たんのだんのブログ

irisjapan.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

「領収書の宛名はブランクでお願いします」 (完結編)

(前編はこちら


なぜ、領収書に宛名を書かないといけないのか。



その理由は、領収書を発行する側(店側)、および領収書の受け取り手側(客側)、そのどちらか、あるいは両方にあるのでしょう。
それぞれについて考察してみます。



1. 店側に起因する要因

いつ、どんなお客さんからいくらもらったのかを記録しておきたいのかもしれませんね。
店の管理会計上、あるいは税務上の理由で。

もしそうだとすれば、宛名がブランクだと「誰宛に発行した領収書なのか分からなくなっちゃう」から、宛名が必要になるのもうなずけます。



ただ、このロジックがあてはまるのは、そのお店が複写式(2枚重ねで、本紙が青文字になるアレ)の領収書を使っている場合だけですよね。
だって、一枚ペラの領収書であれば、せっかくそこに大事な宛名を記入しても、それをそのまま客に渡しちゃって、店側になんの記録も残らないから。
筆圧を超強めにして書けば、ウラにある領収書にちょっと記録が残るかもしれないけど。

ちなみに、今まで2回「宛名無しはちょっと・・・」と言われたのは、レジの機械から印字される、あの一枚ペラの領収書を使っているお店ででした。。。



---



じゃあ、2枚重ねの複写式(転記式?)の領収書を使っているお店だったらどうか。

そうであれば、「宛名になんて書いたか」の記録がちゃんと店側に残ります。

でも、「上様」っていう記録をたくさん集めて、一体どうしようというんだろうか。
よしんばちゃんと人の「名前」を宛名にしたとしても、「田中」とか「鈴木」とかいう宛名の記録に、一体何の管理会計上・税務上の価値があるんだろうか。

分かりません。

まだちょっと考えただけだけど、領収書に宛名が必要な理由は、どうやら店側には無さそうです。



2. 受け取り手側(客側)に起因する要因

確かに、レジで店員さんに
「宛名無しで」
とお願いするとき、一抹の後ろめたさを感じます。
なんだか悪いことをしているような。

その後ろめたさの正体は何か。

宛名をブランクにしておくことで、後からなんでも好き勝手に記入できてしまうことでしょうか。
どことなく脱税感が漂います。

店側(あるいは税務署)は、こうした脱税を防ぐために宛名の記入を求めるのでしょうか。

これは、個人的にはとてもしっくり来る推論です。



---



でも、ちょっと考えれば、こんなの全然理由になっていないことが分かります。

だって、レジで「宛名はいかがいたしましょう?」と客に聞いている時点で、そこになんでも好き勝手な宛名を書く自由がこちら側に与えられてしまっているから。

その自由を、
1. レジで領収書をもらう瞬間に行使するか、
2. 後日、家・オフィスで行使するか、
だけの違いです。

d0237270_19133058.jpg



---



そもそも、これまでグチャグチャ考察してきたことを全部引っ繰り返しちゃうようだけど、
「宛名無しの領収書は出せない」と言っているその傍らで、
宛名無しのレシートは発行しまくっているわけで、なんでそれは気にならないの?と気にせずにいられません。



---



正直、こんな領収書の宛名問題なんてどうでもいいです。
どうしても宛名を書かないといけないと言われれば、とりあえず上様って書いてもらって、後から修正するなり、再発行してもらうなりすればいいから。

僕がイヤなのは、Ownershipの無さ。



宛名に何を書くかを客側に決めさせている時点で、ブランクの領収書を渡しているのと全く同じ効果だということに、一体どうして気付かないのか。

「宛名無しの領収書はお出しできません」
に対し、
「ちなみに、なんでですか?」
って聞かれ、どうして
「分かりません」
で済ませちゃうのがイヤじゃないのか。



「そういうルールだから」ってことで、どんなルールも深く考えずに守るのであれば、、、
ヒットラーみたいな人が指導者になったら大変です。



あと、自分の仕事を好きじゃないの?って思ってしまいます。

飲食店の店員さんにとって、レジで領収書の宛名をどうするかって、結構大事なことでしょ?
そういう大事な問題について、もしあまりちゃんと考えていないのであれば、それはOwnershipが無いってことだから、そんな仕事さっさと辞めて、もっとOwnershipを感じられる仕事をすればいいのにって思います。

