戦わずして勝つ
2013年 04月 04日
今日。
予定されていた電話会議がキャンセルになりました。
投資家がつかまらなくて。
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通常、IRの電話会議は3者通話で行います。
通訳者が証券会社のオフィスに行って、そこから海外投資家 → 日本企業の順に電話し、
みんなを同じ電話回線に乗せます。
3者、違う場所にいるわけです。
でも希に、
A. 通訳者が日本企業のオフィスに行って、そこから一緒に投資家に電話するパターン
および
B. 企業の方々が証券会社のオフィスにいらっしゃり、通訳者と一緒に投資家に電話するパターン
もあります。
今日は上記B.のパターンでした。
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本番前。
証券会社のオフィスで待っていると、企業のIR担当のお二人(男性+女性)がいらっしゃいました。
通訳者をしていると、ミーティングが始まる前に
(あ、今日はいけるな♪)
と感じるときがあります。
僕の場合、そう感じるかどうかはミーティング参加者の持つ雰囲気次第です。
今日は、まさに「いけるな♪」と思えるような、フレンドリーかつ真摯な感じのお二人でした。
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会議開始の時間になり、投資家に電話します。
♪ プップップップ・・・
"Hi, you've reached ****.
Please leave a message after the beep."
留守電です。
結局、その後何度かけても留守電で、
証券会社の方々も手分けして投資家をつかまえようとしてくれましたが、ダメでした。
開始予定時刻を30分ほど過ぎたとき、タオルが投げ込まれます。
証券会社の方々が恐縮しながら部屋にいらして、どうしても投資家がつかまらないため、申し訳ないがリスケ、の旨が伝えられます。
それに対し、企業側のお二人は全く不満を見せず、
「いえいえ、構いません。
丹埜さんからいろいろおもしろいお話を聞けたので。」
などとおっしゃる。
当然、僕ごときが何か有用な話を出来るわけはなく、単に電話がつながらない間の時間しのぎに
多くの投資家が「仮説の検証」のためにIRミーティングをしているように思える
こととか、
投資家がIRに求めるものは、情報収集だったり、議論をふっかけることだったり、あるいは単に世間話をすることだったりしますよね、
とか、
一IR通訳者としての日々の雑感を口にしただけでした。
あと、なぜIRISを設立したのか、日本のIRおよびIR通訳に対する想いや、
どんなステキな仲間と一緒にIRISをやっているのか、も話しました。
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証券会社の会議室を出る際、企業の方がニコニコしながら
「次も通訳は丹埜さんでお願いします(笑)。」
とおっしゃってくださいました。
今日は通訳してないんですけどね(笑)。
もちろんほぼ社交辞令でおっしゃってくださったわけですが、
恐縮しきっている証券会社(=IRISのクライアント)としては、場が和やかに収まることがとてもうれしいし、
例え冗談半分であっても、目の前で「通訳者が指名される」のを目の当たりにし、我々通訳者に対する見方も少し改善すると思います。
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今日みたいに通訳案件がキャンセルになると、悶々としたモノが残ります。
例えば一日5件も通訳が入っていて、最後の1件が
急遽キャンセル
になったり、
企業側が英語ペラペラなので通訳しなくていいことが判明した
とかいうことになると、顔は残念そうにしながら
心の中でガッツポーズ
をするわけですが、
今日みたいに「1件だけ」の仕事、しかもなんだかうまく行きそうな予感があっただけに、
このやり場のないエネルギーを一体どこに向ければいいんでしょうか。
サウナでも行ってこようかな。。。