心の中の本棚

オレは、絶対に本を捨てない
をポリシーにしてた時期がありました。

資源ゴミの日の朝。
本が束ねて捨てられてたりすると、
D (おお、かわいそうに・・・。本を捨てるなんて、なんと知性の低い、オレとかけ離れた人よ、トホホ・・・)
と嘆いてたりしました。



その後、月日が流れました。



人生いろいろあり、また、
やましたひでこさんの断捨離とか、
こんまりさんの「そのモノを手に取って、心がときめかないなら手放す」といった発想に触れ、

「手放さない」 は、必ずしも 「大事にしてる」 とイコールではない

と思うようになりました。
そして、それは本にもあてはまると思うようになりました。



今ではAmazonマーケットプレイスもあるし、古本買取業の会社もたくさんあるし、
ちょっと前にスタバがやってた、クリスマスに本を寄付しようみたいなキャンペーンもあったし(あれ、もうやんないのかな?)、
以前よりも本を処分しやすくなってきたのもあるかもしれません。



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で、ウチの本棚の整理に取りかかりました。

本棚がゴチャゴチャしてる通訳者/経営者と、
本棚がスッキリしてる通訳者/経営者。

「どっちがいい仕事をしそうか」って考えたら、なんだかいてもたってもいられなくなって(笑)。



でも、、、
本の処分ってのは難しいですね。
後からもう1回読むかもって気もするし、
1,500円かけて買ったのに、って気もするし、
売れるかも。でも売るのめんどくさいって気もするし。

あと、そういう理屈以前に、なんか先人の知恵というか、いろんな人のいい意見・考えが詰まっているものを手放しちゃうのがなんだかもったいない気がしてしまうんです。



でも、ふと考えました。

僕は仕事で、プライベートでいろんな人と会いますが、その際、いちいちICレコーダーを持ち歩き、みんなの発言を全て録音して回っているかというと、別にそうではない。

いろんな人の生の声については、一度聞いただけで済ませています。
その一部は自分のモノになり、将来の財産になる一方、一部は聞き流したり、忘れてしまっていたりします。

だとしたら、なぜ本についても同じように考えないのか。

本を一度読む、というのは、その著者と一度会話するのと一緒。
その一度の会話が貴重なのであって、必ずしもそれを録音し、家に保管する必要はないかもしれない。

逆に言うと、録音・保管した方がいい場合はどんな場合かというと、
最初に聞いた時は残らなかったものが後から価値を帯びる場合であって、それが起きる可能性って結構低い。
その可能性を追求して保管し、後から聞き直すのもいいけど、それをやるなら全く新しい音を探しに街に出た方がいいかもしれない。



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一体、自分にとってどっちがより魅力的だろう。

本を後生大事に取っておき、ついでに会話も全部録音・保管し、大記録庫を作成。
日々、どんどん本・資料・録音を蓄積し、それが溢れかえっている状態

 
VS

本は一度読み、殿堂入りさせるものは残し、あとは処分。
そうすることによって、心の中の本棚を空にする。




僕の人生で、次に待ち受けている本、そしてステキな人との出会いや会話を
より深く味わえるのはどっちか、考えてみました。
by dantanno | 2012-12-13 16:52 | Comments(0)

通訳・翻訳者 丹埜 段(たんの だん)のブログです。IRを中心にビジネス・ファイナンス系を専門としています。 通訳会社IRIS経営。http://iris-japan.jp


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