ただでさえも競争って大変なのに、「自分のこと」と思えない仕事をダラダラ続けている人が、その仕事を「自分のこと」と思って日夜がんばってるヤツに勝てるわけがない。

d0237270_91904.jpg




領収書の宛名問題が、飲食店の店員さんにとって「どの程度大事であるべきか」を数学的に計算してみます。

まず、飲食店における店舗オペレーション全体を100とします。
バイトの採用とか、閉店後の掃除とか、そういう陰ながらの努力系の作業はとりあえず置いておいて、目に見える店舗オペレーションに限って考えます。

全体100を、厨房50、ホール50に分けますか。
ホール50のうち、ホール内での客対応が30、レジ周りが20ぐらい?
で、レジ周りの20のうち、レジ打ちが15、領収書関係の業務が5。
領収書関係の5のうち、宛名周りの作業が2.5。

100分の2.5。
たった2.5%。

意外とどうでもよかったか(笑)。



---



「あまりちゃんと考えていないのでは?」は、店員さんだけでなく、我々客側にもあてはまります。

そもそも、なんで領収書なんて求めるのか
なんでレシートじゃダメなのか。



経理部が「ちゃんとした領収書じゃないといけません」って言ってるのは、実はとんだウソっぱち。
会計的にも、税務的にも、レシートで十分です。
ちゃんと「いつ、誰にいくら支払った」という記録さえ残せれば、領収書なんていりません。



いや、レシートで十分どころか、むしろレシートの方が会計的・税務的な証票としてよっぽど優れています。

だって、レシートであれば時間・人数・注文品の明細などが事細かく書いてあるから。



---



中小企業を経営していると、レシートと領収書の違いについて、日々実感させられます。



例えば本屋。

IRISのIR通訳ワークショップで使う教材用に、「IR通訳入門」という本を買ったとしましょう。
ついでに、プライベートで読む用のマンガも買いました。

<レシート>
IR通訳入門 2,000円
ドラえもん 500円
計 2,500円


となり、税務上経費として処理出来るのは2,500円の内の2,000円だけになります。



ところが、これが領収書だと
領収書
IRIS様
書籍代 2,500円


宛名はしっかり書いてありますが、脱税しやすいのはこちらです。



あるいは飲食店。

2人で飲みに行って、1人8,000円 → 2人で16,000円だったとしましょう。

<レシート>
2名様
○○  *,000円
△  *,000円
□   *,000円
計  16,000円


一人当たり8,000円だと、会議費としての上限を超えているので交際費扱いとなり、全額を経費で落とすことが出来なくなり、その分(税務上の)利益が増え、税金の支払いが発生します。



ところが、これが領収書であれば、わら半紙の切れっ端みたいなの
領収書
上様
ご飲食代
16,000円


うーん、これ何人だったかなあ・・・。
5人かな?

会議費として、全額経費扱いとなり、脱税成立です。
一応、宛名はちゃんともらいましたが。



---



あえて断言しますが、飲食店で「領収書ください」って言ってる人たちは、

1. せこい脱税をしている中小企業経営者か、
2. 経理・税務についてちゃんと考えたことのない経理マンか、
3. クライアントから「レシートではなく領収書!」と言われ、しょうがなく領収書をもらっているIR通訳者、

必ずこのいずれかにあてはまります。



領収書。
いずれ廃れる運命にあるこの制度。
早く無くなって、レシートだけの世の中になってほしいです。
by dantanno | 2013-03-09 19:44 | 提言・発明 | Comments(1)
Commented by Shira at 2013-03-09 20:49 x
領収書のアヤシサはおっしゃるとおりですね。だからこそ書いてもらおうとする…。

台湾に旅行に行った際、アイスクリームスタンドでも「統一発票」(公式インボイス)を渡されてびっくりしました。付加価値税を導入していたんですね。