たんのだんのブログ

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2軒のラーメン屋の物語

むかしむかし。
A町とB町という、となり同士の2つの町がありました。

それぞれの町に、AとB、2軒のラーメン屋がありました。



ーーー



この2軒のラーメン屋は、すべてが似た者同士の、よきライバル。

ラーメンのメニューも、味も、値段も同じ。
それぞれの商店街でのロケーションも似ている。
店の規模も、雰囲気も同じ。
そして、はたらくスタッフの数や月給も似たり寄ったり。

どちらの店も、毎週月曜〜土曜まで営業し、日曜日はお休みです。



このAとBという、2軒のラーメン屋についての物語です。



ーーー



ある日のこと。
店を閉めた後、A店の店長がスタッフを集めました。

A店長 「これまで、ずっと週6日営業でやってきたけど、
来週から、週5日営業にしようと思う。」

スタッフたちが顔を見合わせます。

スタッフ 「お、オレたちの給料はどうなるんスか?」

A店長 「給料は、今のまま変えない。」

スタッフ 「ってことは、給料はそのままで、休みが増える、ってことッスね!やった!!店長、太っ腹!!」

A店長 「いや、休みは増やさない。」

スタッフ (???)






A店長の話はこうです。

これまで、毎週月〜土まで営業して来たのを、
今後は月〜金までの営業とする。

日曜日は従来通り、お休みの日。

では、土曜日は一体何をするのか?

土曜日は、「ラーメンをよりおいしくするための日」とする。

店は開けないが、スタッフには全員集まってもらう。
そして、みんなでいろいろな取り組みを行う。

・スタッフそれぞれがラーメンを作り、お互いの味のいいところ、改善出来るところを分析し合う。
・新しいレシピやトッピングの案を出し合い、実際に作ってみる。
・お店の味を統一し、安定させるための取り組みを行う。
・他店の味や運営方法から学ぶため、ライバルである隣町のB店はもちろん、一流のラーメン店をスタッフみんなで食べ歩く。
などなど。


最初は半信半疑だったスタッフたちも、
とにかくやってみよう、ということになりました。



ーーー



この取り組みを始めて1ヶ月。

A店のラーメンの味は以前と特に変わらず。
日々の来店客数も変わらず。

一方、売上は2割近く減りました。
6日営業を5日営業に減らした分です。



売上は減ったものの、スタッフに払う給料は、以前と変わらず。
また、土曜日の「ラーメンをおいしくする」ための諸々の活動経費がかかるため、利益は以前よりも減りました。



B店長からすると、A店の意図がまるで分かりません。
みすみす土曜日の客を、ライバルであるB店に回してくれているようなものです。
不思議に思うやら、ありがたいやら。

まあ、そんなことに構っているヒマはありません。
とにかくがんばって営業です(汗)!



ーーー



A店のスタッフたちは、収益が減った店の運営のことを心配しながらも、
毎週土曜日を楽しみにしている様子。

「来週は何を研究しようか」
と自主的に話し合う様子を見て、A店長は自分のやっていることは間違っていない、と言い聞かせました。



ーーー



5年経ちました。



B店は、従来通りの味のラーメンを提供しています。



一方、A店はどうか。

毎週毎週、月4回、年50回、5年で250回、
土曜日に行って来た研究活動が実り、
ラーメンの味をよりおいしくすることに成功しました。

スタッフが考案した、さまざまな種類のラーメンやトッピングをお客様に提案し、喜ばれています。

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従来のメニューを、従来と同じ価格で提供する一方、
新メニューは少し高めの価格設定にしたため、
客単価は上がりました。

雑誌やメディアの取材も受けるようになり、
気づけば毎日お昼時には行列が出来るようになりました。



A店とB店の、週の売上を比較すると、

B店: 単価600円 x 一日300杯 x 週6日 = 108万円
A店: 単価700円 x 一日400杯 x 週5日 = 140万円

いつのまにか、負けていたA店がB店を大きく逆転していました。



変化が起きたのは、収益面だけではありません。

「将来、自分もラーメン屋を経営したい」というA町・B町の熱意ある若者が、みなB店ではなく、A店ではたらきたい、と言ってくれるようになりました。

そうした優秀かつ意欲的な若者がスタッフとして入り、
土曜日の活動がさらにレベルアップする、という好循環も始まっています。



ーーー



経営者であれ、サラリーマンであれ、フリーランスであれ、
我々の仕事は、「選択」の連続です。



苦戦するB店長は、選択を迫られていました。

来店客数を挽回するため、値下げするかどうか。
収益を増やすため、日曜日も店を開け、営業するかどうか。
もっと家賃が安いC町に移転するかどうか



一方のA店長も、同様に選択を迫られています。

お客さんを行列で待たせるのは申し訳ないので、お店を拡張するかどうか。
店長候補が育ってきたので、そろそろ暖簾分けするかどうか。
収益が増えた分を、どうスタッフに還元するか。
先週土曜日にスタッフから提案されたメニュー案を、正式メニューとして採用するかどうか。





こうした選択が、店の将来を左右します。

今からまた5年が経った時。
さらに、その10年後、20年後、30年後。

より栄えているのは、一体どちらの店か。



ーーー



という、架空のお話です。



ここでの主役は2軒のラーメン屋でしたが、
読者のみなさんが活躍する分野にはあてはまりますか?
by dantanno | 2013-06-20 14:54 | プレミアム通訳者への道 | Comments(0)