提言・発明 | Comments(2)
Commented by むーしぇ at 2015-03-27 10:59 x
こんにちは。わたしも決算説明会関連の仕事をたまにするので深くうなずけるご指摘ばかりでした(^_^)

特に「質問は一つに絞る」はまさにおっしゃる通りですね。最初「いいとこ突くねえ!」と思っていたら調子にのって余計なところまで突っ込みだして論点がボケます。そうするとどうなるかというと、経営サイドは答えやすいところを重点的に答えてはぐらかしてしまうんです。これはある意味夫婦ゲンカにも当てはまるかもしれません(^_^;

プレゼンターもピンキリで総じて名経営者は聞き取りやすい気がします。「通訳者や録音を書き起こしてる人」を意識して話すといいプレゼンができるんじゃないか、という気がするんですが自分で試す機会がありません。大荒れの決算でドジでお茶目な女子社員を進行役に抜擢して笑いをとることで厳しい追及をかわす、という新手の説明会対策も見かけました。

といいながら一つに絞りきれずごめんなさい、自分のブログに書けってかんじですよね!
Commented by dantanno at 2015-04-01 18:16
むーしぇさん、コメントありがとうございます。
「「通訳者や録音を書き起こしてる人」を意識して話す」
これ、いいですね!これが出来るスピーカーが増えれば、世界はもっとよくなるはず(笑)。